賃貸物件の契約更新で知った「法定更新」の存在。

賃貸物件の契約更新で知った「法定更新」の存在。 After/リタイア後
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現在の賃貸マンションに引っ越してきてからあっという間に2年が経ちまして、先日、初めての契約更新を終えました。

入居者として最も気になったのは、当然ながら「更新のタイミングに合わせて家賃も値上げされてしまわないか」であります。

ここに引っ越してくる前に26年ぐらい住んでいた賃貸マンションでは一度たりとも家賃が上がらなかったため、「新しい大家さんはどんな方針で更新に臨んでくるんだろう?」と、戦々恐々としながら不動産管理会社さんからの更新資料を待っていたわけですけれど、いざ到着してみたら「家賃は据え置きね。更新料払ってね。火災保険は更新ね。あ、火災保険は今までの補償内容と同レベルなら別の損保会社に自分で契約手続きしてもらってもいいよ」という、拍子抜けするほど穏当な更新内容でした。

そんなわけで、弱小個人事業主としては大変ありがたい形で賃貸借契約の初更新を済ませることができました。
ありがとう、大家さん。

情報収集の過程で知った「法定更新」。

で、更新資料が送られてくる前に、「家賃アップを引っ込めてもらうための戦術」「上げ幅を減らしてもらう交渉術」「むしろ値下げに持っていくための高等戦略」みたいなフレーズでググりまくっている中で、「法定更新」なる概念の存在を知ったわけです。

賃借人すなわち入居者の立場で(自分に都合よく)整理すると、「法定更新」のポイントは以下の通りです。

  • 大家さんと入居者の間において契約更新の内容(例えば家賃の値上げ額)について同意が成立しない場合、これまでの内容・条件で契約が自動更新される。これが法定更新。

  • いったん法定更新になると、自分が退去するまでずっと同じ条件で賃貸契約が継続する。

  • よって、家賃は据え置きのまま。(値上げもされない代わりに値下げもしてもらえない)

  • 「契約書に書いてないから、更新料を払わない」という主張で法定更新に突入した事例もあるが、きっかけは何であれ、法定更新になってしまえば「2年おきの契約更新」という概念もなくなる。よって、その後は更新料の支払いもなくなる

といった調子で、「え、ほんと? どうして? 新手の詐欺ですか?」と疑問に思うほど入居者にとって好都合なルールが「法定更新」なのです。

もちろん「原則としてはこうなってる」ということですので、大家さん(管理会社)の中には「契約書内に『合意更新・法定更新いずれでも更新料を支払うこと』と明記する」などの対策を講じている場合もあるんだとか。

すなわち、「貸す側」がさまざまな防衛策を講じなければいけないほどに「借りる側」が手厚く保護されているわけですが、この法定更新を定めている借地借家法は、そもそも「立場の弱い賃借人(入居者)を守る」という立法趣旨に基づいており、このおかげで我々入居者は「家賃の値上げに応じないのあれば、今日中に荷物をまとめてとっとと出ていけ!」と言われずにすんでいるというわけです。ありがたや。

入居者の立場として参考になった情報。

入居者に向けたネット記事としては、法定更新の存在とともに「借り手が保護されてますよ」ということを詳しく説明しつつ、「大家さん側とコトを荒立てぬよう、冷静かつ誠意をもって交渉しましょう」というスタンスの記事が多いようです。とりわけ不動産関連企業さんのサイトだとその印象が顕著になります。まぁ当然ですよね。

CHINTAIさんの「家賃の値上げを求められたら?拒否や交渉は可能?対処法を解説」。↓

家賃の値上げを求められたら?拒否や交渉は可能?対処法を解説 | CHINTAI情報局
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同じくCHINTAIさんの「賃貸契約後の家賃の値上げって違法じゃないの? 拒否すると、どうなる?【CHINTAI法律相談所】」。↓

賃貸契約後の家賃の値上げって違法じゃないの? 拒否すると、どうなる?【CHINTAI法律相談所】|CHINTAI情報局
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そんな中、あくまで「一般の賃貸物件入居者」の立場から法定更新のポイントを解説し、実際に値上げを拒否した(拒否できた)体験談などをまとめた以下の記事は、論旨がはっきりしているだけに非常に読み応えがありました。

めたブロさんの「家賃値上げの9割は拒否できる」。↓

家賃値上げは簡単に拒否できる
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自分の今後の賃貸マンション生活において、これらのノウハウ記事を実践する事態(=値上げ要請)がやってこないことを祈りつつ共有させていただきます。

一方、自分は大家でもあるわけで…。

過去の関連記事でもお分かりのとおり、私は早期リタイア後の生活を支えるべくワンルーマンションを所有し、家賃収入を頂戴している小規模大家さんでもあります。

前述のような法定更新の存在は「借りる側」にとっては大変ありがたい制度ではありますが、「貸す側」の立場にとっては大きなリスクとして捉えるべきテーマとなります。

なんせ、家賃の値上げを申し出てみたら「値上げに応じてもらえない」ばかりか「家賃据え置きのまま、2年ごとの更新料ももらえない状態がずっと続く」といった最悪の事態を招きかねないわけで、大家の立場としては最大級のリスクというしかありません。

そう考えると、「今の入居者には『家賃を毎月きちんと払ってくれてありがとう』と感謝しながら住み続けてもらい、更新料を気持ち良くお支払いいただくことに徹する(=家賃の値上げをしない)。で、家賃を上げるなら、入居者が入れ替わるタイミングで検討する」のが無難かつ現実的なんだと思います。

加えて、「自分の所有する物件の賃貸管理を委託するなら、契約更新時期や入居者との交渉履歴をしっかり管理し、そして適切に入居者と交渉してくれる業者を選ぶ」のも大事になってきます。
「更新時期、忘れてました。入居者さんに書類送ってませんでした。契約期間が過ぎちゃったので、法定更新になっちゃいました。テヘッ♡」みたいなふざけた業者に当たったら、もう目も当てられませんので。

 

ということで、貸す・借りるの双方の立場から考えてみた「法定更新」のお話でした。

大家の立場として参考になった情報。

以下の各記事の論調をおおざっぱにまとめると、「契約更新の告知時期を絶対忘れるな」「交渉はていねいに」「家賃の値上げを申し出るなら、法定更新になるリスクを避けるために契約更新のタイミングは避けろ」といった感じかと。

ITトレンドさんの「賃貸契約の更新交渉は受けないといけない? 値下げ・値上げの交渉術」。↓

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