こんな「猪瀬直樹さんの主張」でした。

来年の東京オリンピックマラソン競技会場の札幌変更に関連して、数日前に「じゃぁトライアスロン会場は大丈夫なの?」という記事を書かせていただきましたが、今朝のテレビ朝日『大下容子 ワイド!スクランブル 第1部』を見ていたら、招致活動に尽力された元東京都知事猪瀬直樹さんが生出演され、大変興味深い発言をなさっていました。

 

もちろん見どころは、多額なテレビ放映権料を払ってくれるアメリカの都合で7〜8月開催と決まっているオリンピックにおいて、近年の夏の猛暑を承知の上で、
この時期の天候は晴れる日が多く、且つ温暖(英語版では『Mild and Sunny(マイルド & サニー)』と表現)であるため、アスリート が最高の状態でパフォーマンスを発揮できる理想的な気候である」
立候補ファイル(の13ページ目)に明記して招致したことについて、当時の都知事・猪瀬さんがどう答えるのか? です。

 

コメンテーターとのやり取りを含め、彼の発言の中から注目すべき部分を採録してみます。(必ずしも発言順ではありません)

 

 

【今回の騒動、ならびにIOCの強硬な決め方について】

猪瀬さん:

IOC東京都との間で普段からのコミュニケーションに問題があった」

「ボート競技会場を宮城県登米市に変更するかどうかという騒動以来、IOCは『東京都との間のコミュニケーションが良くない』という印象を持っているんだと思う」
(↑小池都知事が、組織委員会案とは違う登米市開催を打ち出し、最終的に組織委員会の反対で見送られた経緯があります)

 

杉村大蔵さん:

「仮に今、猪瀬さんが都知事でも今回の決定をしょうがないとして受け入れるのか?」

 

猪瀬さん:

僕が都知事ならこういうことは起きていない。IOCとの交渉を日頃からもっと緻密にやっていたと思うので、(今回のような)いきなりの決定はなかったはず」

 

大下容子アナウンサー:

「(その時に)暑さ問題が浮上したとしても、そう言えるのか?」

 

猪瀬さん:

新国立競技場は、ザハ・ハディド氏の当初デザインの時は(開閉式の)屋根で覆われていてクーラーが付く前提だったし、ほとんどの競技は空調の効いた室内で行われる前提で夏の招致を勝ち取った。マラソンは外に出るが、暑さ対策はいろいろやられている」

「問題は、IOCと日本側のコミュニケーションの悪さ。コミュニケーションが良ければ、こんな唐突な決まり方にはならない」

 

柳澤秀夫さん:

「今回の件は、(コミュニケーションというよりも)会場変更発表直前のドーハ(世界陸上)の女子マラソンで、多くの途中棄権者が出たことがきっかけでは?」

 

猪瀬さん:

「それは事実だが、そうなった時でもどうコミュニケーションを取るのかというのは大事。自分が知事だったら、ドーハの後でも(IOCと)もっとそういう話をしたと思う」

「IOC調整委員会のコーツ委員長は、招致レースの時に東京を応援してくれた人」

「今の組織委員会には、当時JOC会長だった竹田(恆和)さんも、ミズノ(スポーツメーカー)の水野(正人)さんも、僕もいない。僕らがいればもっとコーツ委員長とコミュニケーションがとれて、いきなりの決定や通告はなかったはず」

「今回の経緯を見ると、森(喜朗)さんがブラックボックスになっている。そのブラックボックスの中で、ある種の妥協案が成立しちゃっている。当時のキーマン(自分たち)がいたら、『ちょっと待ってくれ』と言っていたと思う」

 

つまり猪瀬さんは、
自分を含む当時のキーマンが今も残っていたら、IOCともっとうまくやっていた。小池都知事にはそれができない。今は組織委員会の会長である森氏を御する人がおらず、彼がIOCとネゴしているから、こういうことになる
と言いたいんだと思います。

 

 

