ホントのきもち【週刊文春と不倫報道】

前回の続きです。

小室哲哉さんの「不倫(疑惑)」記事を書いた週刊文春の記者が、テレビのワイドショーの問いかけに対して、

記事には絶対の自信があります。それ以上に、小室さん引退という本意ではない結果になって残念

とコメントしたそうで、「じゃあ、今回の報道の“本意”ってなんなの?」というのが今日のお話です。

今回の小室さんだけでなく、週刊文春の取材力・スクープ力・破壊力をもって称される“文春砲”の標的となった著名人はたくさんいます。

特にベッキーさんの“センテンス・スプリング”以降は、不倫ネタがメインコンテンツとして際立ってきた感すらあります。

前回、「不倫の中でも、性的行為を意味する“不貞”までいくと法的に訴えることができる。ただ、それも夫婦間においての話であって、第三者がどうこうすることができないプライベートな領域らしい」ことはお伝えしましたが、そんな不倫ネタでグイグイ押して来る週刊文春の“本意”に、大変興味が湧くワケです。

「不倫ネタなら何でもいい」ということもないのでしょうから、例えば「ベッキーさん」と「小室さん」と「宮崎謙介さん(元・自民党衆議院議員)」それぞれにおいて、取り上げるスタンスや訴求点は違っていたんだと思います。

とはいえ、記者だけでなく世間からも数多く寄せられているであろうスクープネタ候補群の中で、不倫ネタがここまで他のメディアやSNSで増幅されるようになってくると、文春がほかに得意とする「違法賭博」「公金着服・不正蓄財」「傲慢経営・暴力・ハラスメント」「不透明な出自と経歴詐称」「各種お家騒動」などのジャンルとのバランスが気になってきます。

なにも、「政治家・官僚・大物経済人の巨悪に特化しろ」とも思いませんし、「不倫とか性癖とかでいくなら、もとからチャラチャラしている芸能人じゃなく、ご立派な経歴を持つ文化人センセイのほうがギャップが楽しめる」とも考えません。

ましてや「税金で養われている政治家と官僚に限り、不倫ネタでもOK」というのは絶対違うと思います。(これじゃ、職業差別ですよね)

何が言いたいのかといいますと、“不倫”というネタの「スジの悪さ」なのです。

不倫が合法かと言われれば、そうでもない。

でも、法に訴えうるのは当事者夫婦間だけ。

しかも、「不貞(=性的行為)をしておらず、毎日のように手を繋いで映画見てメシ食って、飲んでハグしてチューして」ぐらいでは法的にも問えない(らしいですが、本当でしょうか?w)。

そもそもそ不倫って、相手や配偶者は別にして、世間の誰かに迷惑がかかってんの? お互い未成年でもないし、不倫を強制されたのでもなければ、ほっときゃいい話じゃないの?

仮に下半身が多少だらしなくても、ちゃんといい仕事して、金稼いで、社会に貢献してくれれば、それでいいんじゃね?

「不倫は文化だ」までいくと開き直りすぎかと思いますが、上記のような「ほっとけ、そんなもん」論と「そうはいっても、人は他人の下半身事情に興味津々で、著名人であればなおさら話題になる。だから雑誌も売れる」論の社会的折り合いが、そのうちつかなくなるような気がしてしょうがありません。

不倫ネタのスジが悪いというのは、そういうことです。

まどろっこしいので、もっとハッキリ言います。

「たとえ事実だとしても、その不倫報道で当事者本人が自殺でもしたら、どうすんの?」ということです。

「汚職・賭博・暴力」など違法性が伴なっていれば、まだ「罪を墓場まで持っていったか。本当の黒幕を隠し切ったな」みたいな消化のしかたもあるでしょうが、当事者以外になんの迷惑もかからない不倫を暴かれて、それを機に自殺をされたとき、報じたメディアはその責任を取れるのでしょうか。

「自殺自体は非常に残念で、遺族にお悔やみ申し上げるが、報じた我々側は、自殺の責任をとる立場にはない」的なコメントぐらいしか出せないでしょうし、結果として、ものすごいバッシングにさらされるのではないでしょうか。

そのとき、勢いに乗じて「廃刊しろー!」でもいいのですが、一方で「これって犯罪でしょ。社会悪でしょ。放置できないでしょ」という、わりと真っ当な“社会の木鐸”としての機能も葬ることになりますから、判断が分かれるところかと思います。

小室さんの引退を「クリエイターとしては死んだも同然じゃん」と捉える人々にしてみれば、まさに上記のような事態が起きてしまったと感じていることでしょうから、今回の文春砲は、実に微妙というか、アウトすれすれというか、セーフすれすれでアウトになってしまうんじゃないかと思います。

文春側は、「引退という結果は、報道の本意ではなく残念」と言うだけでなく「本意はこれです(orこれでした)」と言うべきなんだと思います。

「合法・違法など関係なく、不倫は社会秩序を乱す悪しき行動なので、どんな著名人に対してでも糾弾するのだ」

なら理解できます。納得はしませんが。

「巨悪みたいな硬い話もしたいけど、それだけじゃ雑誌なんて売れないワケよ。売れるためには、不倫ってオイシイネタなんだよねー。実際売れるし。そういうあんたも面白がるでしょ?」

でも分かります。賛同できませんけど。

個人的には、

「不倫をスクープされても、三遊亭円楽さんや橋下徹さんのようにヒラリとかわして乗り切って欲しい。そうすることによって、日陰に追いやられ、後ろめたい存在になっている不倫が日常化・常態化し、世間のニュースバリューが下がり、最終的に不倫報道が根絶されるはず。われわれ文藝春秋社は、そこを狙っているのです」

だったとしたら、多少は共感できるかもしれません。

でも、その過程で人命が損なわれるようなことがあってはいけないわけでして。

そのうち、ホントに自殺者が出るような気がして、しかたがありません。

※既に自殺者が出ていたんだとしたら、それでも不倫報道を続ける週刊誌のジャーナリズム魂、恐るべしですけど。