先日、とある用事があって大阪に向かうことになりました。(「とある用事」の中身は、後日お伝えしようと思います。)
東京から大阪に向かうには新幹線の利用が一般的ですが、久々の大阪旅行なので、これまでとは違う交通手段を試してみようかと考え、色々と物色していたところ「高速バスにあるまじき超高級」な便を見つけてしまいました。
岡山に本社のある両備バスが運行する、その名も「ドリームスリーパー」がそれです。
普通「夜行の高速バス」と言えば、良くても
「横1列あたり3席。乗客の睡眠を考えて窓のカーテンは閉めきったまま(開けるのはNG)。隣りのシート・通路との間にはプライバシーを守るためのカーテンがあるものの、前後のシートとの仕切りは特になし。よって、画面が明るく光り、会話(の音声)が伴うスマホの使用も控える」
というスペックが一般的です。
そんな高速バスに私も何度か乗車しましたが、走行位置を確認するために車窓の夜景を眺めることはできず、眠れないからといってスマホでゲームをするということも許されず、カーテンで仕切られた最小空間の中でひたすら眠気がやってくることを願いながら悶々とすることとなり、初めて「走行7時間の夜行高速バス」に乗ったときには「これは何かの拷問か? こんな苦行はあり得ない。もう二度と乗るまい」と思ったものです。
(そんな高速バスに、今年乗った時の写真です。右に車窓とカーテン、左に通路とカーテン、真ん中が前の席の背もたれです)
実際には、運賃の安さという魅力には逆らえず、その後何度か乗車することで「高速バスでもどうにか眠れるコツ」を体得できたのですが(本文末参照)、私にとってはあまり積極的に利用したい交通機関ではないのが正直なところです。
ところが、このドリームスリーパー。
「全席が扉付きの完全個室」で、しかも「全11席(11室)のゆったり設計」なのです。
完全個室ですから、その中では照明をつけっぱなしでも、カーテンを開けっぱなしでも、エンジン音よりも小さめな声であれば電話をしても他の乗客には迷惑がかかりません。
走行中ずっと、パソコンで仕事をすることもできます。(しようと思えば、ですが)
その上、ゆったり設計ですから背もたれをリクライニングする際に後ろの席の人に配慮する必要がないばかりか、そもそもシート自体が「心地よい眠りと上質なリラグゼーション」を提供するために特別設計された快眠シートになっているというのです。
これは乗るしかない! と意気込んでみましたが、料金が「金曜・土曜日出発だと2万円。それ以外でも1万8000円、早割予約料金でも1万5000円」と、かなり強気な設定となっています。ちなみにこの料金は、片道で、です。
こうなってくると新幹線よりも高かったりしますので、大阪まで安く移動したかった私の頭の中に「本末転倒」という言葉がよぎって来てしまうわけですが、そうそう大阪に行く機会もないですし、今後の高速バス産業を考察するためにも(←大げさ…)、早割予約を利用して乗ってみることにしました。
ということで、今回は写真とともにドリームスリーパー乗車記をお届けします。
東京側の乗り場は、池袋駅西口のバス乗り場です。
22時50分発ですが、バスがやって来たのはその10分ほど前でした。
車体には大きく、そして誇らしげに「DREAM SLEEPER」のロゴが。
Free Wi-Fiも使えるようです。すばらしい。
大阪側の到着地は、なんばのOCATです。(その後、門真車庫でも降りられるようです)
乗車の際、ドアのステップで靴を脱ぐように案内され、脱いだ靴は専用のビニール袋に入れてもらいます。
そこまでするのは、もちろん、車内でくつろいでもらうためです。
よって、車内通路ははフカフカのカーペット敷きでした。すばらしい。
私にアサインされた、私の席。いや、私の部屋。すばらしい。
国際線旅客機のようなスイッチ群に圧倒されます。すばらしい。
車内後方から前方(運転席方向)を撮影。落ち着いた色調の内装です。すばらしい。
通路最後尾には、パウダールームが。アコーディオンカーテンを閉めると照明が点灯します。
右側手前に跳ね上げ式の椅子がありました。座りながら歯を磨いたり洗顔したり化粧直しができます。すばらしい。
