な? 俺のはハンパなくデカいだろ?【篠山紀信展 写真力】

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2012年、つまり今から6年も前から全国を巡回していた『篠山紀信展 写真力 THE PEOPLE by KISHIN』。

近くでやっている時には時間が取れず、その先の巡回予定地を確認することもせず、「また近くに来たらぜひ」と思っていた展覧会ですが、ようやく実際に見に行ける機会を得ました。

岩手って、全然近くじゃないんですけど、たまたま時間が取れたこともあり、今見ておかないとそろそろ巡回自体が終わるんじゃないのかという焦りもあって、遠路はるばる行って来たというワケです。


すいません、いったん横道にそれますが、「近くに来たらぜひ」と言ったり言われたりする社交辞令って、世間ではどの程度受容しているんでしょうか。

「もしもし。やぁ。近くに来たんで電話してみたよ。今駅にいるから、あと10分もあればお宅まで行けるけど?」とか、あろうことか「チャイムがなったので玄関開けてみたら、いきなり目の前に上司」みたいな突然の来訪がホントにあったら、頭をフル回転させ、お互いの関係にヒビが入らない無難で真っ当な拒絶理由を数秒で絞り出さなければいけません。

真(ま)に受けても、真に受けられても、お互いに多大な迷惑がかかる「近くに来たらぜひ」というこのフレーズは、あまたある社交辞令の中でもかなり始末に負えない部類に入るのではないかと思います。

さらに余談です。昔、知人からもらった引越し通知ハガキにも「近くに来たらぜひ寄って下さい」的なフレーズがありましたが、その前に、

「あばら家同然ではありますが、」

という、ものすごい謙遜フレーズが添えてあったのを思い出しました。

謙遜がスゴ過ぎて、もはや「絶対ウチに来るなよ! 来たら絶対に後悔させてやる!」と恫喝しているのに等しいレベルです。


 

で、本題に戻ります。

この写真展のメインPRビジュアルとして使われているのは、ジョン・レノンとオノ・ヨーコがキスをしている有名な写真です。
有名過ぎて、私はこれが篠山紀信の撮影だとは知りませんでした。(会場で展示されていたこの写真の横に「この作品だけは撮影してもいいよ」という案内があったので、チラシを遠慮なく載せてみます)

そんな超有名人(芸能人・スポーツ選手・文化人)から一般人(東日本大震災の被災者)までが、めかし込んだり普段着だったり裸だったりしながら写っている、まさに「PEOPLE」が主役の写真展です。

会場の岩手県立美術館は、新年早々ということもあったのか、拍子抜けするほど空(す)いていましたが、そのおかげで作品をじっくり鑑賞することができました。空いてる場所、大好きです。

冒頭で触れた通り、これまで6年にもわたって全国を巡回していますし、写真家として超ビッグネームの展覧会でもありますので、改めてググってみると各地での作品展示状況が映像でけっこう紹介されています。

例えば、東京オペラシティ アートギャラリーのサイトでは、主要な作品画像を見ることができます。
また、展示風景も掲載されていますが、観覧者が写っていないため、展示写真の大きさが今ひとつ伝わってきません。

一方、かるびさんの「あいむあらいぶ」というサイトには、観覧者込みで撮影された展示風景写真が何点も載っていて、展示写真のハンパないデカさが実感できます。

そう。これだけあちこちで写真が紹介されているにも関わらず、わざわざ岩手まで行ったのは、この「写真のハンパないデカさ」を実際に見て、写真に圧倒されたかったのでした。

いや〜、行った甲斐がありました。

 

夏目雅子、大原麗子、キレイだな〜

美空ひばり、もうすぐ自分が入ることになる仏壇の前で笑ってて、切ないなぁ〜

三島由紀夫、思想だけでなく肉体もマッチョ〜

山口百恵、黒ビキニ〜

YMO、歳とっていい味出してる〜

歌舞伎役者、化粧の後だと誰が誰やら。でも衣装も含めて色彩がキレイ〜

黒柳徹子のセミヌード〜 w

震災被災者の写真、できる範囲で精一杯のおしゃれをして写ってる人もいて、それが逆にグッとくる。。。

 

私の主な感想は、こんなところです。

思い出用に当写真展の図録も買ってきました。
写真のサイズは当然小さくなりますが、会場に展示されていなかった作品も結構載ってました。どうせなら、全部会場で「ハンパないデカさ」でみたかった。

 

楽しかったら「楽しかった」とだけ書いて終わればいいようなものですが、どうしてもひとつ気になる点がありましたので、最後に触れておきます。

「ハンパなくデカい写真」の展示はいいのですが、一定以上の大きさの作品になると、1回の印刷(プリント?)で1枚全体を出力できなかったようで、縦方向に数枚に分割して出力したものをパネルかなんかに貼り合わせて展示するスタイルがとられていました。

これは、「ハンパなくデカい写真」を見る上で、ちょっと興醒めです。

業務用プリンタ(?)の技術的制約など事情があるのだとは思いますが、「映画をデカく映写するべく、2台の家庭用プロジェクタで画面の左右をそれぞれ投影したので、どうしても真ん中につなぎ目の縦線が入るね。でも仕方ないよね。遠目で見れば気にならないよね」と言われているようで、切なくなります。

日本のプリンタ(それとも輪転機とか?)技術は、この程度のもんかよ。 篠山紀信の写真を、たかがこの程度のサイズで拡大出力するのにヒーヒー言っちゃうわけ?

と、感じた次第です。

以上、現場からの声でした。

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