昨日、内閣サイバーセキュリティセンターにおいて「サイバーセキュリティ対策推進会議(CISO等連絡会議)」が開かれ、
「来年度以降、安全保障・治安・機密情報・番号制度関連でスマホ・パソコン・サーバー・ルーターなどの調達に際しては『悪意のある機能が組み込まれた機器を調達しないようにする』という方針・手続きの申し合わせが行なわれた」
そうです。
これは分かりやすく言うと、
「国の機密情報や個人情報が盗まれたり破壊されたりしないようにするために、そういう機能が入っている製品は、政府として買わないようにしましょう」
ということです。
で、さらに言うと、排除対象として中国企業のファーウェイ社・ZTE社が想定されているらしいです。(政府は名指ししていませんが)
実際、この会議で申し合わせがされた同日、日本の携帯電話会社の大手は、
「次世代通信規格(5G)の基地局など通信設備から、ファーウェイ社・ZTE社の製品を除外する方向で検討に入った」
ことも報道されています。
これは「パソコンにウィルスを感染させてハッキングする」などの不正改造とか不正利用といった類の話ではありません。
報道を素直に読む限り、
「メーカーから出荷された初期仕様の段階から『悪意のある機能』が組み込まれているので、そういうメーカーの製品を買うのをやめよう」
ということだと思います。
つまり、ここで排除される特定のメーカーは、
「日本政府によってサイバーセキュリティ面での危険性を認定されたメーカーだ」
ということになるわけです。
こんな大胆な動きを日本単独で行なうはずもなく、国家安全保障上あるいは貿易や次世代通信規格(5G)において主導権を握り続けたいアメリカの思惑に呼応したものだという見方もあるようです。
他のアメリカ友好国にも同様の動きがあるらしいので、まぁ、その通りなんでしょう。
ここで私が思い出すのは、オリバー・ストーンさんの監督作品『スノーデン』です。
この映画は、アメリカ国家安全保障局(NSA)の機密情報を外部メディアに暴露したコンピュータ専門家、エドワード・スノーデンさんの活動を描いたものです。
スノーデンさんが暴露したことをまとめると、
「アメリカは、アメリカに本拠地を置くIT企業や通信事業者の協力のもと、インターネットと電話の傍受をしていて、連絡先の身元や位置情報はもちろん、通話やメール・チャット・写真・ビデオ・添付ファイルの内容などの検閲・収集を、全世界で行なっている」
ということになります。
かなり、とんでもないレベルです。。。
映画の中では、スノーデンさん(ドキュメンタリーではないので、役者さんが演じてます)は日本についても言及しておりまして、
「米軍横田基地で働いていた時には、日本がアメリカとの同盟関係を破棄した場合に備え、『電力システムを停止させられるマルウェア』を(日本の発電(もしくは送電)設備のどこかに)仕込んだ」
のだそうです。
「おい、オレ様に歯向かったら、どうなるか分かってんだろうな?」
というわけで、観ていてゾッとしました。
スノーデンさんの告白した内容が内容ですから、この映画に出てくる彼のエピソードや暴露情報を関係国や企業が素直に認めるわけなどありませんが、私の下世話な庶民感覚をもってしてみると、「まぁ、ほぼすべて事実なんだろうな」と評価してしまうわけです。
そんな頭で今回の「悪意のある機能が組み込まれた機器を調達しない」背景を振り返ると、
「それらの機器には、中国(政府? 共産党? 軍?)を資するような機能が組み込まれているから調達しない」
と考えることもできますが、もしかすると実態は逆で、
「アメリカ側が実施している電話・インターネットの傍受に必要な機能が組み込まれていないから調達しない(調達するわけにはいかない)」
のではないかと妄想したりもします。
つまり、
「中国の『悪意』が組み込まれている」
のが問題なのではなく、
「アメリカの『悪意』が組み込まれていない」
ことこそが問題になっているんじゃないのか、ということです。
どっちが「悪意の真実」なのかは私には分かりませんが、いずれにせよ、米中の覇権争いの典型のようなニュースだと思います。
両国の首脳は、どちらも血の気が多そうですし、一歩たりとも相手に譲る感じがしませんので、この調子でいくと、世界経済が好転するには、かなりの時間を要するのかもしれません。
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