誤送金をした阿武町の不思議なミス【解決編】

News/報道
スポンサーリンク

前回投稿した「山口県阿武町から誤って振り込まれた4630万円の給付金の一部を別の口座に振り替えたとして24歳の住民が逮捕された事件」ですが、今朝になってNHKさんが「(オンラインカジノへの)決済代行業者のうちの1社から、3500万円余りが町の口座に返還されたことが捜査関係者などへの取材でわかった」と報道しています。

町側はなぜか「コメントは差し控えたい」としているそうですが、3500万円余りの返還が事実であれば、これは喜ばしい話です。

残る1100万円についても、ぜひなんとか頑張っていただきたいものです。

 

この事件で私が一番気になっているのは、前回投稿した通り、

  • 4月1日に送金先個人情報が記録されたフロッピーディスクを銀行側に渡し、振込手続きが完了したのに、町側はなぜそれから5日も経った4月6日に「振込(送金)依頼書」を銀行に提出したのか?

この1点であります。

誤送金の大半が戻ってきたのであれば、今後はぜひこの点を集中的に解明していってほしいと思います。(オンラインカジノのしくみとか、容疑者の経歴とか、もう飽きましたので)

 

 

前回も書きましたが、19日に放送されたTBS系列情報番組「ゴゴスマ」による独自取材の結果を再掲します。↓

  • 「フロッピーディスクを銀行に(4月1日に)提出した」という事務処理を、町職員が情報システム上で行なった。(←事務処理の日付は触れられず)

  • 上記事務処理を進めるための「振込依頼書」が情報システムのデータとして自動的に作成された。(←なんか、不思議な仕様のシステムですね…)

  • 自動作成された上記「データ」を印刷する必要はないのに、町職員が誤って「振込依頼書」を印刷した。(←なぜ? そしていつ??)

  • その依頼書に、「誤送金された容疑者1名だけの名前」と「4630万円の金額」が記載されていた。(←なぜ名前は1人だけ???)

  • そして4月6日町職員が誤って「印刷された振込依頼書」を銀行に持って行き提出。(←どうして????)

  • 容疑者に一括で4630万円が振り込まれる手続きがとられた。(←まぁ、そうなるべくしてこうなりますよね…)

  • 本来の給付分の10万円、そして誤った4630万円ともに、4月8日に容疑者の口座に着金。(←5日間も日数が異なっている手続きなのに、どっちも同じ日に振り込まれるって、そういうものなんですか?)

 

これもまだまだ「?」だらけの説明でして、「銀行って、そもそもフロッピーディスクに振込先情報を入れて持参するだけで、振込処理してくれるんだっけ?」とか「『印刷する必要のない振込依頼書』のデータが自動作成されるシステムって、仕様がヘンすぎるでしょ?」など、不可解なことだらけです。

 

で、返還が進んで世間がこのニュースに飽きる前に、私なりに「誤送金を生んだ“不思議なミス”のカラクリ」を妄想してみました。

 

妄想1:本来銀行は、フロッピーディスクだけで振込依頼を受け付けていない(正しくは“いなかった”)。

 → 我々一般人が「振込先の銀行名・銀行コード・支店名・支店番号・口座種別・口座名・金額」をcsv形式で収めた記録媒体(フロッピーだろうがCD-ROMだろうがUSBメモリだろうが)を銀行窓口に持参しても、それで振込手続きを進めてくれるとは到底思えません。

妄想2:公的機関であり、しかも振込・送金依頼が日ごろから大量に発生する町役場は、メインバンクとの間で「振込先の情報を電子的に渡す」という特例的な取り決めをしていた。

 → いちいち振込依頼書を書いているのはしんどいでしょうから、これはこれで合理的な判断だと思います。

 

妄想3:ただし、振込先の情報を記録媒体(フロッピー)で提出する際には、同時に「紙の振込依頼書」もセットで提出し、それで手続きが完了するという運用に(本来は)なっていた。

 → お役所仕事ですから、絶対に紙ベースの記録も残すんだと思います。(よって、「紙の振込依頼書」は銀行窓口に置いてあるような書式ではなく「本振込の概要書 兼 データ受領書」のような体裁の書類なんじゃないかと妄想します)

 

