以前、「天井の耐震補強などの改修工事をするべく、東京・渋谷のNHKホールが2021年3月から休館に入る」という記事を投稿したことがあります。( → 記事はこちら)
それから1年4ヶ月が経ち、この7月にNHKホールは無事リニューアルオープンを果たしました。
これまでさまざまなミュージシャンのコンサートを聴きに行っただけでなく、1度だけですが大晦日のNHK紅白歌合戦を生で観覧する機会を得たりと、個人的には大変思い入れのあるホールなのですが、このたび知人から「音楽番組の公開収録に当選しちゃった。同伴者1名までOKだから一緒に行かない?」とのお誘いをいただき、想像以上に早期の“NHKホールとの再会”が実現しました。
知人に届いた入場整理券。↓
NHK-FMの「リサイタル・パッシオ」というクラシック番組の公開収録でした。
入場整理券のおもて面。↓
かつてはホール入口で入場整理券と座席指定券を交換していたため、人気公演などではいい席を目指そうと開場開始のかなり前から行列ができていたそうですが、コロナ禍以降、座席は入場整理券上で事前指定されるようになったようです。以前も早く並べばいい席に座れるわけではなかったでしょうから、ある意味コロナが合理化を促してくれたと言えますね。
ホール到着。外観は以前と変わっていない印象。↓
1階席ロビー奥にあるラウンジ。↓
案の定、間仕切りされていて使用不可でした。
ラウンジ横の屋外喫煙所。↓
この辺は、びっくりするほど以前と変わっていないように思います。
化粧室のサインパネル。↓
もしかして、これはリニューアルされたかも?(以前はこんなにポップじゃなかったような気が…)
そんなこんなで番組の収録がスタートしたのですが、「50分の番組を3本収録する」とかで、全体が3部構成となっていました。
第1部は、このホールの大きなアクセントになっているパイプオルガンの演奏でしたが、ここでパイプオルガンが鳴るのを初めて聴けたので、かなり感動させていただきました。
さらに、「パイプが7,640本もあって、最長で11m、最小で数センチ」「今回の改修に合わせ、パイプオルガンも大規模メンテナンスしたが、太いパイプの中から紅白歌合戦で使用した紙吹雪が出てきた(笑)」「1973年のホールオープン以来、パイプオルガンの設置・調律を望月さんというオルガンビルダーがずっと担当していて、現在は息子さんも従事なさっている」「音色パターンを記憶させるプログラム数を増やす予定だったが、世界的な半導体不足のため今回のリニューアルオープンまでには間に合わなかった」などなど、面白いエピソードもてんこ盛りでした。
で、第1部(1本目)の収録が終わり、休憩中にはなんと「スマホで撮影していいよコーナー」が設けられ、パイプオルガンのプチ演奏がサービスされました。
ディレクターさんが説明中。↓
ホール天井。耐震補強したとのことですが、見た目は以前とあまり変わっていないかと。↓
天井と壁とパイプオルガン。うーん、あまりに昔のまんまで拍子抜け。笑↓
大規模メンテナンスをしてもらったパイプオルガンさんをアップで。↓
「SNSなどでたくさん発信してください!」とのことだったので、プチ演奏部分の動画を共有します。
曲は「チャラリー 鼻から牛乳〜」でおなじみ、バッハさん作曲の「トッカータとフーガ ニ短調」です。では、はりきってどうぞ!↓
第2部(2本目)は、パイプオルガンとファゴット、パイプオルガンとホルンのデュオ演奏でした。
オルガン演奏席(コンソール)のバルコニーで、オルガン奏者以外のミュージシャンが演奏するシーンを初めて拝見しました。面白かったです。(ぜひオンエアをお聴きください)
で、第2部終了後の休憩タイムには、またもや「自由に撮影してねコーナー」が設けられ、今度は番組MCの金子三勇士さんによるピアノ演奏がお披露目されました。↓
(曲名は、えーと、存じ上げません。。。)
実は、このピアノのプチ演奏の前に、客席を離れてホール内をうろついてみたのですが、2階席ロビー(さっきのラウンジの上階)の奥のスペースで、すごいものを見つけてしまいました。
以前、「NHK放送センター(NHKスタジオパーク)のエントランスホールに、岡本太郎さんによる大型のレリーフ壁画が設置されてるけど、放送センター建て替えでどうなってしまうのか?」という記事を書いたことがありますが、そのレリーフ壁画が、なんとこのNHKホールの2階席ロビーに移設されていたのです。驚きました。↓
作品名は「天に舞う」です。おかげでようやく実物を拝めました。↓
よくぞNHKホールへいらっしゃいました。
人と比べると、この作品の大きさがお分かりいただけるかと。↓
「天に舞う」の奥には、別の方の作品も。
リニューアル後のNHKホールは、アート好きにはたまらない空間へと変貌してました。↓
作品名は「ジャンコクトオの詩」。↓
作風が似てるので勘違いしてしまいましたが、こちらは岡本太郎さんの作品ではありません。
ちなみに「わたしの耳は貝のから うみのひびきをなつかしむ」というフレーズは、ジャン・コクトーの「耳」という一行詩だそうです。(Google先生より)
なお、公開収録の第3部は、ウクライナ出身のバス歌手やチェロ奏者による演奏でした。
タイムリーな企画ですし、歌もチェロも聞きごたえがあったのですが、3本分の収録がすべて終了したのは、予定時刻を30分ほど過ぎた頃となり、正直疲れました。
ラジオ番組で、しかもこっちは座っているだけなのですが、それでも“1本あたり50分 × 3本録り(拘束時間は約4時間)”はかなりの負担でした。
観客以上に、スタッフさんや演者さんはさぞや大変だったことかと思います。
みなさん、本当にお疲れ様でした。
そして、岡本太郎さん、ようこそNHKホールへ。
(誰でも自由に入れる放送センターエントランスにあった頃の「天に舞う」は、いわば“パブリックアート”だったと言えます。放送センター建て替えに伴ってNHKホール内に移設されたのでしょうが、これ以降は開催イベントの入場券を持つ人だけが鑑賞できるクローズドな作品になってしまうわけです。とはいえ、“建て替えとともに取り壊される”より遥かにマシだと思います。現に、東京・丸の内の旧都庁舎にあった岡本太郎の陶板レリーフは、建物といっしょに解体されてますから…)
【関連リンク】
NHKさんの「リサイタル・パッシオ」の番組公式ページ。↓
(今回の収録分の放送予定は、7月31日、8月7日、8月14日です)
NHKホールさんの公式ページ。↓
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