接触確認アプリ「COCOA」のリリース当日(6月19日)、「感染者との接触通知が来ても、『症状なし&身の回りに感染者っぽい人がいない』なら注意喚起のメッセージが出ておしまいになる」件について書かせてもらいました。↓
で、それから2ヶ月後の8月21日、厚労省がその運用について見直す旨の通達を出したという報道がありました。
めぼしい記事をピックアップしてみます。
- 8月21日付 ケータイWatch「COCOAで通知を受けた人は行政検査の対象に――厚生労働省が通達」
- 「濃厚接触の可能性を通知された際、本人が検査を希望した場合、行政検査として取り扱うよう、各自治体へ事務連絡として通達した」そうです。
- 8月21日付 テレ朝NEWS「COCOA通知からの検査は自己負担なし…自治体に徹底」
- 「通知が来た人はすべて、症状があるかないかや感染者と濃厚接触しているかどうかにかかわらず、自己負担なしで検査が受けられることを明確にして全国の自治体に伝えた」とのこと。
- もともとそういう方針だったようにも読めますが、「現場に十分に伝わっていなかったため、各地の保健所などから自己負担なしで検査をしてもいいのか、問い合わせが相次いでいた」ので、「改めて明確にした」んだとか。
- 「通知が来た人はすべて、症状があるかないかや感染者と濃厚接触しているかどうかにかかわらず、自己負担なしで検査が受けられることを明確にして全国の自治体に伝えた」とのこと。
- 8月22日付 NHKニュース「接触確認アプリ 通知受けた人は検査対象 保健所に周知 厚労省」
- 「保健所の中には、通知を受けた人でも症状がなく、濃厚接触者か確認できない場合は、行政検査をしないケースがあるという」だそうです。
(テレ朝さんの「問い合わせ」というトーンからさらに踏み込んで「敢えて検査しない」事例についてまで言及してます) - また厚労省は、「今後、通知を受けた人が検査を希望する場合は、アプリで検査機関の連絡先などを伝える」ことにしていて、さらに「通知を受けた人が、より検査を受けやすい体制になるので、積極的に利用してほしい」と呼びかけているとのこと。
(まぁ、これまでのもろもろの経緯を振り返ると、厚労省がどう呼びかけたとしても、各地の現場(保健所)の業務過多が続く限り、どこまで実効性があるのかは、やはり疑問が残ります)
- 「保健所の中には、通知を受けた人でも症状がなく、濃厚接触者か確認できない場合は、行政検査をしないケースがあるという」だそうです。
- 8月23日付 医療専門サイト(m3.com)の「『COCOA』で接触通知の場合、行政検査に積極誘導へ」
- 「これまで保健所や自治体によって検査の可否判断にぶれがあったことから、今回の通知で検査対象であることを明確化した」とのこと。
- また、アプリから通知があっても、これまでは「症状や濃厚接触の心当たりがない場合は健康観察を促す画面が表示」されるだけでしたが、「今月中にアップデート不要の簡易的な改修」をして、「症状や濃厚接触の心当たりがない利用者にも検査を希望するかを確認する画面を追加することで、希望者に行政検査の連絡先を知らせる仕様に変更」するんだそうです。
- さらに、「アップデートが必要な大規模改修も予定しており、利用者が直感的に検査に誘導できるような画面に変更する」とも伝えています。
(医療専門サイトだけあって、詳細に伝えています)
- 「これまで保健所や自治体によって検査の可否判断にぶれがあったことから、今回の通知で検査対象であることを明確化した」とのこと。
つまり、「『濃厚接触の可能性あり』の通知が来ても、症状がなく、周囲に感染者らしき人がいないのであれば、2週間は経過観察して下さい。途中で症状が出たらまた問い合わせて下さい。これだけでは行政検査の対象にはなりません。どうしてもというなら自費で検査してもらって下さい」という運用が見直されるということです。
無症状の感染者がたくさんいるのが新型コロナの特徴なので、「当初のリリースから2ヶ月かかったけど、これでようやくCOCOAアプリ本来の運用になった」と感じずにはいられません。
ただし、「本当にこの通りに運用されるのだろうか?」という不安は残ります。
前述のように、国(厚労省)は自治体などへ通達・事務連絡すれば済みますが、これに従って検査をするのは各自治体(の保健所)ですから、そこの目詰まりが解消されないままこの運用に突入すると「ますます忙しくなる。通達が来たって、できないものはできないんです」ということとなり、結局は「検査してもらえない・検査まで何日も待たされる」という状況が続くんじゃないかということです。
ということで、8月21日付の厚生労働省 事務連絡「新型コロナウイルス接触確認アプリ(COCOA)で通知を受けた者に対する 行政検査等について」という原典を見てみたら、そこにはこんな一文がありました。
「当該整理に 従い、本アプリで通知を受けた者に対して検査を行う場合は、症状の有無や濃厚接触者に 該当するか否かに関わらず、行政検査として取り扱っていただくよう、お願いいたします」
「通知を受けた人に検査をするなら行政検査(無料)でやってあげてね」ということですから、「公費での検査を徹底している」ように読めます。
しかし、「検査を行う場合は」というフレーズを深読みすれば、「検査をしない場合もあり得る。つまり通知を受けた人に(諸般の事情で)検査しない(できない)余地も相変わらず残している」ようにも読めます。
これが私の取り越し苦労ならいいのですが、さっきのPDF後半にあるQ&Aに追加された想定問答の中には…、
- (保健所長が判断した場合を除き)COCOAアプリで通知を受けた者に対する行政検査は、濃厚接触者に対する検査とは別ものだからね。
- だから、検査対象者は濃厚接触者として取り扱わないよ。よって14 日間の健康観察の対象にもなならないよ。
- この検査は陰性を証明するものではないことを対象者に説明しといてね。
など、「直接関係しないかもしんないけどさ、なんか、ちょいちょい予防線を張ってるよね」チックな但し書きもあり、やはり“通知があっても検査しない(できない)、あるいは何日も待たされる”というユルい運用が黙認されちゃうんじゃないかという懸念が残った次第です。
なんたって、総理大臣が「PCR検査件数を増やす!」と指示しても、「希望者全員」どころか、医師が必要とした検査すら滞った経験を持つ国ですから。
ちなみに、8月25日の加藤勝信厚労大臣の記者会見では、「接触通知を受けたすべての方に検査を受けていただけるようにいたします」との発言もありますが、やはり「接触通知を受けた方に対して検査を行う場合は…」という場合分けもしています。うーむ…。↓
そんなこんなで、本日17時から予定されている安倍総理の記者会見も注目させていただきます。
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