昨日、テレビ朝日の情報番組『グッド!モーニング』内の“池上彰のニュース検定”で、こんな問題が出されていました。
日本人のフルネームを、ローマ字表記で“名 → 姓”の順で書くようになったのはいつから?
選択肢は「明治」「大正」「昭和」の3つで、正解は「明治時代」だそうです。
池上さんによると、
「名 → 姓」表記は、明治時代の欧化主義の一環。
欧米列強にいち早く追いつきたい明治政府の意向もあり、氏名表記も欧米慣習を導入したと言われている。で、現在。
政府はローマ字表記を「日本の伝統を重視したい」ということから、「姓 → 名」の順にしようとしている。
今年は東京五輪が開かれるため、日本人の名前が国際的に注目されることが多くなるので、いいタイミングだとされている。
今月(1月)から、公文書での表記で採用開始。
なんだそうです。
多くの日本人にとって、自分の名前をローマ字表記する機会として最も多いのは海外旅行に出掛ける時だと思います。
ホテルのチェックインや各種申込書にブロック体で記名する際、さらには自分の名を名乗る時にも、学校で習った通り「名 → 姓」の順で書いたり喋ったりすることがほとんどじゃないでしょうか。
しかし、
- パスポートの氏名表記は、既に“上段に姓、下段に名”、つまり「姓 → 名」の順になっている。
- 例:YAMADA TARO など
- よって、パスポートの氏名表記に準じなければいけない飛行機の搭乗券も、「姓 → 名」表記となっている。
- 例:YAMADA/TARO など(←なぜかスラッシュが入ります)
というふうに既に「姓 → 名」が定着している面もありますから、外国に出掛けた際でも(国内同様に)「My name is ヤマダ タロウ」と言えたほうが統一感があるかもしれません。
そうなると、次に問題になってくるのはクレジットカードでしょう。
クレジットカードは…、
- 入会申し込み時には「姓 → 名」の順で記名を求められるのに、いざカードが出来上がってみると表面のローマ字氏名は「名 → 姓」になっている。
- 一方で、カード裏面のサインを日本語(かな漢字)で書いている人が多く、その場合、カード利用時の署名は「姓 → 名」になる
というふうに、ちょっと気持ち悪い状態になっています。
これを機に、クレジットカードの氏名表記も「TARO YAMADA」から「YAMADA TARO」へと変えてしまった方が何かとスッキリしそうな気がします。
実は、このニュースに接して真っ先に思い出したエピソードがあります。
それは高校時代に使っていた英語の参考書に載っていた「日本人の名前をローマ字表記する場合の例外」に関するプチコラムです。
そのコラムには、こんなことが書いてありました。
- 表記順は「名 → 姓」が原則です。
- ただし、歴史上の人物などの有名人では、例外的に「姓 → 名」の順で書くことがあります。
- 例1:織田信長 → Oda Nobunaga
- 例2:長嶋茂雄 → Nagashima Shigeo
これを読んで、高校生だった私は猛烈に驚きました。
織田信長はともかく、長嶋さんは歴史上の人物なのか?
“歴史上の人物”って、存命中の人も含まれていいのか?
今から振り返れば、当時の長嶋さんはプロ野球の現役選手でもなく、読売巨人軍の監督でもなくなっていた時期なので、「有名ではあるが一線を退いた過去の人」というイメージがあったとは思いますが、それでも“「姓 → 名」表記されてしかるべき人”として織田信長と同列に扱われているのが、不思議でしょうがありませんでした。
こんなワケのわからない基準で「名 → 姓」か「姓 → 名」が決まるんだったら、有名無名など関係なく、全員「姓 → 名」で統一しちゃえばいいじゃん、というのが若かりし頃の私の感想だったのですが、令和の時代になって、ついにそれが実現するわけです。
「のぶなが・おだ」じゃなくて「おだ・のぶなが」。
「しげお・ながしま」じゃなくて「ながしま・しげお」。
実際に発音してみても、やはり「姓 → 名」のほうがシックリきますよね。
かと言って「ジャクソン・マイケル」と呼び直す必要も必然もないわけで、やはりこういうのは各国の事情に合わせておけばいいんじゃないかと思います。
(ちなみに、マイケル・ジャクソンを中国語で書くと「迈克尔·杰克逊」となります)
【参考リンク】
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