こんな「日比谷図書文化館」でした。(その3:臭い編)

前回に引き続き、千代田区立日比谷図書文化館の「ん?」な点を書いてみます。

結論から申し上げますが、それは「悪臭を放つ利用者」の存在です。

日比谷図書文化館で感じた悪臭とは

まぁ、一口に悪臭と言っても、様々なタイプの匂いがあります。

加齢臭しかり。

夏場の汗や脂の匂いもしかり。(男性の場合は男脂臭と呼ばれてるらしいです)

アルコールニンニクといった食品、あるいは歯周病・内臓疾患などに起因する口臭もそうです。

さらには、キツイ香水の匂いとか、ベタベタにつけすぎたポマードなど整髪料の匂いが不快になるときもありますし、中には消臭芳香剤の香りが我慢できない人もいるそうです。

しかし、ここで言う「悪臭」とは、それらをはるかに超越した“隣の席に1分と座っていられないような耐え難い臭い”のことを指します。

もっとハッキリ言ってしまうと、日比谷図書文化館の館内の一部において、「ホームレスが発するのと同じような匂いがした」ということです。

念のため書き添えますが、私が訪れた際には、一見してホームレスとわかるような不潔で汚れた身なりをしている人は、見当たりませんでした。

そして、「外見で判断できない」ということこそが、ある種の油断を誘発し、その結果、以下のような事態に遭遇したりするのです。

混み合う閲覧席 → 閲覧室の特定の一角に空席エリアを発見 → ラッキーと思って近づく → なにやら不快な臭いを感知 → 一過性のものだろうと思って着席 → 不快な臭いは一向におさまらない → 時にはむしろ強まることも。

そして着席してから数十秒と経たないうちに、

「あぁ、この悪臭は隣の席に座っている男性が発しているのだ、だから周囲の席が妙に空いていたのだ、この人が離席するか自分が席を移動しない限り、この悪臭からは逃れられないのだ」

と、悟ることになるわけです。

図書館には「ありがちな臭い」なのかも

実は、自宅近くの公立図書館でも同様の悪臭を嗅ぐことがあります。

私の場合、月に1・2度利用する程度なのですが、それでもほぼ毎回館内の同じあたりの場所で、同じような悪臭を感じます。

それもそのはず、常連利用の男性が、いつも同じ席に座って悪臭を放っているのです。

「月に1・2度行く程度なのに、毎回彼がいる」ということは、おそらく彼はほぼ毎日図書館通いをしているんだと思われます。

彼は、周囲の目を引くほどの長髪で、しかもいつ遭遇しても全身黒ずくめの衣服を身につけているため、そもそもが印象に残りやすいルックスだと言えます。

それに加えて、個性的なその彼の横を通ると悪臭がピークに達するのですから、イヤでも私の脳みそには「悪臭の発生源」として刻まれてしまうわけです。

彼が、いわゆるホームレスかどうかは分かりません。

それに、図書館(特に公立図書館)は、図書館法によって「入館料を徴収してはいけない」と定められていますし、日本図書館協会の「図書館の自由に関する宣言」でも、

「すべての国民は、図書館利用に公平な権利をもっており、人種、信条、性別、年齢やそのおかれている条件等によっていかなる差別もあってはならない

と謳われています。

つまり、無料で利用できる図書館から、ホームレスであることを理由に彼らを追い出すなどということはできませんし、してはいけないことなのです。

詰まるところ、問題は「悪臭」です。

ホームレスであれ銀行員であれ、何日間も風呂に入らず、洗濯もしていない衣服を着用し続ければ悪臭を放ちますから、職業や社会的地位とか年収などは全く関係なく、とにかく問題の本質は「不快な悪臭がするか・しないか」だけなのです。

一応、ルールで禁止されているけれど

なお、千代田区立図書館利用規定第3条において、以下のような行為が禁止されています。

第3条 利用者は、図書館内において次の各号に掲げる行為を行ってはならない。

(1) 危険物及び大きな荷物の持ち込み

(2) 酒気帯びでの入館

(3) 居眠り

(4) 喫煙、飲食(特に認めた場合を除く)

(5) 他人へ不快感を与える異臭、汚臭

(6) 調査・研究、読書を目的としない閲覧席の長時間占有(荷物による場合も含む。)

