カスタマーサポートデスク対応とブランドロイヤルティの関係

カスタマーサポートデスク対応とブランドロイヤルティの関係 by konmaru
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自分が永年愛用しているお店や商品・サービスについて、「なんでこんなに長い間愛用しているんだっけ?」と、ふと思うことがあります。

「あぁやっぱり使い心地や着心地やおもてなしが素晴らしいなぁ。ずっと愛用してきた甲斐があったなぁ」という“ポジティブな体験”によってブランドロイヤルティ(銘柄に対する忠誠度)がさらに強固なものになることもあれば、逆に「こんな雑な扱いを受けているのに、どうして相変わらず使い続けなければいけないんだろう」と超ネガティブな思考に陥ってしまうこともあったりします。

私の場合、後者のようなネガティブ体験は、カスタマーサポートデスクとの電話でのやりとりにおいて味わうことが多く、その都度「あぁ、なんでこのブランドとの付き合いを始めてしまったんだろう…」と自己嫌悪になったりするわけです。

 

この「ブランドロイヤルティ」について、リコーさんが分かりやすい解説ページを公開していらっしゃいますので、そこで提示されている「ロイヤルティを段階的に高めるための方法」に沿って、サポートデスクとの電話のやりとりで私がしばしば感じる問題(不快感)を見つめ直してみたいと思います。

第一段階:基本価値の提供

商品・サービスへの問合せ、注文を滞りなく進めて」いくことを意味するそうです。

電話応対の場合、
「問い合わせ先の番号が分かりやすい形で提供されているか」
「通話開始後の案内が適切に進んでいくか」
などがここに当てはまるんだと思いますが、このレベルでつまづく応対は、さすがに経験したことはありません。
(たとえたらい回しにされても、それで解決に向けて前進する感触が得られれば、悪い印象は持たずに済んだりしますし)

 

第二段階:期待価値の提供

問合せや注文に対し、無難に対応するだけではなく、顧客を待たせることなくすぐに対応する。丁寧なやり取り、商品の取り扱いを行います」とのこと。

電話だと、
「つながって開口一番に(たとえ待たせていなくても)『お待たせしてすみませんでした』と言ってもらえる」
「個人情報を提供 → 本人確認が完了した先では『お客様』ではなく『◯◯様』と名前で呼んでもらえるし、購入済み商品も(登録していれば)改めて申告しなくて済む」
など、「顧客として(それなりに)丁寧に扱ってもらえている」ことが大事だったりします。

このへんも、最近ではサポート担当者の教育が行き届いているらしく、ほとんどの企業で実践されていると思います。

まぁ中には、サポート担当者(対応セクション)が交代するたびに本人確認を何度も求められたりして「このくだり、さっきもやったじゃん」と思うこともありますが、個人情報保護の観点から考えれば一概に否定されるべきものでもないでしょう。

 

第三段階:願望価値の提供

リコーさんいわく、「トラブルや不測の事態が起きた際に迅速に対応します。例えば注文と違う商品を送ってしまった際、すぐに正しいものを再送するといったものです」とのこと。

ユーザーがカスタマーサポートに助けを求める時は、たいてい「期待通りの機能を発揮しない。マニュアル通りにやっても正しく動作しない」という困りごとを抱えている場合が多いので、ここのやり取りがうまくいかないとロイヤルティはなかなか高まらないどころか、著しく低下しまうことがあります。

具体的には、
「約束をした日時をとっくに過ぎたのに折り返しの電話がかかってこない」
「『解決するための手続きメールを今送った』と言われたのに数時間経ってもメールが届かない」
「『公式サイトのQ&A情報に従って何度操作してもダメだった』と伝えているのに、再度同じ操作を指示される」
「第二・第三のアドバイスがなく、いとも簡単に“白旗”をあげられてしまう」
などでしょうか。

ひどいケースだと、
「本当にアドバイス通りに操作したのかを何度も確かめられる(=ユーザー側の力量を疑われているような気分になる)」
「アドバイス通りに操作する過程で別のトラブルが新たに発生し、いつまで経っても本筋の解決にたどり着かない」
ということも起きたりします。

要するに「これを解決したいだけなのに…」というユーザーの願望が長期間にわたって解決されない(あるいは放置される)わけですから、これはロイヤルティの面では致命的だと思います。

