こんな「迎賓館」でした。

こんな「迎賓館」でした。 Art/アート
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以前、旧朝香宮邸を利用した「東京都庭園美術館」の見学レポートを書いたことがあります。

アール・デコという美術・建築様式で建てられた宮邸ですが、主人を失った後、建物だけでなく敷地を含めた形で一般公開されている美術館です。

その見学に勢い付かされてしまったらしく、その後も「庭園」とか「建築」についてあれこれ調べていたら、東京には「邸宅のように、常時誰かが住んでいるわけではない」けれど、「美術館のように年がら年中公開されているわけでもない」という、ちょっと中途半端な位置付けの建物もあることに気づきました。

それが、こちら。 元赤坂にある迎賓館です。

ここは、外交儀礼のために海外からの賓客接遇するための施設です。

しかも、現役施設ですから、先日開かれた「日中韓サミット」のような外交イベントで使用されます。

ただ、使われていない期間には、一般公開されており、誰でも国賓気分に浸れるのです。

で、先日私も「なんちゃって国賓気分」を味わいに行ってきました。

※正確には「見学」ではなく、「参観」と表現されています。

まずは、敷地内に入ります。

正門から入場しても、前庭の見学しかできません。

館内と主庭(建物をはさみ、前庭の裏側)を見たい人は、敷地横にある通用門のような「西門」から入場します。

場所はこの辺でした。

西門を入ると、すぐ橋を渡ります。

この辺は結構高台にあるのに、川でも流れているのでしょうか。

欄干の下を覗いてみたら、そこには水ではなく「車」が流れていました。しかも猛スピードで。

そうなのです。

実は迎賓館の敷地(主に前庭)の一部の地下を、首都高速の都心環状線(通称C1)が通っているのでした。

ここに「迎賓館専用のランプ(出入口)」を作れば、VIP達の移動もラクラクになるはずです。まぁ、テロの格好の標的になりそうだからあり得ませんが。 それでも「迎賓館を先頭に2キロの渋滞」みたいな交通情報を聞いてみたかったです。

そうこうするうちに、主庭に到着です。

正門から見ると「裏庭」にあたるのですが、あくまでもこちら側が「主の庭」とのこと。

主庭から見た本館。夕方だったため、「主庭はあと15分で閉めます。建物内より先にこっちこっち!」と急かされました。まずはお庭探訪。

本館の向かい側には大きな噴水がありました。

本館の外観もそうですが、噴水のデザインも含め、「ザ・西洋」って感じの様式です。

庭の木立ちの向こう側に、ホテル(ニューオータニと、その後ろにはガーデンテラス紀尾井町)が顔を覗かせてます。

木立ちの中に、和風別館もあるのですが、今回は行けませんでした。

夕闇迫る迎賓館の噴水です。

夕焼けと水って、相性が良いようです。

噴水ごしの本館。

ここだけ切り取ると、「フランスに行ってきました」で全然通用しますね。

でも、ニューオータニがフレームインすると、やっぱりここが元赤坂の迎賓館だと気づきます。

「こちとら江戸っ子よっ!」とニューオータニのガーデンタワーが叫んでいるかのよう。

本館と夕焼け。

この本館は、「ネオバロック」と呼ばれる様式で建てられているそうです。

もう少し日が沈むまで主庭にいたかったのですが、「はい、お庭は終わり〜」と追い出されたため、しょうがなく本館内へと向かいました。

(実際には、もっとポライトに案内されますからご心配なく)

で、本館内部に移動してみたところ、館内は「撮影禁止」のため、写真でのご紹介ができません。

ということで、以下は、リンクと拙い解説でご覧ください。(トホホ)

まずは、正面玄関・中央階段から。

リンク先には「きらびやかな世界への入り口」という表現がありますけど、確かに「ザ・西洋」な、バタ臭いゴテゴテとしたデコレーションケーキのような内装です。これをネオバロック様式と言うのでしょう。

続いて、各国首脳との会談などが開かれる彩鸞の間(さいらんのま)です。

壁じゅう、天井じゅうのレリーフやらシャンデリアやら、もう金だらけです。

よく見ると、鎧かぶとをモチーフにしたレリーフがあったりと「和」を取り込んだデザインにもなっていますが、とにかく全体がゴテついているので、西洋チック、ヨーロピアンチックな印象しかありません。

