こんな「アナログ音源のデジタル化」でした。

そもそものきっかけ

我が家の一角には、今だにVHSテープオーディオカセットテープ(計数十本)が埃をかぶりながら鎮座しています。
少なくとも20年以上前に、テレビ番組ラジオ番組を録画・録音したものであり、「そのうち視聴することもあるだろう」ということで、ずっとそのままにしていたのです。
これらを視聴する日のために、VHSビデオデッキカセットデッキも1台ずつ保有しているのですが、このままではテープ・機材ともに劣化が進む一方ですから重い腰を(20年以上ぶりに)上げ、廃棄処分する前にこれらをデジタル化することを考えました。

デジタル化の方針

どうせデジタル化するのですから、パソコンスマホに入れていつでも視聴できるようにしたいと思います。

その際問題になるのは、ビデオ素材をどうデジタル化するかです。
動画素材をそのままパソコンに取り込む機器(ビデオキャプチャ)も売られていますが、

  • 自分のライフスタイルから考えると、わざわざ動画で取り込んだとしてもパソコンやスマホ(小型モニター)で動画を視聴する可能性はほぼゼロであること
  • テープのケースに貼ってある手書きラベルを見たら、ビデオもオーディオも、その大半が音楽番組を記録したものであり、音声さえデジタル保存できれば十分なこと
  • 動画でデジタル保存してしまうと、ファイルサイズがムダに大きくなってしまうこと

以上の理由により、「VHSビデオも含め、音声だけデジタル化する」ことに決めました。

デジタル化の方法

BEHRINGER社さんが販売しているUSBオーディオインターフェース「UCA222 U-CONTROL」を使うことにしました。

こんな機械です。
選択の決め手は「安かったから」です。
amazonさんだと3,000円ほどで購入できます。
もっと高価なものもたくさんありますが、所詮(昔の)アナログ音源を取り込むだけですから、これで十分でしょう。
INPUT端子(左側の白と赤)に、外部機器からのオーディオ信号を入れてやります。

その上で、この機械から伸びているUSBプラグをパソコン(私の場合はMacを使用)につなぎ、音声録音ソフト(私の場合はMacに標準搭載されているGarageBand)で取り込んでいくわけです。
さらに具体的にいうと、「アナログ音源側の再生をスタートしたら、パソコンソフト側の録音ボタンを押下」して音声を取り込むという流れになります。

念のため申し添えると、素材がアナログですから、5分間の素材を取り込むためには5分間を要します
この辺はCDからデジタルtoデジタルで音声ファイルを取り込むのとはワケが違いますよね。

で、取り込みが完了したらCDに焼いて保管するもよし、iTunesに入れてスマホに転送するもよし、というフローとなります。
(ちなみに、デジタル化して取り込んだ音声は、私の耳には十分なクオリティでした)

「著作権」への配慮

著作権法の第30条の定めによれば、
私的使用のための複製にあたる場合は、著作権の手続きをせずに録音・複製することができる」
とのこと。

しかし、「私的利用ならば、何をしてもOK」みたいに乱暴な拡大解釈をするわけにはいきません。
当然ながら私的使用を満たすためのルールや条件があるのわけですから。

そこで、今回私が考えている「テレビやラジオのアナログ音声をデジタル化してパソコンに取り込み、個人的に楽しむ」という行為が著作権法に抵触しないかどうか確認してみることにしました。

まずは、「音楽に関する著作権」という点に着目し、ついて一般社団法人日本音楽著作権協会(JASRAC)さんのページを見てみました。
こちらのページによると、以下の条件にあてはまる場合、作詞者や作曲者など著作権者の許諾を得ることなく、音楽作品を録音(複製)できるそうです。
チェックしてみましょう。

  1. 個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内で使用することを目的とした複製であること → 【自分だけで楽しみます】
  2. 使用する本人が複製すること → 【業者を使わず自分でやります】
  3. 公衆の使用に供することを目的として設置されている自動複製機器を用いないこと → 【自宅外の設備は使わないので、これも当てはまりません】
  4. コピープロテクションを解除して(又は解除されていることを知っていながら)複製するものでないこと → 【アナログ音声なのでコピープロテクションはかかっておらず、解除という概念自体がありません】
  5. 違法にインターネット上にアップロードされたものと知りながらダウンロードした音楽または映像ではないこと → 【ネットから拾ったものではありません】