個室に備え付けられたアメニティグッズは、ブランケット2種やスリッパのほか、アイマスク、歯ブラシセット、耳栓、ミネラルウォーターなど。
乗車直後にはこれとは別に、厚手で冷え冷えのおしぼりもいただきました。すばらしい。
窓側の壁には、複数チャンネルが切り替えられるオーディオ設備、AC電源コンセント、充電用のUSB端子が。すばらしい。
個室内前方のライト調光スイッチ。すばらしい。
調光スイッチに続けて、 座面のチルト、背もたれのリクライニングをコントロールするスイッチも。すばらしい。
さらにフットレストの上下スイッチと、全てをまとめて最適な睡眠ポジション(「ゼログラビティ姿勢」というらしいです)にしてくれるスイッチが。すばらしい。
さらには、個室後方のライトスイッチ。すばらしい。
おまけに、シャープ製のプラズマクラスターイオン発生機まで。すばらし過ぎます。
シートの前には大きめのはね上げ式テーブルもあります。すばらしい。
そんなこんなの「個室内チェック」をしているうちに、バスは池尻大橋にある首都高のループ方式の大橋ジャンクションに入りました。
ここは以前、目黒川のお花見(の下見)の記事で取り上げた場所です。
まさか、そのジャンクションの中を通過する日が来るとは。
Free Wi-Fiの速度チェックを兼ねて地図アプリで現在地の確認をしたり、夜食を食べたり、知り合いへの自慢LINE通話(ひそひそ声で)などしているうちに、乗客も下車可能な唯一の休憩箇所である足柄サービスエリアに着きました。
と思ったら、ホールの片隅にペヤングの焼きそばオブジェを発見。
この焼きそばオブジェ、こんなにデカいんです。
感心したのは、バスの停車場所からサービスエリアの店舗施設までの通路に、屋根が備え付けられていたことです。雨だったので大変助かりました。すばらしい。
決して全ての高速バスが使える停車ポジションではないようなので、このへんもまた「お高いお値段」だけのことはあります。
足柄サービスエリアを出発した後もなかなか寝付けず、iPadでゲームをしながら夜更かししてしまいました。
睡眠が売りのバスなのに、もったいない。(^_^;)
到着前の2時間弱だけ猛烈な眠気が襲ってまいりまして、気付いた時にはすでに大阪市内の中心部に突入しておりました。
さらに阪神高速1号環状線の上を通過。
片道8車線の四つ橋筋。初めて上空から見たような気がします。
そうこうするうちに、なんばのOCATが見えてきました。
降車場に到着〜。
無事、下車。再びドリームスリーパーに乗る日は来るのでしょうか。
ということで、今回は大変楽しいバス旅行となりました。
他の高速バスの椅子に比べれば、これ以上の快適空間はないと断言できます。
欲を言えば、ゼログラビティのポジションで、もう少し背もたれがリクライニングしてくれてもいいかなと思います。
フットレストがここまで水平にならなくてもいいので、その分、背もたれをもう少し倒して欲しいといいますか。
(ゼログラビティ姿勢は、腰を少し沈み込ませ、体を「く」の字型にして休むことになりますので、腹囲が成長している人、要するに肥満体型の人ほど、腹部が圧迫されやすくなります。それよりは、「く」の字の角度が浅くてもいいので、その分リクライニング角度を深くしてくれるほうがラクだと感じる人もいるかと思います。こんな感想が書けてしまう時点で、私の体型も黄色信号状態なのですが。w)
加えて注意点です。
ドリームスリーパーでは、いつでも車窓から外の景色を眺められて、周囲を気にせず照明を灯して読書もでき、バッテリー残量や携帯電話のデータ通信量を気にしないでインターネットを利用することができるなど、ただ寝てしまってはもったいないような気分にもなります。
いずれも素敵な時間の過ごし方ではありますが、せっかくの「ドリームなスリーパー」なバスですから、睡眠はきちんととりましょう。
【備考】
「高速バスでもどうにか眠れるコツ」ですが、私の場合、
耳栓をはめる。(私はここのメーカーのものを使用しています)
体を締めつけない服装。(特に下半身。できればベルトは緩めましょう)
腹八分目。(空腹も満腹も飲み過ぎもよくない)
こんなあたりに気をつけています。
ご参考まで。
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