年金受給を繰り下げた場合の金額を試算してみた。【実践編】

「公的年金の受給開始を繰り下げたらどうなるか」の続きです。
前回は、こちら

(なお、以前「国民年金保険料の納付を免除してもらったら、年金受給額がどのくらい減るのか」をシミュレーションしたこともあります)

繰り下げ試算の前に、現状確認。

毎月1回、資産の最新状況を投稿していますが、そこで使っているグラフで現段階での将来予測を確認してみます。
こんな奴です。↓

こちらのグラフ作成過程は、こちらとかこちらをご参照ください。

何本も折れ線グラフがありますが、とりあえずここでは、
「将来もらえる(はずの)公的年金・個人年金なども加味した『金融資産』の予測推移
を示す赤の折れ線グラフだけご覧ください。

まずは、簡単に赤のグラフの推移を解説します。

  • 2017年前半に、早期退職して退職金を受け取った。この時が金融資産のピーク。(ここを100%としたときのグラフです。絶対額ではありません)
  • 2017年の後半に、家賃収入を目論んで貸付用ワンルームマンションを購入し、金融資産は半分ほどに激減。(ここまでは実績。この次からが予測です)
  • その後、蓄えを取り崩していくが、2026年(60歳)から10年間企業年金が支給され、右肩下がりだった資産カーブは若干の上向きに。
  • 2031年(65歳)から公的年金の受給開始。資産カーブはさらに上向く
  • 2036年(70歳)になると企業年金の支給が終了。その後、資産カーブは30年かけて緩やかに下がり続ける
  • それでも、100歳終了時に「ピーク時資産額の4割弱」程度は残せている。

というような「実績&予測」になっております。

ではさっそく、このグラフをいじってシミュレーションしていきましょう。

受給開始を「70歳から」にした場合(+42%)

まずは「70歳から受給開始」にした場合から。

グラフのデータを、
公的年金の受給開始を2036年(70歳)まで遅らせる
「そのかわり、支給額は、現状見込みの『42%増し』に増額する」
というふうに変動させた結果が以下のグラフです。
(単純に「42%増し」で計算していますので、細かい変動などは加味していません)

ここも赤い折れ線グラフだけ見て下さい。

65歳受給開始をベースとした冒頭の「現状予測」では、企業年金の受給が終わり公的年金だけになる2036年(70歳)以降から緩やかな右肩下がりが続いていました。
しかし「70歳受給開始」にすると、42%の増額が寄与し、2026年以降でも資産が減ることはなく、徐々に増え続ける予測となりました。

受給開始を「75歳から」にした場合(+84%)

続いて、いま厚労省で検討されている「75歳まで受給開始を遅らせる(ことも選択できる)」場合です。

グラフのデータを、
公的年金の受給開始を2041年(75歳)まで遅らせる
「そのかわり、支給額は、現状見込みの『84%増し』に増額
としてみます。
前回触れたように、日経さんの記事では「2倍」「1.9倍」「+84% +上乗せ」の3種類の増額率が示されていましたが、ここでは最も無難に「+84% (上乗せなし)」でシミュレーションしてみました)

結果は、以下のグラフです。

赤い折れ線グラフが、ビョーンと跳ね上がりました。

2036年(70歳)から5年間は、公的年金も企業年金も支給されないため、資産は大きく減少します。
しかし2041年(75歳)からは「84%も増額された公的年金」の受給がスタートするため資産は急激な伸びを示し、100歳終了時点に、これまでのピーク時資産額の6割に匹敵するほどのお金が残せる予測となりました。

正直、こんなに残してもしょうがないような気が…。

3パターンのシミュレーションを合体

肝心の「金融資産」の推移だけ、3パターン分を寄せ集めてみました。

が「65歳から」(現状通りなので増額も減額もなし)。
が「70歳から」(42%増額)。
が「75歳から」(84%増額)。


グラフの“損益分岐点”に吹き出しコメントを付けてみました。

こうして比べてみると、それぞれ特徴が出ますね。

これによると、75歳まで繰り下げた場合、「65歳受給開始」に追いつくのは87歳になった時です。

同じく「70歳受給開始」に追いつくのは、さらに5年後。つまり92歳の時です。

年金を「想定外に長生きした場合のリクスヘッジ費用」と考えれば「何歳まで生きたら得だ・損だ」という話ではなくなるのですが、それにしても「87歳だ、92歳だ」となってくると、
「そんな歳になったら『安定した老後』の心配とか、もうどうでもいいんじゃないのか?」
という気分にもなってくるわけでして、なかなか悩ましい部分ではあります。
うーむ…。

まとめ

1.「65歳から受給(現状)」の評価点

  • 100歳終了時点でもなお、ピーク時資産額の4割弱相当が残っており、決して悪くはない。
  • そもそもこれまで2・3年の間、ずっとチェックし続けてきた曲線なので、見ていて違和感を覚えなくなった。w
  • とはいえ、70歳以降、ダラダラと右肩下がりが続くのが不安じゃないと言えばウソになる。

2.「70歳から受給(+42%増)」の評価点

  • 60歳(わずか8年後)以降、「金融資産が減らない」のが最大の安心感。
  • 最終的に100歳時点でピーク時資産額の5割強が残る計算だが、これでもまだ多いぐらいかも。

3.そして「75歳から受給(+84%)」の評価点

  • 医療費や介護がどうなるかなど不確定要素はあるものの、残してあげたい家族がいるわけでもないのに、90歳とか100歳になってからこんなにお金は要らないんじゃないだろうか?
  • 84%増しの公的年金受給が開始される直前(2041年・75歳)に、投資信託・債券を含めた金融資産が「ピーク時の2割程度」にまで減ってしまうのが、むしろリスクに思える。さすがに将来に備えすぎでは?

ということで、私の場合、
どんなに繰り下げても『70歳受給開始』で十分
むしろ、間際になったら『69歳・68歳』での受給開始を検討してもいいぐらいかも」
というふうに結論づけました。

机上の空論と言われればそれまでではありますが、いざ社会・経済環境が大きく動いた時に「この先のお金って、どのくらい増減するんだっけ?」という観点で予測を修正することもすぐできますので、このグラフでの資産管理は今後も継続していきたいと思います。

これで将来の「年金制度改悪」が楽しみになってきました!(←と、強がってみる…)


【余談】
私はこういう試算行為がけっこう好きなので、あまり苦になりませんが、慣れない人には大変な作業だと思います。
なので、できる範囲で誰かの相談に乗ってあげてもいいかな、と思うわけですが、テーマがお金だけに、赤の他人はもちろんのこと、友人・知人ですら私に頼んでくるのは現実的には考えにくいでしょう。

その上で申し上げると、各省庁が「平均的な家族のモデルケース」としてこの類の試算を発表することがありますが、その「ケース」があまりに「平均的」すぎて、自分の個別事情にはほとんど適用できないことが多いです。

私のような「50代・今は独身・資産を残してあげる家族なし・早期退職者」がモデルケースになることなど当然ながらありませんし、今は「夫は会社員、妻は専業主婦、子供が2人」みたいなケースですら平均的家族像とは言いがたい時代ですから、結局最後は各自がいろいろと調べて試算するしかないのかもしれません。