乗り物の中で安眠するためのノウハウ

「乗り物の中で安眠するため」などいうタイトルをつけてはみましたが、そもそも、この命題自体が「冬のシベリアの屋外で肉まんを冷まさない」とか「蕎麦屋で焼肉を食べる」のような「どだい無理」感が漂う行動なので、どこまで参考になるかは分かりませんが、最近長距離移動を伴う旅行をする機会が多かったため、とりあえず「私はこうしてます」というノウハウを(自分の備忘メモも兼ねて)まとめておきます。

長時間にわたって公共交通機関を利用する際の「睡眠の敵」は、「音」「振動(揺れ)」「乾燥」「暑さ・寒さ」「座姿勢」「明るさ」「(衣服やシートベルトによる)締めつけ」「座席の窮屈さ」などかと思います。

対策が可能なものもあれば、どうやっても解決不可能なものもありますが、順に考えてみます。

「音」

狭くて閉ざされた客席・キャビン内で、複数の赤の他人と長い時間を共有するわけですから、乗り物自体や他の乗客が発する音はどうしてもノイズとして認識してしまいます。

エンジン音、タイヤ音、線路の音、風切り音、おしゃべり、咳、咀嚼音、イビキ、歯ぎしり、イヤホンからの音漏れなどなど、挙げればキリがありません。

乗り物自体が発する音は「静止」でもしない限り止むことはありませんし、イビキや歯ぎしりに至っては本人に自覚がないため乗客各自がマナーを意識しても防ぐのは難しかったりします。

ただ、音に関しては自己防衛も簡単で、「なるべく高性能な耳栓」を利用するのが最も確実で効果的だと思います。

一時はノイズキャンセリングヘッドホン(イヤホン)の導入を考えたこともありますが、家電量販店で試聴した際の店内ノイズの低減具合から類推して、耳栓以上の効果が期待できないように思い、以来、MOLDEX社耳栓一筋です。

「振動(揺れ)」

これは自助努力では「除去」どころか「低減」すら難しいでしょう。

シートのクッション性が評判の交通機関を選ぶことも可能かもしれませんが、タイヤや車輪を通じて伝わる振動や、気流による飛行機の乱高下などは、防ぎようがありませんから。

常識的かつ一定レベルの「継続する振動や揺れ」については、私は「まるで揺りかごのようだ、あぁ赤ん坊の頃のようだ」と思い込むようにしています。

「乾燥」

睡眠時の呼吸が荒い人にとって、乾燥した空気は大敵です。

鼻腔や喉の奥の粘膜がカラカラになってしまい、目が覚めた時には喉が痛くてしょうがないという経験がこれまでに何度もありました。

しかし、耳さえどうにかすれば音対策ができるのと同様に、乾燥については鼻と口のまわりを湿らせることさえできれば比較的簡単に解決できます。

私は「フィニッシュコーワ」と「のどぬ〜る ぬれマスク」を併用することで、なんとか乗り切れています。

「暑さ・寒さ」

先日乗った高速夜行バスの運転手さんは、出発時に、

「車内におきまして『暑い・寒い』などございましたら、ご遠慮なく乗務員までお気軽にお申し付けください」

とアナウンスしていましたが、唯一の乗務員である運転手さん(しかも運転中)の所までわざわざ申告に行くのも気が引けますし、そもそも複数の乗客から「暑い」「寒い」と真逆の申し出があったら、たぶん運転手さんは空調調節を断念するんじゃないでしょうか。

ということで、私は「ブランケットが提供されるかどうかを事前にチェックし、その有無に合わせて自分の服装を工夫する」ことにしています。

寒さに備えて、上に羽織るものを1枚持ち込むのはもちろん、暑い際にはサクッと脱げてしかもその結果みっともない格好にならないように、というレベルですが。

「座姿勢」

飛行機にせよ、新幹線やバスにせよ、シートの背もたれはある程度のリクライニング機能を備えてはいますが、「ファーストクラスの飛行機」でもない限り、シートがフルフラットになることは稀だと思います。

で、その結果、睡眠中に首があらぬ方向に傾き続け、寝違えた痛みで目をさまし、その先の旅行に支障をきたしたりすることもしばしばでした。

ここは素直にネックピローのお世話になるべきかと。

コンパクトに携帯できることから空気で膨らますタイプも人気なようですが、私は首がどう動いてもカッチリとサポートしてくれる微粒子ビーズが詰まった無印良品の「フィットするネッククッション・フード付」を使っています。

「明るさ」

「寝るときには目を閉じるんだから、多少の明るさは気にならない」とタカをくくる人もいらっしゃるようですが、私の場合、まぶたを通して入って来るわずかな光が我慢できないこともよくあります。

かといって、座席に備え付けられているような安価なアイマスクでは、耳にひっかける紐の存在感や顔面にアイマスクが密着する感触が、これまた安眠の妨げになりがちでした。(通常のマスクとダブルになるため)

この悩みは、前述した無印良品の「フィットするネッククッション・フード付」で解決できました。

この商品はその名の通り、頭からかぶるフードが付属しているので、自分の視界を暗くできるだけでなく、睡眠時のマヌケ顔を人様に晒さずに済むという副次効果も得られます。

「(衣服やシートベルトによる)締めつけ」

乗り物に長時間乗る際に「スーツにネクタイ」などはもってのほかです。

なるべくラフな格好が理想ではありますが、かといって新幹線や高速バスの中でパジャマに着替える勇気もありません。

「どうせシートベルトを締めるのだから」ということで、私は着席後にコッソリとズボンのベルトをはずし、さらに状況が許せばフロントトップボタンもはずしたりチャックを下ろしたりして、「これで立ち上がったらズボンがズリ落ちます状態」にすることもあります。

ただし、隣に見知らぬ他人が座っていらっしゃる場合や、ましてやブランケットがもらえない場合は、やめておいたほうが無難だと思います。

他の乗客から常に警戒され続けるのも、安眠の妨げになりますから。

「座席の窮屈さ」

以前ご紹介した超豪華高速夜行バス『ドリームスリーパーならまだしも、一般的な座席では、着席後の可動範囲はきわめて限られてしまいますので、頻繁に寝返りを打つような方にとっては辛い状態が続いてしまいます。

「寝るためにどうするか」というハナシですから、体の鬱血防止のために車内や機内の通路を定期的に歩き回ってしまっては、元も子もありません。

これについては私も解決策が見出せておらず、「寝返りを打てずに目が覚めてしまったら、伸びをしたり腰を浮かすなど、座席でできる範囲で体を動かす」ことでお茶を濁しているのが実態です。

こればかりは、今のところ諦めているという感じです。

「究極の解決策」

私の場合、経験則から「いったん寝入ってしまえば、あとはどうにかなる」ことが分かってきましたので、サッサと寝入るためには「お薬」に頼ることにしています。

かつて、かかりつけの医者から睡眠導入剤を処方してもらっていたことがあり、乗車・搭乗の数十分前に服用することで、かなり快適に眠りにつくことができました。

現在は睡眠導入剤を処方されていないため市販薬に頼るしかなく、効果が限定的になってしまっているのが残念なところではあります。

以上、つらつらと書いてきましたが、まとめると「最低でも目隠しもできるネックピロー・高性能な耳栓・(泣く泣く市販の)睡眠導入剤の3点セットだけは欠かせない」というのが私の安眠対策ということになります。

何らかのヒントになれば幸いです。