(7) 資料などの無断持ち出し

(8) 施設及び設備の汚損、破損

(9) その他、他人に不快感、迷惑を及ぼす行為

ということで、「入浴・洗濯を怠る臭い人」が長時間滞在し続けることは、

「(3)居眠り

「(5)他人へ不快感を与える異臭、汚臭

「(6)調査・研究、読書を目的としない閲覧席の長時間占有(荷物による場合も含む)」

「(9)その他、他人に不快感、迷惑を及ぼす行為

などに抵触するものと思われます。

特に「(5)異臭、汚臭」はドンピシャです。

しかもこれらの行為が禁止されていることは、館内の数カ所に注意書きとしてキチンと張り出されてもいました。

なのに、なぜ悪臭がなくならないのでしょうか?

「臭い」どころではない、図書館の問題

それから先、いろいろググってみたところ、図書館には「知的スマート情報文化空間」という「オモテ」の面だけでなく、「問題利用者とどう向き合うべきか」という「ウラ」の課題も蓄積されているらしいことが分かってきました。

例えばYahoo!知恵袋にも、利用者や職員と思しき人からの質問や悩みが大量に寄せられています。(「図書館 悪臭」で検索すると330件出てきます)

さらには、図書館業界に向けた論考・論文なども、いくつか見つけました。

これらを一読すると、「悪臭」以外にも実に色々な問題行動が発生していて、相当深刻な事態になっていることが分かります。

アメリカだと銃の発砲薬物取引などが起きているそうですし、トイレで洗濯をする人もいるんだとか。

一方、日本ではなんと「閲覧席での老人の失禁」なども…。

以下、備忘メモとしていくつかリンクを置いておきます。

「問題利用者」論の動向

公共図書館の危機管理問題としての問題行動論の動向

図書館における問題利用者への抑止策:リスクマネジメント・利用規則・ホスピタリティ

図書館における問題利用者 : コミュニケーション・スキルを用いた「怒り」への対処法

ぜんぶ引っくるめって解決できるんでしょうか?

ザーッと斜め読みしましたが、さすがにちょっとヘコみました。

誰もが、無料で、何度でも利用できるのが図書館であり、調査・研究・読書という本来の利用形態を想定し、閲覧席の間には「つい立て」が設置されていたりもします。

ところが、問題行動の多くが、「誰もが使えること」や「ある程度の閉鎖性を備えたセミプライバシー空間が用意されていること」に起因している面もありそうなのです。

こうなると、図書館の存在自体問題行動や問題利用者を生んでいるという、本末転倒な話になってきますから、かなり根深い感じがしてきます。

また、問題利用者を排除すると言っても、

「どの程度以上の匂いならば悪臭なのか。数値化できるのか?」

「排除される問題利用者(往々にしてホームレス)の人権を蹂躙するのか?」

「だったら本も読まずに開館から閉館まで延々と居眠りしている奴も排除しろ」

などの反発も予想できますから、一筋縄ではいかないと思われます。

「利用規則で禁止行為を謳っているのだから、悪臭や居眠りに限らず、規則に抵触する利用者には毅然とした態度で臨むべし」と言うのは簡単です。

しかし現実には、図書館の予算不足、民間への業務委託、スタッフの人員不足なども相まって、有効な対策が打ち出せていないのが実情のようです。

また、仮に予算があったとしても、入場時の臭気チェック持ち物検査、さらには金属探知機利用者動向追跡カメラの設置、そして個々人の滞在時間の測定から居眠り防止装置などと、極めてストレートな(短絡的な?)解決策が導入されるのも、ちょっとノーサンキューです。

ただ、「そうでもしないと、利用者や職員、図書館の安全が守れませんから」と言われたら、反論もしにくいですけど…。

「ならば、そういう図書館には近づかないのが一番。いっそのこと、そんな図書館は廃止しちゃえば? そもそも財政難だし」みたいな論調だけにはなって欲しくないものですが、この先、どうなりますことやら。

誰もが平穏かつ快適に利用できる、知的情報&文化空間」としての図書館を維持し、日比谷に限らず、図書館職員さんたちの肉体的・精神的負担を少しでも解消するために、そろそろ頭のいい人達や偉い人達が汗をかく段階かもしれません。