交通法規ヒエラルキーに君臨する乗り物とは。【自動運転車による初の歩行者死亡事故】

今月の18日、アメリカで試験走行をしていた自動運転車が歩行者をはねて死亡させてしまったそうです。

世界各地で進められている「自動運転車開発」にとっては残念なニュースですが、開発自体は今後もますます進められるでしょう。

というか、進めていただきたいと思います。

そもそも「自動運転車」とは

「自動運転車」とは、人間が操作・運転しなくても自動で走る自動車のことですから、いわば「自動走行自動車」ということになります。

これでは二重表現で長ったらしいし、語呂もよくありませんから今のところ「自動運転車」という表現に落ち着いているのかもしれません。

さらに調べてみると、「自動運転」は、その度合いによって定義づけ・レベル分けがされているようです。

私なりに、ちょっと整理してみます。

レベル5(完全自動運転)

「ヘイSiri、ちょいと草津温泉まで運んどくれ」「ガッテンでさぁ!」というやりとりだけで湯畑に連れて行ってくれる。そんな、誰もが思い描く最上級の自動運転は「レベル5、完全自動運転」です。

どんな厳しい環境でも人間が手出ししなくていいという最高のレベルなので、「ヘイSiri、私は1週間湯治してくから、自分だけでいったんウチへお帰りよ」と命令すれば「では来週、お迎えに上がりますゼッ」と言い残して無人で帰って行くこともできます。

人は何もする必要がないレベルですから、ハンドルもアクセルも要らないことになります。

欲しいですけれど、いつ実現することやら。

レベル4(高度自動運転)

次いで高いのは、「高速道路のみ」「晴天時のみ」など一定環境下において自動運転できる「レベル4、高度自動運転」です。

これはこれで実現したらスゴいことですが、高速道路を走るためにはまず一般道を走る必要がありますし、運転中いつ雨が降ってくるか分かりませんから、そんな「一定環境からはずれた場合」には人間の運転が必要になります。

「旦那さま、もうすぐ高速を降りますんで、あとはお願いいたしやす」ということではありますが、「天気が変わらない長距離地下道だけ走らせる」「高速道路上だけでも完璧に自動運転してくれれば、御の字」と割り切れれば、その間は人は何もしなくて良いのですから、非常に有効な自動運転レベルと言えるでしょう。

「舗装されていて、積雪のない道であれば全自動」という制約ぐらいであれば、個人的には大変に魅力的です。

レベル3(条件付き自動運転)

その下のレベル3は「条件付き自動運転」です。

レベル4同様、一定環境下なら自動運転してくれますが、先ほどの例でいけば「舗装されていて積雪がない道路上であっても、あっしが対応できないときは、旦那さまにバトンタッチさせていただきやすぜ」というレベルです。

よって、運転席には必ず誰かが座っていなければいけませんので、人間はさほど気を抜けないかもしれませんね。

レベル2(部分自動運転)

さらに下になると「レベル2、部分自動運転」となります。

ステアリング操作と加速・減速を連携させて運転してくれるのですが、ハンドルから一定秒数以上手を離すとシステムが解除されるなど、運転の主体者は人間です。

ですから、「あっしのサポートで、旦那さまのお疲れを軽減して差し上げやす。でも、責任もって運転するのは旦那さまですぜ」ということになります。

レベル1(運転支援)

レベル1ともなってくると、今や普通に出回っている「運転支援」レベルですから、「車間に応じて減速」とか「車線をはみ出したらステアリングを補正」をそれぞれサポートしてくれますが、「ステアリングと加減速の相互連携はしない」のがレベル2との違いになります。

こうなると、人間はまったく気を抜けません。

そして、レベル0

で、レベル0は「アクセルもハンドルもブレーキも、全部人間が操作する」普通のクルマということになります。

自動運転車を普及させるために

こうやって見てみると、レベル3以上ぐらいになってこないと、とても「自動運転」とは呼べない感じですが、このレベル3ですら、ようやく今年2018年に発売予定といった状況ですので、レベル4以上に到達するのには、まだまだ時間がかかるのでしょう。

その間、おそらく「事故が起きたら誰の責任か」などを定める法整備も必要になりますし、新しいドライバー教育・歩行者教育も欠かせないはずです。

しかし、「車がないと生活できない地域」「少子高齢化・過疎化が進む地域」のクロスオーバーがますます進行しそうな日本においては、自動運転車の普及は必須ですし、それなくしては「高齢者の免許自主返納」も進まないだろうと思います。

今回アメリカで発生した歩行者の死亡事故については、

「地元警察は歩行者が急に飛び出し、人間でも避けるのが難しい事故だったとみている」

という地元紙報道もあるようです。

となると、そういう予測不能な歩行者の行動については、もしかすると「レベル5、完全自動運転」でも回避しきれないかも知れませんよね。

その昔、自動車教習所で

「○○なときは、徐行する必要はありますが、停止しなくてもいいです。

なぜなら、歩行者はワープして来ていきなり車の目の前に出現することはないので、徐行すれば十分なのです」

と教わった記憶があるのですが、今回はどの程度の「急な飛び出し」だったのかはちょっと気になります。

ただ、「急な飛び出し」を警戒するなら、日本の場合は歩行者よりも自転車ではないでしょうか。

自転車は、歩行者とは比較にならない速度での走行が可能なだけでなく、

「交通法規教育が徹底しておらず、車道・歩道でも自由気ままに走っても事実上お咎めがない(ことが多い)」

「車道においては右側の逆走すら黙認されがち」

「そのくせ運転未熟者は低速時に突然フラついて車に接近してくる」

「なのに原付や自動二輪車のようなヘルメット着用義務もない

などなど、ある種「自転車に怖いものなし」「自転車以上に“我が物顔”できるものなし」というヒエラルキーが形成されていますから、自動運転車にとっては歩行者よりもよっぽど警戒すべき対象かと思います。

もしかすると、無謀な自転車走行に対処するのは、人工知能のデキがかなり高度化しないとムリかもしれず、結果として「日本の自動運転車の普及を、自転車が阻害する」可能性すらあると予測しますが、いかがなものでしょう。

まぁ、だとしても解決策はありまして、「自動運転車が自転車を認識して徐行しやすくするためのセンサーの取り付けを(自転車側に)義務化する」のがもっとも現実的かと思います。

究極的には「自転車の公道走行は(セグウェイ同様)原則禁止。そのかわり、一定収入以下の世帯に対しては自動運転車を1台支給(もしくは格安レンタル)する」ぐらいしてもいいかもしれません。

補助金という名の税金が投入されてしまいますが、旅行・ショッピング・外食・ガソリンなど、関連する消費が大幅に増えることで経済が活性化し、かつ自転車事故だけでなく、逆走や急発進などによる不幸な自動車事故も激減すると思います。

私が死ぬまでに実現するといいのですが、どうなりますことやら。