保険料免除で年金受給額がどうなるか、シミュレーションしてみた

早期退職1年目に続き、2年目も国民年金保険料を『全額免除』してもらえた」という記事の続きです。

↓前回はこちら。

前回の後半でも触れた通り、「保険料の免除」は「将来の年金受給額の減額」に直結しますから、免除を能天気に喜んでばかりもいられません。

まさにアリとキリギリスみたいな話です。

そこで今回は、昨年(早期退職1年目)の「保険料全額免除」が確定した段階で、将来の年金収支のシミュレーションをした経験をお伝えしてみます。

シミュレーションの前提

少子高齢化を背景に「将来の年金制度改定」も囁かれていますが、具体的な決定事項がないため、基本は以下のような現行制度を前提としました。

国民年金保険料は今年度の「月額16,340円」とする。

保険料を納める期間は現行ルール通り「60歳になるまで」とする。

年金の受給開始年齢は、これまた現行ルール通り「65歳から」とする。

シミュレーションのパターン

今後のライフスタイルや働き方を勘案し、以下の3つを想定してみました。

パターンA:早期退職1年目(昨年)以降、60歳になるまでずっと「全額免除」してもらう。

↑今の「フリーランスの個人事業主」で得られる所得だけではままならず、「保険料免除」を継続してもらいつつ、これまでの蓄えを取り崩しながら生活するパターンです。

パターンB:早期退職2年目(今年)から60歳になるまで、保険料を免除申請せずに月額16,340円を納め続ける

↑「個人事業が軌道に乗る」あるいは「軌道に乗ってはいないが、老後に備えるために無理をしてでも保険料を納める」といったケースを想定しました。

パターンC:今年から「給与月額30万円、賞与なし」の雇用条件で再就職し、60歳で退職するまで厚生年金保険料を払い続ける

↑フリーランス生活に見切りをつけ、(せっかく早期退職したにも関わらず)サラリーマンに戻るパターンです。

なお、このとき納めるべき厚生年金の保険料は「平成29年9月分(10月納付分)からの厚生年金保険料額表」を参照し、「標準報酬月額30万円」の場合の「月額27,450円」としました。

シミュレーションに必要な情報収集

シミュレーションするにあたっては、上記の前提に基づき「65歳に受給開始」した場合の年金見込み額(年額)をパターン別に算出する必要があります。

この部分は、正確を期すために最寄りの年金事務所個別相談にのってもらいました。

なお、年金事務所はだいたいいつも混雑していますので、待たずに個別相談に応じてもらえる「予約相談」を利用しました。

年金事務所での「年金見込額」算出結果

先にご紹介した「3パターン」自体も、じつは個別相談の当日に年金事務所の担当者さんと話し合いながら決定したものでして、その意味では必要十分な3パターンだったと思います。

で、決まった各パターンの条件を端末に入力してもらい、年金見込額を計算していただきました。

その上で、各種算出条件まで印刷された「制度共通年金見込額照会回答票」という紙をいただくことができました。

ということで、その回答票に記載された各パターンの見込額部分を抜粋してご紹介します。

まずはパターンA(ずっと全額免除)ですが、65歳から年額1,982,877円を受け取れる結果となりました。

結果部分のみ抜粋・拡大しました。これ以外の部分には個人情報がテンコ盛りです。

続いて、今年から国民年金保険料(月額16,340円)を納めるパターンBです。

計算の結果、65歳から年額2,060,807円を受け取れるそうです。

「全額免除」よりも8万円ほど増えました。

最後は、今年から「給料30万円」の会社に再就職して厚生年金保険料を納めるパターンCです。

この場合だと、65歳から年額2,211,687円を頂けるとのこと。

当然ではありますが、3パターンの中で最も受給額が多くなりました。

これで材料は出揃いました。

あとはこれらを元に、「60歳までに納める保険料(出ていくお金)」と「65歳から受給される年金(入ってくるお金)」を、表計算ソフトで累積計算させていくだけです。

シミュレーションでの確認ポイント

このあと、シミュレーション結果をご紹介しますが、その前にまず「確認すべきポイント」を押さえておきます。

1つは、

「『去年の早期退職以降にかかる保険料(出銭)』と『将来(とりあえず100歳まで)にもらえる年金(入り銭)』を合算していったら、年金収支の総額がいくらになるのか」

という点です。

そしてもう1つは、

「最も総額が少ないであろう『パターンA(ずっと全額免除)』が、他の2パターンに追い抜かれるのは、何歳か」

という点です。

これはすなわち、「何歳以上まで生きたらどのパターンが得なのか」という目安にもなるものです。

シミュレーション結果(グラフ編)

以上をふまえたシミュレーション結果をグラフにしたのが、これです。

(それなりの解像度にしていますので、見づらい場合は適宜拡大してみて下さい)

