こんな「日比谷図書文化館」でした。(その2:撮影編)

こんな「日比谷図書文化館」でした。(その2) Architecture/建築
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前回に引き続き、日比谷公園内にある「千代田区立日比谷図書文化館」ネタです。

前回は、この施設のすばらしさをあれこれと紹介させていただきました。

こんな「日比谷図書文化館」でした。(その1)
こんな「日比谷図書文化館」でした。(その1:ベタ褒め編)
先週、新橋での打合せがあったついでに、日比谷公園内にある「千代田区立日比谷図書文化館」に行ってきました。かつては都立の「日比谷図書館」でしたが、2009年に千代田区へ移管され、2011年に「日比谷図書文化館」としてリニューアルオープンされた...

今回は、逆に、気になった点をお伝えしてみます。

館内は、全館「撮影禁止」

読書や資料探し、勉強などの目的で来館する人がほとんどですから、その方々のプライバシーを侵害したり、静寂な空間を毀損するような行為は厳に慎まなくてはいけません。

また、書籍の著作権との兼ね合いもあるでしょうから、無断複製にも繋がりかねない撮影行為を禁じることも、基本的に理解できます。

私も撮影目的で訪問したわけではありませんでしたから、ことさら「全館撮影禁止」を気にとめることもありませんでした。

しかし、前回ご紹介した「パスファインダーコレクション(各種情報へのアクセス方法をジャンル別・目的別にまとめた情報検索マニュアルチラシ集)」の出来があまりに素晴らしく、ラックのような所にそれらが綺麗に並べられていることにも(なぜか)感動したため、その陳列状態を写真に収めたくなってしまいました。

これが「パスファインダーコレクション」の一部です。館内では専用のラックのような所に収められています。この写真は持ち帰ったものを撮影したものです。

「撮影申請」を試みたが…

そこで、通りかかった女性スタッフに「館内は撮影禁止であることは承知しているが、このパスファインダーだけ写真を撮らせてもらえないか」とたずねてみましたが、「事務室に行って撮影申請を出し、撮影許可をもらって下さい」との反応でした。まぁ、もっともです。

続いて事務室に行き、「撮影申請書(個人利用)」という書式を渡されながら手続き方法を教えていただいたのですが、結局、撮影を断念することにしました。

なぜなら、「この申請書を出しても、撮影した画像はホームページ、Facebook、twitterなどSNSへの掲載はできない」という説明があったからです。(実際、申請書上にも「掲載できない」ことを了解させるチェック欄がありました)

この「撮影申請書(個人利用)」で許可されるのは、あくまでも「個人利用目的」だけであって、媒体への掲載が前提の場合には、別の「取材申請書を「取材希望日の3日前までに提出」して「事前許可を得る」必要があるのだそうです。(取材申請に関する情報は、こちら

つまり、「ブログで紹介したいから写真を撮る」ことは、「媒体掲載するための取材・撮影」と同じ扱いになるらしいのです。

まぁ、それもそれで一つの見解ですから、その運用方針を部外者がとやかく言える筋合いではありませんが、無料で配布している「案内資料」の陳列状態を1枚撮影してブログで紹介するのが、これほどハードルが高い行為だとは、全く想像しておりませんでした。

正直、気分が萎えました。

お堅い書式内の不思議な選択肢

また、最初に手渡された「撮影申請書(個人利用)」の記入欄にも違和感をおぼえました。

「どこを撮影したいのか」を選択肢の中から選ぶ「撮影場所」という欄があるのですが、その中に、なんと「外観」という選択肢が含まれているのです。

日比谷図書文化館という建物の、

しかも内部ではなく外観を撮影して、

ネット上への掲載などせずに、

「時々誰かと写真を眺めてニヤニヤしたり、スマホの壁紙にする」などの個人利用に留める。

こんな程度の行為についてすら、「申請と許可が必要」らしいのです。

かなり驚きました。 というか、ドン引きです。

たまたま日比谷公園内を散歩していて「この三角形のヘンな建物の前で記念撮影しよう」と思った人が、建物4階にある事務室まで出向いて撮影許可申請をすることなど、100%ないと思います。

だいたいにおいて、たまたま日比谷公園を散歩していた人が、そんな手続きが必要であることなど、120%知らないハズです。

ましてや、「今日、日比谷でヘンな形の建物見つけたよ」と、ネット上に写真を上げてつぶやきたくなった人が、「3日前に取材許可の申請をする」ことに至っては、1200%あり得ないと思います。

ちなみに、書式内「撮影場所」欄の選択肢には「ショップ&カフェ(1階)」や「レストラン(地下1階)」も含まれています。

私が使わせていただいた1階だけでなく地下1階のお店も、どちらも写真付きでフツーに食べログにも掲載されていますので、そのうち「申請が出ていないぞ! 許可してないぞ!」と食べログさんにクレームが入るかもしれません。

プロント ライブラリーショップ&カフェ日比谷 (内幸町/カフェ)
★★★☆☆3.06 ■予算(昼):~¥999
ライブラリーダイニング日比谷 (内幸町/ヨーロッパ料理)
★★★☆☆3.06 ■予算(夜):¥1,000~¥1,999

念のため、ちょっとお堅い部分も確認しておきます。

著作権法上では、全く同じ設計で勝手にビルを建てたり、そのミニチュアを販売目的で勝手に作ったりしない限り、「建築の著作物」については誰でも自由に使えることになっているそうです。(参照ページはこちら

さらに、都立公園(日比谷図書文化館は都立の日比谷公園内にあります)を管理する東京都建設局も、

記念写真・風景写真などの撮影は、申請不要

「申請が要るのは、営利・非営利に関わらず公園の一定の場所一定の時間排他的、独占的に使用するような場合」

としています。

それってつまりは、「テレビ・映画・雑誌などの撮影(のみ)が念頭におかれている」ということですよね。(参照ページはこちら

まとめますと、法的にも、公園の管理規則上においても、日比谷図書文化館の外観撮影許可制にしておける根拠は見当たらなそうなので、「撮影申請書(個人利用)」の「撮影場所」欄の選択肢から、せめて「外観」は削除なさったほうがいいのでは? と考える次第です。

ということで、パチリ。

「この写真を撮るのに許可が必要。さらに、ネット上にアップするんなら、別の取材申請を出せ」って、どんだけシャイなんでしょう、しかし。

「気になった点」が実はもう1つあったのですが、長くなったので回を改めます。

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