「夢見チヨ日記」の概略についてはコチラをお読みいただくとして、初回投稿は僕が「あれ?うちの親って、子供の頃に自分が知ってた人とちょっと違うかも?」と実感した海外旅行の時の話。
旅したのは2007年から2008年にかけての年末年始、母ミチヨは当時60代後半。ミチヨよりも年下の父が還暦を迎え、めでたく会社を定年退職したので、息子から何か御祝をしたいと考え海外旅行を計画したわけです。
そもそも父からは、還暦祝いには高価な釣竿が欲しいなんて声が薄っすら聞こえていたが、ミチヨの強引な希望で海外旅行に塗り替えられてしまったという。。
行き先はバリ島に決定。
年末年始が雨季にあたるバリ島は、ハイシーズンでも若干リーズナボーな価格でのプランニングが可能であり、また、僕はバリ島に数回渡航経験があったので、高齢者を連れ歩くなら多少は知ったる土地のほうが安心ということで。
ここで、あたらめて登場人物の紹介。
母ミチヨ:60歳後半 専業主婦歴ウン十年。明るく社交的で自由奔放、家中を仕切るカカア天下。趣味は温泉通いと大正琴。
父:60歳。とあるメーカーの検査部門に勤務。子供の頃に抱いていたイメージは無愛想な頑固オヤジ、そして超マジメ。物静か〜に釣りと読書するのが趣味。
僕:当時は30代後半、会社員、貴族ではない独身、海外旅行好き。
都内在住の僕と北関東在住の両親は、出発当日に成田空港で待ち合わせ。普段、頻繁に電話するわけでもなく、帰省は年に多くて2度。学生時代から親元を離れていたこともあって、久々のご対面である。
そして、両親にとっては生まれて初めての海外旅行である。ミチヨは能天気に浮かれまくって異様なテンションの高さ。対する父は若干緊張の面持ち。
年末にしては比較的空いている空港第二ビル、そして飛行機はガルーダ・インドネシア航空。
チェックインカウンターでパスポートを提示して手続きしていると、
「保険証とか免許証は見せなくて良いのか」
「あんなシール貼っただけでスーツケースは無事に届くのか」
とヨコからぶつぶつ口を挟むミチヨ。まあ、初めての海外だから、こういう手続きも物珍しいんだろーなー、とこの段階では思った。
チェックインが終わり、空港内のターミナル同士をつなぐシャトルに乗ると、今度は急に驚いた様子で
「何これ!あたしら、もう飛んでるの?」
と大声でのたまうミチヨ。周囲の人たちから笑いを堪える空気が伝わってきて恥ずかしい。
旅行保険に入ったりしつつ(全部息子が手配、えらい)出発ゲートに到着し、いざ機内へ。初飛行機あるあるで、靴は脱がなくて良いからと伝えた。伝えないと本当に脱ぎそうな勢いだったし。
座席に座ってもソワソワと落ち着かないミチヨ。
テーブルを出したりたたんだり、機内誌をパラパラめくっては戻し、また手に取るなどの挙動不審な行動を繰り返す。機内誌は英語だから読めないはずなんだけどね。。。
そして。
ミチヨ「この飛行機、デンパサールってとこに行くってアナウンスしてるけど?あたしらバリ島行くんじゃないの?大丈夫?」
僕「バリ島の州都がデンパサールっていうところだから、そうアナウンスされてるんだよ、大丈夫」
ミチヨ「バリ島の首都がデンパサールってとこなの?」
僕「首都じゃなくて州都、県庁所在地みたいなもんだよ」
ミチヨ「じゃあ、バリ島の首都はどこなの?」
僕「だから、バリ島は国じゃないから。バリ島はインドネシアって国にあるんだよ」
ミチヨ「んじゃあ、バリ島はインドネシアの首都なんかい?」
僕「違うよ、インドネシアの首都はジャカルタ!」
ミチヨ「じゃあバリ島はなんなのよっ」
父「恥ずかしいから、その会話、そろそろやめてくんない?」
と、飛行機が飛ぶ前だというのに、既に若干の疲労感が。
そして、更に疲労度は蓄積されることになるのだが、思った以上に前置きが長くなったので、ひとまずこの辺で。
初の海外親子旅、しばらく続きます。
コメント