ところがリコーさんによると、「この第三段階までは、基本的に多くの企業で実践されています」とのこと。

うーむ、私の体験で言えば、にわかには同意し難いですけれど…。

加えてリコーさんは、「これだけで(ユーザーが当該ブランドの)推奨者になる可能性は決して高くはありません。NPS(ネットプロモータースコア)を向上させ推奨者を増やすには、次の第四、第五段階が重要になります」とのことなので、引き続き見ていきます。

 

第四段階:予想外価値の提供

誤配送トラブルがあった際、正規の注文商品のほかにお詫びとして別の商品もあわせて送る。修理の依頼に対して、依頼箇所以外の点検や修理も徹底して行うなど、顧客の予想を上回る対応をとります」だそうです。

電話応対でいけば、
「サポートスタッフの権限で、正しく動作しなかった期間分だけ、契約を無償で延長してくれる」
「ユーザー了解の上でアカウント情報にスタッフ側が特別にアクセスして直接書き換えてくれる」
みたいなことだと思います。

飛行機とかホテルなどのサービス財だと「今回◯◯でご面倒をおかけしたお詫びに、次回はこれこれのアップグレード特典を差し上げます」というオファーをいただいたことはありますが、こと“モノ=商品”となると「お詫びに同じ商品をもうひとつ無償提供します」みたいな特例はそうそう期待できるものではありません。(あっても、せいぜい“修理・交換”でしょう)

こちらとしても、そこまでの優遇を求めているわけではないので、ほんのちょっとした「予想外価値」を提供してもらえたら、それだけで気持ち良くなれたりするのですが、B to Bならいざ知らず、B to Cの場合はなかなか難しいんだと思います。

 

第五段階:共感、同一視

リコーさんによると「購入履歴や誕生日など蓄積されたデータを基に誕生日特典や割引クーポンのプレゼントや、その顧客が好むであろう商品の案内をするといったように、顧客それぞれに対し個別のサービス提供を行います。またSNSの公式アカウントを使ったNPSの調査、把握、商品・サービスへのフィードバックなどのコミュニケーションも活用します」とのこと。

電話応対としては「それはさぞお困りでしょう」とか「今回のトラブルによって、経済面・健康面での影響を受けてはいませんか?」などと言ってもらえるだけで、単純な私としては「あぁ、親身になってくれてるなぁ。ありがたいなぁ」と感激し、これからもこのブランドと付き合おうと思ったりできるわけです。

もちろん、「商談を1本すっ飛ばした分の損失を補償」してくれたり、「イライラしてタバコの本数がかさんで喉がいがらっぽいからノド飴を贈呈」してくれることなどあり得ませんし、そもそもこちらもそんなことまで望んではいないのですが、それでも「サポートスタッフさんの心ある一言で救われる」のは事実だったりします。

最悪なのは、会話の冒頭で「問題の解決まで、私が責任をもってしっかりサポートしますのでご安心ください」などと言ってくれたのに、その後の対応が冷淡極まりない場合です。おそらく応対マニュアルに従っていらっしゃるだけだとは思いますが、こういう前後のギャップがむしろ神経を逆撫ですることもありますので、これも難しいところです…。

 

リコーさんによると、「こうしたコミュニケーションを継続していくことで、顧客は企業の理念、姿勢が好き、そのブランド(企業)がないと困るといった段階にまで至り、多くの人にそのブランドを薦めてくれる推奨者、ロイヤルカスタマーになる」そうですが、現実問題としてそこまでのレベルで電話応対ができている企業は、数えるほどしかないように感じます。

 

参考までに申し上げると、私がこれまでに体験したカスタマーサポートデスクとの電話の中で「掛け値なしで素晴らしい!」と感心したのは、アメリカンエキスプレスさんです。

抽象的な説明にはなりますが、アメックスさんは、
現状をひとこと伝えるだけで、こちらが何に困っていて、何を望んでいて、そのためにサポートスタッフができることを、そしてケースによってはできないことも、さらには代替案も含めて、過不足なく(←これ大事)、迅速に提案・回答してくれる。そしてスタッフの伝えたいことだけを一方的にベラベラしゃべらずに、こちらの言うことにも耳を傾けてくれる(←これ、超大事)
という応対レベルが常に維持されておりまして、本当に気持ちよくやり取りができます。(少なくともこれまでは、ですが)

一体全体、アメックスさんがどんなスタッフ教育をしていらっしゃるのか大変興味のあるところではありますが、日本のサービス産業全体の向上のためにも、そのノウハウをぜひ社会に幅広く共有していただきたいものだと思います。(そこで差別化を図っているのでしょうから、ムリかもしんないですけど)

 

 

 
 
 
 

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