「NHK放送センター建て替え」で一番気になること

「NHK放送センター建て替え」で一番気になること Architecture/建築
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前回、「NHKホールの継続使用」について長々と書いてしまったので、今回はあっさりと。

 

来年の東京オリンピック・パラリンピックが終了後、東京・渋谷のNHK放送センター16年かけて徐々に建て替えられていく予定です。

つまり、NHKホール以外の現在の建物は、全て取り壊されるということです。

たとえ、職員さんや出演者さんの一部が「日本のテレビ放送史に残る数々の名番組を生み、今も日本最大級の広さを誇る101スタジオだけは残してほしい」と嘆願しても、「いや、もっと大きい代替スタジオを作るんで」と切り返されて終わるだけでしょう。

 

しかし、NHK放送センターには、どうやっても代替の利かないものがひとつあります。

それはNHKスタジオパークエントランスホールに展示されているレリーフ壁画です。

↓こんなやつ。

作者は、もう一目瞭然ですね。

 

これは、岡本太郎の「天に舞う」というパブリックアートです。(1974年に完成)

現在の放送センターの竣工に際し、物故職員慰霊する目的でNHKが岡本太郎に制作を依頼したんだとか。

それに関連して、こちらのwebサイトには、

現在はNHKスタジオパーク入口となっているこの場所は、岡本が作品の依頼を受けた当時、亡くなった職員を慰霊するための多目的空間でした。

との解説文が載っています。

つまり、「多目的」とはいえ、NHKさんは物故者慰霊のためにこれだけの空間を用意し、岡本太郎に頼んで鎮魂の願いを込めた巨大レリーフを作ってもらったということになるわけです。

これが「鎮魂」? 「慰霊」? うーむ。(←あ、褒めてます)

 

「身内に手厚すぎるだろ」という意見もあるかもしれませんが、私は単純に、岡本太郎に依頼した発注側も、ダイナミックな作品で応えた受託側も、ともにスゴイなと感心してしまいます。

両者のセンスには脱帽するしかありません。

 

で、NHK放送センター建て替えに際して私が最も懸念しているのは、現センターが取り壊される時、この「天に舞う」がどうなるのか? ということです。

NHKさんが、天才芸術家・岡本太郎の作品を蔑ろ(ないがしろ)にすることなどあり得ないと信じていますので、建て替え後の新・放送センターに、ちゃんと移設してくれるんですよね?

まさか、建物とまとめてバリバリ壊したりしないですよね?

 

でも、「デカ過ぎて建物から搬出できないので、やむなく壊す」とか言われかねない大きさなんですよね、確かに…。(→こちらのサイトに、大きさをイメージしやすい写真が載ってます)

それに、スタジオパークさんのフロア紹介ページを見ても、パンフレットPDFを見ても、「天に舞う」については全然触れられていないんですよねぇ…。

「岡本太郎のレリーフ壁画をことさらに紹介していないのは、数年後に取り壊すから」とかじゃなければいいのですが…。

 

その後もいろいろ調べていたら、東京・南青山の岡本太郎記念館で、彼のパブリックアートを特集した企画展が開催されていることを知りました。

ということで、その辺は、また次回にでも。

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