【東京招致のやり方について】

まず小松靖アナウンサーが、東京開催決定までの経緯をパネルで紹介。

  • 2013年1月、例の立候補ファイルで「この時期の天候は晴れる日が多く、且つ温暖(マイルド & サニー。w)であるため、アスリート が最高の状態でパフォーマンスを発揮できる理想的な気候である」と記して招致。
  • 2013年9月、最終候補地として残っていたイスタンブールとマドリードを退け、開催地は東京に決定
  • 2015年2月、大会開催基本計画が出され、そこで「選手・観客への暑さ対策推進」が明記される。

 

以上をふまえて。↓

 

大下アナ:

「招致活動の当時、暑さは問題視されていなかったのか?」

 

猪瀬さん:

「オリンピックの開催時期は、多額なテレビ放映権料を払ってくれるアメリカの都合を優先し、夏にやると決まっている。これが前提」

「(現に、)ドーハは秋開催を主張して、予選で落とされた

「(競合都市の)マドリードだって暑いし、ウインブルドンテニスだって暑い時期にやっている」

「(オリンピックの)マラソンは、これまでも暑い中でやられてきた。さらに、他のほとんどは室内でやるのを前提にして立候補ファイルを作ってきた」

 

杉村さん:

「一般国民は『“酷暑”を“温暖”と嘘をついて招致したんじゃないか』という不安を持っているが?」
(↑いいツッコミですねぇ)

 

猪瀬さん:

夏の温度は出してあるから
(↑「『温暖』と書いたけど、気温のデータもしっかり添付したのだ」ということでしょうか。ちょっと意味不明…)

 

杉村さん:

「『(現実は)マイルド、サニーではないよね』と(我々は)後ろめたい気持ちにならなくてもいいのか?」

 

猪瀬さん:

「マイルド、サニーって書いてあるの? ハハハ。それは、そのくらい…。プレゼンテーションってそんなもんでしょ
(↑当然ながら、この発言があとで波紋を呼びます)

 

萩谷麻衣子さん:

「『アスリート が最高の状態でパフォーマンスを発揮できる理想的な気候』という立候補ファイルを元にしたプレゼンテーションは、(事実と違うのだから)ないと思う」

 

猪瀬さん:

「マラソンなど一部競技を除けば、空調の効いた室内でやる。それらの暑さ対策で乗り越えることができると確信してプレゼンに臨んだ

「各都市ともに夏開催をプレゼンしたのだ。だから全然問題にはならない」
(↑「暑い夏に開催すると言って立候補したのは東京だけじゃない。そうプレゼンしなければ落選するんだから」と言いたいんでしょうけど…)

 

柳澤さん:

「さっき『プレゼンテーションってそんなもんでしょ』とおっしゃったが、我々はプレゼンテーション内容を事実として受け止めているはず。なのに実際は“温暖”を“酷暑”と、大きく乖離した表現をしている。それを『そんなもんだ』と言われると、我々は今後こういうシチュエーションに直面した時にどう受け止めればいいのか、大きな疑問が残る」
(↑おっしゃる通りかと思います。さすがヤナギー)

 

猪瀬さん:

「東京開催にはいいところも、そうでないところもあるが、東京でやるのだという強い気持ちで招致した」
(↑突然、精神論…)

 

杉村さん:

信用・信頼の低下につながらないか?」
(↑どのコメンテーターさんも、ツッコミまくり)

 

猪瀬さん:

「つながりませんよ。何度も言うけど、その時からマラソンを暑い時にやれば日本選手に有利になるだろうということも頭にあるわけだから。現に冬の東京マラソンだと外国人選手ばかり優勝してるし。暑い夏のマラソンを(当時も)疑問に思ったりしていない
(↑「酷暑だけど、日本選手にとっては怪我の功名になるかもしんないし、いいんじゃない?」ぐらいの気持ちだったのかもしれません)

「そんなことより、(屋根が空いていても可能なんだから)新国立競技場にクーラーいれるべき。早く何とかしないと。やれることをやる方が大事。お天気なんか、やれることじゃないんだから
(↑「新国立の冷房」と「マラソン会場」の問題をわざと混同しているようにしか…)

 

で、CMが明けて。

 

