エリザベス女王逝去の第一報を伝えるBBCの記者解説がすごかった。

News/報道
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9月30日から日本で封切られる映画ダウントン・アビー/新たなる時代へを鑑賞する前に、これまでのテレビシリーズをおさらいしようと思い、ここ数日U-NEXTでシーズン1から順次一気見を続けています。

 

で、昨夜(というか今日未明)。

シーズン4の「主人公一家に居候しているローズ嬢が社交界デビューするんで、イギリス国王に謁見」というシーンを見ていたまさにその時、スマホのニュースアプリが「エリザベス女王が亡くなった」という速報を伝えてきて、あまりのタイミングにしばし絶句してしまいました。(当然、一気見はいったん終了。というかそんな夜中まで一気見って、、、)

 

在位期間が70年ですから、イギリス国民の大半は彼女以外の王を体感していないわけで、その喪失感たるや大変なものだと思います。

何はともあれ、お悔やみ申し上げます。

 

今朝6時からのNHK BS1の「ワールドニュース」では、その3時間ちょい前にイギリスの公共放送BBCが速報した「訃報の第一報」を日本語同時通訳付きでそのまま伝えておりました。

BBCニュースの日本法人サイトでも、その冒頭部分が今なら(日本語字幕付きで)視聴可能です。
厳粛な顔で訃報を伝えるキャスター(ヒュー・エドワーズさん)の奥で、歴史的瞬間を記録するかのように報道スタジオ内をスマホ撮影している二人の女性スタッフの姿が印象的でした。ある意味、このニュースの重大性を象徴しているようにも思われます。↓

 

さらに、本国BBCニュースでは、日本法人サイトがカットしている「通常番組を中断して重大なニュースをお伝えします」シーンや、第一報の後の「エリザベス女王の生前の肖像写真&イギリス国歌」シーンも含めてyoutubeで公開しています。まさに「厳粛」の一言につきます。↓

 

前述のNHK BS1「ワールドニュース」では、さらにこのあとの王室担当記者(編集委員) ニコラス・ウィッチェル(Nicholas Witchell)さんによる“彼女の生涯・女王としての活躍の数々・お人柄・国民の喪失感”などに関する解説コメントシーンも放送されていました。

第一報に続く記者解説ですから、これはいわばイギリス公共放送BBCとしての公式追悼文とも言えるものだと思いますが、日本語同時通訳で聞いていても非常に格調高い内容であることがうかがえました。

備忘メモとして、聞き書きですが一部抜粋引用します。(太字やカッコ注釈は筆者)

戴冠式の夜、BBCの放送で(女王は)こう述べました。
「一生を通じ、全身全霊であなた方(国民)へのサービス(奉仕)に値するよう努めます」
これこそが女王のメッセージです。

70周年の際の言葉にも見られましたが70年の在位の成功の鍵と言える言葉があるとすれば、
それはよく言われている義務感ではなく、慎ましさ・謙譲の精神だと私は思います。

今(テレビ画面に)出ているのは戴冠式の映像です。
カンタベリー大司教から王冠を受けるところです。

重々しい立場にあっても、そのこと(=重い立場)に惑わされませんでした。
本能のように理解していたのだと思います。
世襲の君主としてイギリス国民や他の国の人々の信頼を勝ち得ることが必要です」と。
理解してそうしたのです。

信頼を勝ち得、保ち続けました。
君主制を強く保ちました。

NHK BS1「ワールドニュース」で放送されたBBCニュースより。

多分に主観も入っているんでしょうが、長年取材してきた記者だからこそこのような国民の胸を打つコメントができるんでしょうね。

 

これに続く次のくだりは、さらに興味深い内容でした。↓

もちろん、その道にはいくつかのデコボコ(bumpと表現)がありました。あるのが当然です。

それはほぼ全て女王以外の王室のメンバーによって引き起こされたものでした。
女王は、謙譲の精神と常に義務を優先することで自分の役割を果たし続けました。
根本のところで女王をよく知る人たちがそう言っていますが、真っ直ぐで気取りのない地に足がついた女性でした。

NHK BS1「ワールドニュース」で放送されたBBCニュースより。

BBCは、日本でいったらNHKのような存在なわけですが、訃報第一報でここまで王室のスキャンダルを思い起こさせるコメントを流すあたり、さすがイギリスといったところでしょうか。(NHKじゃ考えられない…)

 

そして極め付けは、これ。↓

(女王は)どちらかで言えば控えめ、若い時は特にそうでした。
他の王室のメンバーに時に見られたかもしれないうぬぼれや押し付けがましい振る舞いはありませんでした。

NHK BS1「ワールドニュース」で放送されたBBCニュースより。

「かもしれない」と断定を避けてはいるものの、訃報の臨時ニュース中でも他の王室メンバーを批判するようなことも敢えて言っちゃってるんですよねぇ。。

これがイギリスのお国柄ということなんでしょうし、ある意味“健全な民主主義”に立脚した公共放送の姿勢のあらわれなのかもなぁ、と思いながら視聴させて頂いた次第です。

まぁイギリス国民にしてみれば、「うん、そんなこととっくに知ってるし。だからこそクイーンエリザベス二世が好きだったんだよね」ということなのかもしれません。

イギリスという国の成熟ぶりを垣間見たような気がします。

合掌。
R.I.P.


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