以前、日比谷公園内の図書館について投稿したことがあります。
その際、私が時々利用する近所の公立図書館において、「黒ずくめの衣服を着た、いつ行っても遭遇する長髪男性」から、常に強烈な異臭が漂っているというエピソードを紹介させていただきました。
もちろん、それだけで彼がホームレスであるとは断言できませんし、そもそも「ホームレスは図書館を利用してはいけない」というルールなど、ありません。
ただ、ホームレスであろうがなかろうが、公共の場で他人に不快感を与えるような悪臭を放つことのないよう、利用者はマナーを守るべきですし、それがひいては知的情報&文化空間としての図書館の維持発展につながっていくんだと思います。
と、一般論はこのくらいにしまして。
つい先週の夕暮れどき、出先から帰宅すべく、その図書館近くの道を歩っていたら、例の「黒ずくめの衣服を着た、いつ行っても遭遇する異臭を放つ長髪男性」に偶然遭遇しました。
図書館が閉館する2時間ぐらい前でしたが、おそらく彼はこのぐらいの時間には帰路につくようにしているのでしょう。
屋外でしたし、お互い同じ方向に歩っていましたので、臭気が滞留することはなく、また彼が歩きタバコをふかしていたこともあって、悪臭に悩まされることはありませんでした。
また、タバコを吸っているということから、彼には少なくともタバコが買える程度の収入があるらしいことも判明したわけです。
と同時に、「いつも同じ身なりだから」「長髪だから」「異臭を放つから」という理由だけで無収入のホームレスではないかと疑ってしまった自分を、少し恥じたりもしました。
そうこうするうち、私と「数歩前の長髪男」は共に、とある首都高沿いの道までやって来ました。
彼はここで横断歩道を渡る気配を見せていますし、私はこのまま歩道を直進します。
「どこのどなたかは存じませんが、どうぞ気をつけて帰ってください。そして明日(も)図書館に行くときは、もう少し臭いに気を使って下さい」などと念じているうちに、数歩前の彼は横断歩道を渡り始めました。
すると「数十歩離れた長髪男」は何を思ったのか、横断歩道を渡り切ることなく、「首都高を支える一本足の橋柱」を右折し、中央分離帯を歩き出したのです。
「向こう側の車線でも、車がバンバン走っているのだから、中央分離帯を歩きながらベストポジションとベストタイミングを見つけるなんて、そんな危ない真似しないで、横断歩道と信号のある所で普通に渡り、早く家に帰ればいいのに」と思わずにはいられませんでした。
するとこの「中央分離帯の男」は、写真の丸印のあたりで歩くのをやめ、手に持った汚れたバッグ(のような袋)を、地面に降ろしたのです。
そう。
「黒ずくめの衣服を着た、いつ図書館に行っても遭遇する悪臭を放つ長髪男性」は、ここを寝ぐらにしていたのです。
ここが、彼の居所だったのです。
彼は、ここから毎日のように図書館に通っていたのです。
「この辺りには、同じような脚柱が何本も連続して立っているのに、彼はどうしてこの脚柱の根元をチョイスしたのだろう?」という興味も湧きましたが、この際それは置いておきます。
彼を図書館で見かけるたびに、
「実は『ホームレス』ではないかもしれない。
『独身生活が長くなり過ぎ、身ぎれいになれない単なるズボラ男』なのかもしれない。
せめて『生活保護を受けているリストラ経験者』ぐらいだったら、まだ救われるのに」
と、半ば期待をもって夢想していましたが、残念ながらそれらは期待はずれだったようです。
彼は少なくともこの1・2年についてはホームレス状態であり、日中は図書館で過ごし、夜になれば首都高の脚柱の根元で段ボールにくるまって寝るという生活を続けてきたのだと思われます。
そりゃぁ、臭くもなるでしょうね。。。
というか、その間、私も図書館で彼を何回か見かけていますが、異臭レベルがどんどん強くなってきた印象はありません。(もちろん臭いことは臭いのですけれど…)
あのような場所で寝起きしていて、異臭レベルを一定に保てていることのようがむしろ驚きです。
月に1度ぐらいは洗濯とか洗髪・入浴とか、出来ているんでしょうか。。。
それにしても、なぜ彼が緊急一時保護センターとか自立支援センターに頼らず、路上生活を続けているのか、不思議です。
それほどまでして読書がしたいのか?
緊急一時保護センターのそばに図書館がないからなのか?
自立支援されて就職すると、読書時間が減ってしまうからなのか?
それとも、単に労働がイヤなのか?(←この気持ちは分かります。w)
長髪男はまだ40代ぐらい(推定)ですから、あえてこういう生き方を選択している可能性も否定できません。(消去法かもしれませんけど…)
いずれにせよ、寒くなるこれからの季節。
図書館の休館日に彼がどこでどう暮らすのかだけは、やはり気になります。
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