猪瀬さんが本当に提言したいこと

大下アナ:

「提言があるんですよね?」

 

猪瀬さん:

「招致活動では、インバウンドなどの経済効果だけでなく、『国民・都民がスポーツに親しむ』というコンセプトを掲げていた。それが健康寿命を延ばすことにつながり、医療・介護費の削減につながる。なのに、組織委員会は今となってはこの点をまったく訴求せず、(自分たちがスポーツをして楽しむのではなく)観客席から『観て親しむ』トーンに変わってきている。もっと市民参加をさせるべき」
(↑もう、典型的な論点ずらしだと思いますw)

 

柳澤さん:

「健康寿命も大事だが、招致活動でいえば『東日本大震災からの復興五輪』と明確に打ち出していた。今やそれすら希薄になっていて、福島出身の自分としては気になる」

「さっきの『プレゼンテーションってそんなもんでしょ』にこだわるが、復興五輪という言葉に期待していた人間としては、(マイルド&サニーと同様に、復興も)『そんなもん』扱いされているような気がして、残念でならない」
(↑ヤナギー、いいですねぇ)

 

猪瀬さん:

(ムッとしながら)「どういうことですか、『そんなもんでしょ』って?
(↑ご自分がおっしゃったんですけど 怒)

 

柳澤さん:

『実際には酷暑でも“温暖”と言わないと招致できないから』の部分で、そう(猪瀬さんが)おっしゃったんですよ

 

猪瀬さん:

10月は台風のシーズンなわけでしょ? だから『日本の夏の気候は暑いですよ』って意味なんですよ
(↑まったく意味不明…)

“復興五輪”も“スポーツに親しむ”も、どっちももっとやらないといけない。そのために乗り越えていくべきものはいっぱいある。その意味では、マラソンが札幌に移るのは、全体から見るとそんなに大きな問題ではない
(↑あーあ、言っちゃった…)

 

萩谷さん:

「いや、大きな問題だと思う。今回の件が世界中で喧伝されると、東京の酷暑問題が(猪瀬さんの重視する)インバウンドにだって影響しかねない」

 

猪瀬さん:

だから、さっき言ったじゃない。『新国立競技場のエアコン問題をなんとかしなきゃいけない』って!
(↑空調メーカーから金でももらってるんでしょうか…?)

 

萩谷さん:

「それは新国立競技場だけの話ですよね?」

 

猪瀬さん:

東京オリンピックがなくたって、(東京は)暑いんだよ
(↑ガラの悪い猪瀬節が登場)

「(今はこうやって)東京開催を当たり前のように話しているが、招致活動当時は呼べるかどうかギリギリの勝負だった。開催都市決定の前夜は眠れなった招致活動には金メダルしかない。銀や銅はない。だからIOCとコミュニケーションをとりながら必死でプレゼンテーションしたのだ」
(↑コーナー終了ギリギリで、この発言をブッ込んでました)

 

猪瀬さんの発言を要約し、彼の心情をあえて品悪く代弁すると、

立候補ファイルでは、たしかに大風呂敷を広げたり、オブラートにくるんだりした部分はあるよ、そりゃ

だけど、森喜朗をうまくなだめすかしながら、俺らがいろいろ苦労してきたからこそ、東京にオリンピックを引っ張ってこれたんじゃねーか

なのに、俺を都知事から追いやって、舛添失脚後に小池なんかを都知事にするから、こういうことになるんだよ

そんな都民が今さらガタガタ言うな。それよりも、新国立競技場に早くエアコン付けよーぜ!

っていうことになるんじゃないかと思います。

 

徳洲会グループからの資金提供問題を追及され、2013年に都知事を辞任して以降、目立った政治活動をしていない猪瀬さんですが、今日、久々に舌鋒鋭い“言いたい放題ぶり”を拝聴しました。

どうせ「言いたい放題」になるのであれば、
「今ごろになって俺の当時の招致活動の努力をあれこれ批判するんだったら、いっそのことオリンピック全体を返上しちゃえばいいねーか」
ぐらいのことを言ってみて欲しかったのですが。