妄想4:だからこそ、町役場の情報システムでは「振込依頼書のデータがきちんと作成・印刷できる仕様」になっていた。

 → つまり、依頼書を印刷するのが正規の運用だったのではないか、ということです。

 

妄想5:「フロッピーとセットで依頼書を提出するのが面倒」と町担当者に思わせる何らかの要素があった。

 → 「10人分だと依頼書も10枚出力されちゃう。300人分だと300枚。自分も上長もとても押印なんかしていられない」とか「300人分でも1枚の出力で済むんだけど、『○○さんを含む計300人』の『を含む計300人』が印字されず、いちいち手で書き加えるのが面倒。でもそれを忘れるとミスの元だし、なんかうっとうしい」とか「そもそも依頼書を出すのがめんどくさい。フロッピーに必要情報は入っているんだからそれで済ませたい」「銀行側の受領印をもらう面倒な書式なので、よけいに何とかしたい」などの欲求が生じたという仮説です。

 

妄想6:町側担当者と銀行担当者間で「だったら、お互いの手間を減らすためにもフロッピーのやりとりだけで手続きが完了したことにしましょうよ」と独自運用することを合意し、段取りを変更。

 → これは“双方ともにベテランさんで、長期間にわたるやりとりを経て形成された信頼関係馴れ合いとも言う)があればこそ”成立したのではないかと妄想します。

 → さらには「手続き完了後に依頼書を印刷し、事後押印して役場内に保存しておけば、書類上の不備もない。銀行側の受領印は、窓口担当者の苗字の三文判を買ってきて自分で押印しとけばいいし」というような“役場内の独自運用”もあったんじゃないでしょうか。

 

妄想7:町側と銀行側のどちらか、あるいは双方の担当者がいなくなり、阿吽の呼吸が成立しなくなった。

 → 少なくとも町側の担当者については「ベテランさんから新人(若手)にスイッチした」という報道があります。

 

妄想8:町側の“ベテラン&新人”担当者間では、「振込依頼はフロッピーを持って行くだけでいいから。依頼書は印刷しなくていいから」とザックリとした引き継ぎしかなかった。

 → 「本来はこう。運用変更した理由はこう。だから紙の提出は不要。ただし銀行側担当者さんが変わる時は気をつけて」ぐらいの背景説明も込みで申し送りされていれば、まだ誤送金は防げたかも。

 

妄想9:今回の“多人数&多額の振込”について、新担当者は引き継いだ通りにフロッピーだけ銀行に提出。(4月1日)

 → 妄想が正しければ、当然そうなります。

 

妄想10:振込の手続き後、いつまで待っても“記録書類”が提出・保管されないため、上長が「急いで印刷しなさい。銀行に行って手続きしなさい(=「受領印をもらって来なさい」の意)」と新担当者を急がせる。

 → 「振込記録を紙で残したい」と役場が思わないはずがありませんから。

 → ただ、この通りだとすると「これまでの他案件の振込については記録書類はどうしていたの? 今回だけ紙を印刷した(させた)のか?」という疑問が残ります。もしかすると“普段はフロッピーと依頼書を同時提出”していて、よりによって今回だけ後日の提出になったのかも。まぁ妄想の域を出ませんが。

 

妄想11:独自運用になっていることを知らない新担当者は、言われるままに銀行へ出向き「もう一度、手続きお願いします」と依頼。

 → もしかすると、この時に応対した銀行側の窓口も、「独自運用」の存在を知らない別担当者だった可能性もあるんじゃないかと思います。つまり、“事情を知らない者同士で正規の手続きをしちゃった”という妄想です。

 

妄想12:銀行側の「独自運用を理解している担当者」が、誤送金後にその記録を見つけ、慌てて町側へ連絡。

→ 時すでに遅し。どんとはれ。

 

こんなところじゃないでしょうか。

 

ということで、まずは町側が「振込依頼書」と説明している実際の書式を入手し、そこにどんな欄があるかを確認するだけでもかなりのことが判明すると思われます。

これまた妄想ですが、町側は敢えて「ふつうの書式」をイメージさせ、意図的にミスの核心への関心を逸らそうとしている可能性も考えられますので。(ミスが起きた業務プロセスの詳細をいつまでも説明しないのが何よりの状況証拠ではないかと)

 

ぜひメディアの皆さんには引き続き頑張っていただきたいと思います。


コメント

タイトルとURLをコピーしました