こんな「ペンタゴン・ペーパーズ」でした。

映画館で「SFでも3D上映でもない作品」を見るのは、実に久々でした。

先日見た『ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書(原題:The Post)』は、「機密文書を隠そうとする政府 vs それを暴こうとするジャーナリズム」が描かれている、実話をベースにした社会派作品ですが、

監督:スティーブン・スピルバーグ

主演女優:メリル・ストリープ

主演男優:トム・ハンスク

音楽:ジョン・ウィリアムズ

という豪華な布陣ですから、娯楽性も十分に備わった作品と言えるでしょう。

ストーリーは、こんな感じです。

ベトナム戦争が長期化して、アメリカ国民に「この戦争、なんだかなぁ」という気分が蔓延。

そんな中、国防総省は戦況などを客観的に分析し「勝つ見込み、ないですから」という機密文書(通称:ペンタゴン・ペーパーズをまとめる。

国防長官は文書を読んだけど、シカトして戦争継続。若者は戦地へ送られ続けて死に続ける。

文書執筆者の一人が「こんなの、良くない」と思い、ニューヨーク・タイムズ紙リーク

ライバルのワシントン・ポスト紙編集トップ(トム・ハンクス)は「先越された! なんとかすっぞ、オラァッ!」といきり立つ。

いろいろあって、ワシントン・ポストも文書入手。トムは「おっしゃぁ、巻き返すぞ!」と意気込むが、先にスクープしたニューヨーク・タイムズは司法省から「連載やめれ!」と訴えられたので、記事にしたら自分のとこも政府から睨まれることは必至。

よりによって、トムの上司である女性社主(メリル・ストリープ)は、文書をシカトした国防長官と昔からの仲良し
しかも、「亭主が死んだから新聞社を継いだ」程度の社主なので、ジャーナリズムにはトンと疎い。

記事にしたいトム。そして、まずは親から譲り受けてきた新聞社経営と“国防長官との友情”を守りたいメリル。さぁさぁ、どうなる?

こう書くと、熱血ジャーナリスト(トム・ハンクス)が、経営オンチの女社主(メリル・ストリープ)とどう対決するのかという下世話な展開を予想する方もいるかもしれません。

まぁ、そういうシーンも当然ありますが、「編集トップのトム」と「経営トップのメリル」は基本的にはお互いをリスペクトし合っていますし、作品には単なる勧善懲悪でなく「事実を追求するジャーナリズムってもんが、いかにシンドイものか。でもいかに大事なものか」という視点が貫かれているため、二人に対して等距離で感情移入できる作品に仕上がっています。

もちろん、そこには二人の演技力が大きく貢献しているわけですが、これは是非「字幕版で(=本人たちの肉声とともに)」鑑賞することをオススメします。

スピルバーグの各種インタビューを見ると、「フェイクニュース」と称しながら報道メディアを目の敵にする現職大統領への明確なアンチテーゼとして、この映画が作られたことは明らかです。

そんな思いを抱きながら、戦争を背景としたシリアスな実話であってもキッチリとエンタメ作品に仕上げるあたり、ハリウッド(というかスピルバーグというか)の力量は本当にスゴいと思います。

もっとスゴいのは、実際の「ペンタゴン・ペーパーズ」がアメリカ国立公文書記録管理局によってwebで公開されているということです。

「こういう、あけっぴろげで正々堂々とした姿勢こそ、民主主義の根幹を支えるために必要なんですよ」と言われているような気がします。

一方で、『スノーデン』という映画で描かれているような「超ハイパーな通信傍受・情報収集」を実行するのもアメリカという国ですので、その振れ幅の大きさには軽いめまいを感じます。w