次は、羽衣の間という舞踏室です。

舞踏会用の機能として中二階に「オーケストラボックス」がしつらえてありました。

こちらは、花鳥の間。晩餐会や記者会見などに使われるそうです。

他の部屋よりは、シックな印象です。

そして、朝日の間

最も格式ある部屋らしいのですが、現在天井画などの修復中のため、2019年3月まで閉室・未公開となっていました。この部屋も見たい方は、あと1年ほど待ちましょう。

館内は撮影だけでなく、いろんなことが禁止されています。

以下のリンク先によると、その理由は「国宝だから」とのこと。

館内のあちこちにガイドスタッフというか監視役というか、とにかく多くの職員さんが配置されておりまして、見学者が滞留してくると暗に「さっさと進め」というような指示を出して来ますし、「レリーフに触るな、備品に触るな、移動用の階段では手すりを持って、壁から離れろ」とかなりやかましくご指導をいただきました。(実際の言い回しはもっと穏やかです。くどいですが念のため)

現に私も、何気なくシャツの胸ポケットにスマホを入れていたところ、

「スマホは、カバンにおしまい下さい」

と注意されてしまいました。

なんの撮影もしていなかったのに、です。

で、彼らガイドスタッフ(という名の監視員)の一人に

「あのー、別にイチャモンじゃなく、本当に純粋な興味としてお訊きするので、お気を悪くなさらないで欲しいのですが、内部の撮影が禁止されている理由は、なぜなんでしたっけ?」

とたずねたところ、1人目のガイドさんには

「すいません、私はそういうこと分かりません」

とピシャリとやられ、2人目のガイドさんからようやくセキュリティ上の理由であることを教えてもらいました。

ここは、「旧宮邸」とか「○○城跡地」などではなく、海外要人を接遇する現役施設であり、国賓クラスのVIPが宿泊したりもするのです。

で、たまたま利用しない期間だけ一般人に参観させているということなので、館内レイアウトが丸分かりになってしまう写真撮影など、もってのほかなのでしょう。

「公開」ではなく「参観」という表現を使っているあたりにも、「見ていただくんじゃなく、セキュリティ上の問題がなさそうな範囲で見せてやってるのだ」という意識がにじみ出ているような気もします。

セキュリティ上の理由で撮影禁止なのだとしたら、ならばいっそのこと「庭は公開するが本館内部は非公開。そのかわり、持ち出し可能な調度品や食器などについては年に1回の『迎賓館展』にて公開。ただし会場は外部にて」のように正倉院の公開スタイルと同じにしてしまってもいいんじゃないでしょうか。

まぁ、「ネオバロックという建築様式が好きではなく、見られなくなっても一向に構わない」という私個人の趣味が強く反映している意見ではありますが。

美術とか建築の様式への好みなど人それぞれなのですが、私は(ネオ)バロックに見られる、

「装飾は過剰に!」

「アール・デコのような幾何学性は皆無で、曲線だらけに!」

「隙間はとにかく何かで埋める!」

「空白はデザインの敵!」

と言わんばかりのゴージャスぶりが、どうしても好きになれません。

レリーフのデザインモチーフに、いくら鎧かぶと日本刀を取り入れたとしても、これだけのゴテゴテ感には、ちょっとついていけません。。

【備考】

「バロック」を含め、様々な建築様式の比較はこちら。

で、館内の金ピカっぷりに胸ヤケを起こしながら外に出てみると、すっかり夜です。

帰りは前庭を通って正門から退出します。

本館が、良い感じでライトアップされていました。

上空にはお月様も。

ライトアップされた本館を正面から。

「おぉ、アンドレ!」「オスカル!」の舞台みたいな。 時代と場所が合ってるかどうかは知りませんが。w

ライトのデザインひとつとっても、曲線が多用されています。

外壁にも装飾が施されまくっており、無地の部分は見当たりません。

本館のほぼ全景。

「色の白い」だけでなく、「夜の暗い」も七難を隠してくれるようです。

うねうねしたデザインの街灯に見送られて、さようなら。

「朝日の間」が再公開されたら、また来る・・・かなぁ? 微妙です。

バロック様式で腹いっぱいになってしまいましたが、その後は四谷の肉料理屋さんで本当の胃袋を満たしてまいりました。

ちなみに、四谷・しんみち通りにある「MANRUI」さんでいただいたお肉の盛り合わせです。ごちそうさまでした。

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