マラソンよりも心配な競技会場。

来年の東京オリンピックマラソン競技会場について、

札幌に移すことに決めた by IOCバッハ会長

「開催まで1年を切っているタイミングで、会長の鶴の一声で変更するなど許されない」

「そんなに涼しいところがいいなら、北方領土でやればいいんじゃね? by 小池東京都知事

「先日ドーハで開かれた世界陸上の女子マラソンは、直射日光を避けて深夜開催したのに、多くの途中棄権者が出てしまい、東京での夏のマラソン開催にIOCが危機感を募らせたってことだから、選手の安全を考えたら理解できる」

「だったら開始時間を前倒しすれば東京でもやれる」

「それに、選手は既に暑さ対策コース対策も始めているのだ」

「会場変更に絡む追加費用はどこが負担するのだ」

「どっちの会場が“選手ファースト”になるのか」

「『プロスポーツ中継のピークシーズンを避けてほしい』というアメリカのテレビ局の都合でオリンピック開催期間が7〜8月に事実上限定されていること自体が、そもそもの問題」

「近年の猛暑を承知の上で、立候補ファイル(の13ページ目)に『この時期の天候は晴れる日が多く、且つ温暖であるため、アスリート が最高の状態でパフォーマンスを発揮できる理想的な気候である』と記して招致したことこそが、間違いの発端なのだ」

などなど、実に“今さら?”な話になってきました。

 

私個人からみれば「ごもっとも」な意見もあれば「それヘンでしょ?」な意見もありますが、中でも一番受け入れ難かったのは、
「オリンピックとほぼ同じ気候、ほぼ同じコースでマラソングランドチャンピオンシップ(MGC)をやって、暑さに強い候補選手を選んだのに、それが全部ムダになる」
的な主張です。

国内都合でいえばその通りでしょうけれど、これを海外選手が聞いたら「自国開催の日本選手さえ有利なら、これほどの高温多湿に慣れていない俺たちはどうなってもいいわけ?」と反発されるような気がします。

それに、仮に予定通り東京で開催してみたら「案の定、猛暑発生 → ドーハ以上にリタイアする選手が続出 → 完走できたのは、気候とコースを熟知した日本選手が中心 → おかげで日本が金銀銅のメダルを独占」などという結果にならない保証もありません。

極論だったかもしれませんが、こういう“ゲスな勘ぐり”をいたずらに招いてもつまらないので、事ここに至っては、国内都合を前面に押し出して「東京のままにしとけ!」と主張するのは、ほどほどにしといたほうがいいように感じる次第です。

(「それでもメダルが独占できたら嬉しいじゃん」と思うのであれば、もうこれは見解の相違になりますが)

 

 

で、私としてはマラソン以上に心配な競技会場があります。

それは、トライアスロン(オリ・パラ共に)マラソンスイミング(オリンピック)」が開かれる「お台場海浜公園」です。

 

泳ぐ距離は、パラトライアスロン750m、オリンピックのトライアスロン では1.5km、そしてオリンピックのマラソンスイミングに至ってはなんと10kmもあるとのこと。

お台場のビーチで、あそこの海水に浸って、そんなに泳いで大丈夫なのでしょうか…。

 

 

心配している理由は、以下の通りです。

  • 近年の東京では、夏を中心に台風に加えてゲリラ豪雨と呼ばれる大量の降水がある。
  • 一方、東京23区の下水道は、その8割が「汚水と雨水を一つの下水道管に集める『合流式下水道』」である。
  • そのため、強い雨が降り、下水処理施設で対応しきれないほどの「汚水+雨水」が下水管に流れてきたら、キャパオーバーした汚水をそのまま河川や海などに放流している。(詳しくはこちらをどうぞ)
  • よって、台風や大雨の後では東京湾(当然お台場海浜公園も)の水質が悪化する。
  • もし競技日の前に大雨が降ったりしたら、そこでアスリートを泳がせて大丈夫なのだろうか?

 

とは言いつつも、実際には汚い水の中を泳がせたりすることはないようです。

じゃぁどうするのかというと、例えば今年8月17日の「パラトライアスロンテストイベント」では、前日の水質検査で「大腸菌のレベルが基準上限の2倍を超え、競技規則の水質基準で最悪のレベル4に達した」ため、スイム部分が中止となり、バイクとランだけの「デュアスロン」に変更されてしまいました。

まさか「トライアスロン」のトライ(3種)をデュオ(2種)にするという発想があったとは。

そんなんでいいんでしょうか、しかし…。

 

これについて、東京2020組織委員会の担当者はFNNの取材に対して、
テストイベントの開催前に台風による大雨に見舞われた影響で水質が悪化した
と答えたようですが、実はその後、水質が大幅に改善し、翌18日のミックスリレー競技は予定通り開催されていたりします。

要するにお台場の海水は目まぐるしく汚れたりきれいになったりしているらしいのですが、いずれにせよ「大雨が降れば汚水がそのまま東京湾に流れこむ」実態に変わりはないのです。

 

念のため申し上げると、下水道管を流れる「汚水」には、トイレの排水も当然含まれます。

だからこそ、汚水+雨水がそのまま放水されるとお台場海浜公園の「大腸菌レベル」が上昇するのです。

 

 

もちろん、トライアスロン・マラソンスイミングの開催前に、大雨が降らなければ何の問題もないのですが、「絶対に降らない。スイム部分は中止にならない」と断言できる人はいないはずです。

同じように、来年の夏が「東京がビックリするほど涼しく低湿度で、むしろ札幌を猛暑が襲う」可能性だってゼロではありません。

どのみち相手は天気なわけですから、リスクマネジメントの面からは、
危なっかしい所ではやらないほうがいいんじゃないの? 少しでもリスクが低くなるほうを選ぶのがいいんじゃないの?」ということになろうかと思うのですが、いかがなもんでしょうか。

 

好天によって直射日光が降り注ぎ、高温多湿の中を42kmも走るのは、選手ファーストとは言えない」という声があります。

だったら「悪天候のおかげで、トイレから流れてきたウ◯コと大腸菌が混じった海を10kmも泳ぐ」とか「ウ◯コと大腸菌で海水が汚れすぎたので、スイムのパートは省略」というのだって、選手ファーストとは言えないでしょう。

(私は、高温多湿よりウ◯コ&大腸菌のほうが圧倒的にイヤです)

 

なお、組織委員会担当者によると、大腸菌群の抑制が見込める「水中スクリーン」をお台場のビーチと水域外の間に3重に設置するそうですが、そこまでして「お台場でスイムさせる計画」を立てた理由がよく分かりません。

江ノ島(神奈川)釣ヶ崎海岸(千葉)で実施する競技もあるのですから、最低でも海水浴の実績がある関東圏のビーチのどっかで開くべきだったんじゃないでしょうか。

これまた“今さら”な話ですけど。

 

どうなるんでしょうか、一体。