ヨコ軸が年齢(早期退職1年目の51歳から100歳まで)、タテ軸が年金収支額の累計で、単位は円です。

ざっと見ても、それなりの「損益分岐点」がありそうです。

以下に、ちょっとした解説を加えます。

結果ポイント1:「100歳までの年金収支の総額」で最大560万円の差。

100歳時点での累積収支は、

パターンA(ずっと全額免除):約7,140万円

パターンB(今年から保険料を納める):7,240万円

パターンC(今年から再就職):約7,700万円

となり、最大で「560万円」の差が生まれました。(A・C間)

ただしこの「560万」は、65歳から100歳まで、すなわち35年の支給期間をかけて累積される差です。

1年あたりだと16万円1月あたりだと1.3万円1日あたりだと400円ちょっとの差になっていますから、大きな贅沢ができる額ではないものの、決して小さい金額でもないと思います。

金額の損得だけでいけば、明らかにパターンCが有利となりますが、一方で、

「わざわざ再就職するぐらいなら、それなりの待遇だった前職を早期退職する必要などなかったではないか」

という根本的な問題にも行き着いてしまいますから、この選択肢はないな、と思っています。

言い換えれば、

1日400円ちょっとの贅沢のための再就職などあり得ない

1日400円ちょっとしか増えないことが判明したので、たとえ所得が少なくても、蓄えを取り崩すことになったとしても、心置きなくフリーランスの個人事業主として頑張れる

ということかと思います。

結果ポイント2:「再就職」が「ずっと全額免除」を追い抜くのは76歳。

パターンCは「再就職して60歳まで厚生年金の保険料を払い続ける」わけですから、3パターンの中で最終的に最も収支総額がデカくなるのは当然ですし、パターンA(ずっと全額免除)を早い段階で追い抜いていくのも予想してはおりました。

で、今回、その「逆転年齢」が76歳だと具体的に判明したわけです。

つまり、「76歳よりも長生きしたらトクになる」ということです。

60歳まで改めてサラリーマンを継続し、そこからトクする年齢になるまで、さらに16年を要するのですから、これはかなりの長い道のりと言えます。

一方これを「所得の保証はないものの、時間を自由に使えるパターンA」と比べれば、(51歳だった昨年時点で既にパターンAだったので)収支総額でCに追い抜かれるまでに「25年もの時間を自由に使える」ということになります。

この時間的アドバンテージは非常に大きく、かつ魅力的でもありますので、この点でもパターンC(今年から再就職)はあり得ないと判断しました。

結果ポイント3:「今年から保険料を納め」ても「ずっと全額免除」を追い抜けるのは87歳。

繰り返しになりますが、所得が少ないと(その額に応じて全額から1/4までの幅はありますが)「保険料を免除」してもらうことができます。

もちろん、低所得であっても保険料は払えますし、本来は払う方がデフォルトなんだとは思います。

しかし、今回のシミュレーションの結果、「この先保険料を払っても、元を取れるのは87歳になってから」ということが判明しました。

元を取るためにこれほど長期間を要するカラクリは、おそらく、

「約30年間に及ぶサラリーマン時代に、多額の厚生年金保険料を納め続けた。(実際、早期退職直前の私の保険料は、先の「平成29年9月分(10月納付分)からの厚生年金保険料額表」でいくと最高等級に達していたようです)

そのため、国民年金よりも厚生年金側の寄与分が圧倒的に大きくなっている。

これから先、国民年金保険料を納められる期間は(わずか)8年間しか残っておらず、その寄与度はさほど大きくならず、結果としてわずかな年金増額にとどまる

よって、これから保険料を払う分を受給の増額分で回収するためには、あと35年も生きなければいけない」

ということなんだと思われます。

将来の「老後の安心」を買うにしては、正直リスキー過ぎるんじゃないでしょうか。

というか、ぶっちゃけ「その前に、自分はとっくに死んでるんじゃないのか?」という気にもなってくるワケでして。w

まとめ

ということで、「早期退職1年目の保険料全額免除」が決定したあと、このようなシミュレーションをした上で、「少なくとも2年目までは『全額免除』をお願いしよう」という結論に至りました。

「本来は払うべきなのだから」という意見をお持ちの方もいらっしゃるでしょうが、制度として認められている範囲のことですから、私はありがたく(そして計画的に)免除制度を使わせていただきました。

ただし今後を考えれば、年金受給額の見直しなど、大きな制度変更が入ることもあり得ます。

「あり得ます」どころか、現在の少子高齢化社会からいけば、その可能性はきわめて高く、むしろ「確実」と言っていいぐらいかもしれませんよね。

そうなれば、こちらも「できる限り受給開始年齢を繰り下げて、その分受給額を上乗せしてもらう」などで対抗せざるを得ないでしょうし、場合によっては否応なく再就職するしかない覚悟も必要でしょう。

その一方で、

「フリーランスの個人事業が予想以上に好調で、『免除期間が長引く』どころか、『過去に免除してもらった保険料を後払い(追納)』できるまでになりました」

という可能性だってあるわけです。

まぁ、将来のことは誰にも分かりませんが、であればこそ、今回のシミュレーションをベースにしながら、今後も折にふれ「仕事やお金」のことを考えていきたいと思う次第です。