ということで、問題なさそうです。


続いて、「テレビ番組の音声を取り込む」ということで、NHKさんに当たってみましょう。
こちらのページで紹介されているケースと照らし合わせてみます。

  • 「帰りが遅くなるから、あの番組はビデオにとって」とか「裏番組はビデオでゆっくり」など、家庭内で個人的に録画(著作権法では「複製」といいます)をして楽しむことは著作権法でも自由にできることになっています。 → 【私はこれに該当します】
  • 学校の先生がテレビをビデオにとって、自分の授業に使うことは、自由にできます。学校放送番組に限らず、どの番組でも自由です。 → 【私の場合、学校教育とはまるで無関係なので、ここはシカト】
  • 自分で録画したテレビ番組のビデオを会社の研修会で使ったり、学園祭で上映することは、放送局をはじめそこに関係するすべての権利者の許諾を得なければできません。「私的に録画してあったものだからいいではないか」という人がいますが、著作権法では、こういう場合「研修会のために録画した」「学園祭で上映のために録画した」と見なすことになっていますので注意が必要です。 → 【私の場合、このような“上映”用途でもありません】
  • 番組の内容を翻訳、変形、その他翻案して利用することも、私的利用の範囲を超えて行うときは著作権者の許諾が必要です。番組内容をもとに劇画を作って同人誌に発表するようなことは、勝手にはできません。 → 【動画から音声だけを取り込むので“変形”に当たるのかもしれませんが、“私的利用の範囲を超えない”のでOKでしょう】
  • 個人的に録音・録画した番組を、インターネット・オークションや雑誌の交換欄などを利用して他人に販売したり譲ったりすることは、営利・非営利を問わず著作権法に違反します。 → 【有償/無償を問わず、誰かにお裾分けする気はありません】
  • テレビやラジオの番組の画面や音声をパソコンに取り込んでインターネットに流すことは、著作権者、著作隣接権者の「複製権」や「送信可能化(インターネットでアクセス可能にすること)権」に抵触します。 → 【パソコンに取り込みますがインターネットには流しません】

他にも、いくつか関連しそうな団体のホームページを巡回してみました。
備忘メモとして、以下に羅列しておきます。

一般社団法人日本レコード協会「音楽利用について Q&A集:コピー編」

公益社団法人著作権情報センター(CRIC)「私的使用のための複製」解説

放送コンテンツ適正流通推進連絡会
「テレビ番組の著作権とは」:著作権の制限規定について
3つの事例「1.私的使用のための複製(第30条)」

念押し & まとめ

上記いずれのページを見ても、「テレビやラジオのアナログ音声をデジタル化して取り込んで、個人的に楽しむ」行為に対して違法性を指摘するような記述はありませんでしたので、問題ないのだと思います。

さらに念には念を入れ、「JASRAC」「NHK」「日本民間放送連盟」「日本レコード協会」の4団体によって設立された公益社団法人著作権情報センター(CRIC)さんの電話相談窓口に、先週問い合わせをさせていただきました。
この“最強の4団体”が設立したセンターなのですから、ある意味ダメ押しにもなるでしょう。

で、その結果、

「テレビやラジオの音声をデジタル化してパソコンに取り込み、自分のパソコン上やスマホ上で再生するなどして、個人的・または家庭内に準ずる範囲で楽しむ」のは、私的使用とみなされるので問題ありません。

ただし「ネットに流す、友人知人と共有する、自宅外(公共で利用できる設備)で複製・デジタル化する」などは、してはいけません。

自宅外で大勢の人に聴かせるのもいけません。

自宅内とか自家用車内とか、自宅外でもイヤホンを使って自分だけで聴くぶんには問題ありません。

と明確なご回答をいただきました。
(応対してくださった方は「自宅外で複製する・自宅外で誰かに聴かせる」のあたりをやたら強調していましたが、私の理解も薄かった部分なので、大変参考になりました)

これで、スッキリした気分でアナログ音源(と再生機材)の断捨離に邁進できそうです。