「飛行機が全焼した理由」が分かった気になれるニュース記事について。

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羽田空港で発生した「日本航空516便と海上保安庁みずなぎ1号の衝突炎上事故」ですが、炎上直後のNHKのライブ映像を見ていた段階からずっと不思議だったことがあります。

それは、「炎上の途中で、機体の壁が焼け落ちて骨組みだけが残ったり、火に包まれた機体(の上部)が崩落したりしてたけど、飛行機って、熱に強い金属(アルミとか鋼鉄とかチタンとか)で作られているんじゃないの? それが、こうも短時間でメラメラと燃えてしまっていいの? それとも、金属をも燃やし溶かしてしまうほどの熱い炎だったってこと?」ということです。

参考になりそうな記事をようやく見つけた。

この点がずっと疑問だったのですが、昨日になってこの回答になりそうなWeb記事に辿り着きました。

それがこちらの「全員避難まで焼け落ちず。JAL機炎上から乗客の命を守った『日本企業』の功績」です。↓

乱暴に要約すると…

  • 当該機体は、炭素繊維(カーボンファイバー)などの複合材を全面的に使用した大型機である。
  • 「炭素繊維」は可燃素材なので、最後は焼け落ちる。
  • もちろん、その延焼を先延ばしするように設計されていて、その基準(のひとつ)が、「(90秒以内に脱出させるという例の)90秒ルール」である。
  • 今回の事故は、炭素繊維が多く使われた大型機が全焼した初の事例なので、今後の検証が注目される。

という感じで、つまりは「全焼しても不思議じゃない」ということらしいです。

 

ついでにお伝えすると、海外(英語)メディアなどは1月5日の段階で、「炭素繊維を使った(炭素繊維で強化した)飛行機の炎上」という視点で記事を公開しています。

例えば、ロイターさんの「焦点:羽田事故での大火災、炭素繊維複合材の安全検証する初の機会に」。↓
機体全体の53%に炭素繊維複合材が使われていたそうです)

 

こちらはブルームバーグさんの「羽田航空機事故で火災、炭素繊維複合材をどう検証するか」。↓

 

さらにビジネスインサイダーさんの「衝突、炎上したJAL機に使われていたのは『炭素繊維強化プラスチック(CFRP)』…専門家の注目が集まる」。↓

 

「炭素素材はアルミよりも低い温度で強度を失う」「アルミは600度で溶解するが炭素繊維はその6倍の高熱に耐える」など、記事によって評価が異なっていますが、「どっちの素材でも焼け落ちるほどの強烈な炎と熱が長時間続いたはず。今後の検証が大事」という点ではどの記事も共通しておりますので、関係機関・関係企業の今後の調査に期待したいと思います。

いずれにせよ、大変勉強になりました。

余談。

「いくつかのヒューマンエラーが複合的に重なって発生した事故ではないか」という専門家の考察を見聞きする本件、素人の分際で私も悪ノリ参入してみますが、海上保安庁の小型機をC滑走路の途中から離陸させず、他の大型機同様「滑走路の先端まで誘導し、そこから離陸」させれば今回の衝突は防げたんじゃないかと思います。

海保機も、大型機に混ざって離陸の順番待ちをして、滑走路の先端まで静々と走行する「飛行機の大名行列(←羽田や成田でよく見かけますよね)」に加わっていれば、海保機側がやみくもに滑走路に侵入することはなかったと思いますし、管制側も「暗闇の中で滑走路の途中から侵入する小型機」を見逃すこともなかったんじゃないでしょうか。想像ですが。

で、「途中から離陸」させた理由ですが、まずは「小型機は、長い滑走路をフル走行しなくても離陸できる。だから途中から離陸させた」というあたりが考えられます。推察ですが。
しかし、それを見落とすぐらいだったら「機体の大きさに関係なく、すべて先端から離陸させるべし」でもよろしいのではないかと。

理由のふたつめは、「海保機の離陸目的が被災地支援だったこと」ではないかと思います。
この目的は機長側はもちろん、管制側にも伝わっていたはずであり、そんな緊急性の高い海保機を、通常の定期便の「大名行列」に混ぜて離陸の順番待ちをさせるわけにはいかないというプレッシャーが(双方に)働いていたとしても不思議ではありませんし、「たまたま滑走路の途中からでも飛び立てる小型機だったので優先離陸させやすかった」という事情も重なって起きてしまったとも考えられます。憶測ですが。

さらに付け加えれば、もしこの時、支援物資を運ぶ機体が「政府専用機のような大型機」だったら、普通に滑走路の先端から(他の旅客機に混ざる形で)普通に飛んだんじゃないかと思います。

まぁ、機体の大小や目的の如何に関係なく、すべての飛行機を安全に飛ばすのがパイロットさんや管制官さんのお仕事なので、こんな「たられば」ばかりを妄想してもしょうがありませんが、なんか、いろんな不備・不注意・不運・偶然が重なって起きた事故なんだろうなぁ、という印象を持たざるを得ない残念なニュースではありました。

詳細な調査報告を待ちたいと思います。


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