「サラリーマン時代に蓄えたなけなしのお金を、この先どう使っていくか」をあれこれ考えて実践してきた行動記録の7回目です。
前回は、実物資産の代表格である「不動産」について、「都内の中古ワンームマンション投資セミナー」の受講を通して感じたことなどをお伝えしました。

で、今回は資産運用におけるもう一つの大きな柱である「金融資産」についてのお話です。
第5回で「金融資産として、いくつかの商品を試し買いしてみた」ことをお伝えしましたが、あくまでそれは試し買いであって、その当時はまだ「どんな商品にどのくらい投資すればいいのか」について、本格的な方針など全く定まっていませんでした。
しかし一方で、早期リタイアに向けたカウントダウンは始まっていましたので、「実物資産(不動産)」同様に、「金融資産」についても早く勉強しておきたいと意気込んだりもしましたけれど、それが実際に実行できたのは早期リタイアした後、つまり昨年になってからでした。
リタイアの前年は、それだけ多忙だったということです。(遠い目…)
頼ったのは、これまた無料セミナー
退職後の各種手続きも落ち着いてきた昨年の初夏、とあるメールマガジンの文末に、「投資信託をどう選ぶべきか。なぜ投資信託で損をするのか」をテーマにした無料セミナーの案内が記されているのが目にとまりました。
セミナー会場は都内の一流ホテルの宴会場でしたし、平日・午後の開催ではありましたが、既にリタイア済みで時間に余裕もありましたので、社会勉強も兼ねて参加してみることにしました。
セミナーの主催者は、とある「金融商品仲介業者(IFA)」さんでした。
「金融商品仲介業者(IFA)」とは?
「IFA」とは「Independent Financial Advisor」の略で、各種金融商品を売る特定の金融機関の営業方針などに左右されず、独立した立場から「顧客の資産状況や将来設計に応じた最もふさわしい金融商品を提案・仲介する業者さん」という存在だそうです。
で、彼らがどこで儲けるかというと、「提案をした顧客から」ではなく、「商品を仲介して売ってやった会社(例えばネット証券会社)からもらう販売手数料」で収入を得ているのです。
「手数料を取るのは顧客本人からではなく、仲介してやったネット証券会社から」とだけ聞くと、つい「顧客の立場になるわれわれにしてみたら、オイシイじゃん」と感じるかもしれません。
しかし、IFAの仲介で投資信託商品を買う際には、自分でネット証券から買うときよりも購入時手数料が割高に設定されていたりしますから、本来顧客が支払うべきコンサル料は、間接的にではありますが、やはり顧客が支払っているということだと思います。
よって、購入時手数料をできるだけ安く済ませたい人にとっては、IFAなど介さずに、直接ネット証券会社のサイトから注文してしまえばいいのですが、私のように「そもそもどんな投資信託をいくらぐらい買うべきか」を自分で判断できない人間にとっては、多少手数料が割高になってもプロの助言を得られるのは、大きなメリットだったりします。
また、ネット証券会社が大キャンペーンをしかけて売り出した商品があったとしても、「証券会社は営業方針としてそれを売りたいのでしょうが、あなたが買うべき商品は、違うものです。なぜなら理由はこうだからです」とアドバイスしてもらえるのだとしたら、やはりこれは魅力的な存在ではないかと思います。
まぁ、この辺は一般論ですから、中には「いや、自分で勉強すれば投資する商品など自分で決められる。手数料を払ってまで誰かに相談するなど愚の骨頂」という方もいらっしゃるとは思いますが、あとは各自の判断ということですかね。
参考までに、関連するサイトへのリンクを貼っときます。
(いずれも今回取り上げたセミナーの主催者とは関係ありません、念のため)

セミナーで語られたこと
さて、実際のセミナーですが、講師は、このIFA業者の社長さん自らが務められておりました。
かなりの回数をこなしてきたこともあるのでしょうが、非常に聞きやすく、分かりやすく、かつ説得力のある話し方をされる方でしたので、聞いていて、全く退屈しませんでした。
このあたりは、前回ご紹介した「中古ワンルームマンション投資セミナー」の講師さんも同様でしたから、何かを売り込む際の話芸の重要さを改めて痛感するととに、「サラリーマン時代の自分のプレゼン技法は、はたしてここまでできていただろうか」などと、思わずちょっと場違いな反省をしたりもしました。w
このセミナーで語られたのは、以下のようなことでした。
まずは会社紹介から。
「証券会社だけでなく、保険会社や不動産会社、税理士も紹介できるので、資産に関する相談窓口を一本化できますよ」
↑ふむふむ、ワンストップで便利そうですね。
続いてネット証券会社との提携関係について。
「こちらから、あなたにふさわしい金融商品を提案するので、それを買うための専用口座を、このネット証券会社で開設して下さい。
既にその証券会社で口座を持っていたとしたら、口座の種類を変更してもらいます」
↑IFAさんのアドバイスで商品を購入し、それに対応する手数料が適用されるようにするために、口座の種類(コース)を変えておく必要があるということです。
そして、以後その口座で株や投資信託を買うと、たとえアドバイスがなくても「IFA業者の助言で買ったもの」と見なされていくんだと思います。
資産運用の総論。
「資産運用の目的は?
預金・株式・債券のメリット・デメリットは?
金利と債券価格の関係は?
株式と債券の関係は?」 などなど
↑この辺は、金融商品に関する基本的な特性説明が続きます。
投資信託について(本セミナーの主題)。
損する理由①:「IT」「中国」など特定経済テーマに関連するよう設定された投信を、タイミングがずれたところで買わされるから。
損する理由②:分配金が、収益からだけでなく元本から払い出されることもある「毎月分配型」の投信が主流だから。これでは資産は目減りするだけ。
損する理由③:「投信に集まった資金のうち、半分はキャッシュとしてキープしてもよい」という投資信託協会ルールがあるのに、全額を投資している投信が多いから。この投資スタイルだと相場が下がると思っていても売却するどころかさらに投資することになってしまう。
↑このあたり、たいへん勉強になりました。
では、良い投資信託の条件とは。
①:相場が下落しそうな時は投信内の株を売却して現金比率を高め、上昇しそうになったらそのキャッシュで株を買ってくれること。
②:上記のような運用をして、ちゃんと実績を出しているファンドマネージャーがいること。
③:インデックスファンドのようにその市場全体に分散投資してしまうと、相場が下落した時、もろに影響を受ける。いい会社(せいぜい数十社)だけに集中投資していること。
④:その時々の人気商品や、特定経済テーマに基づく投信に振り回されずに、「市場の動きにかかわりなく資産を増やしていくことを目指す投資信託」を選んで買うこと。
↑このへんになってくると、それを満たす商品がどれなのかなど、やはりプロに教えてもらうしかなさそうな気がしてきます。
セミナー全体を通して、私が最も興味深かったのは、「損する理由 ③」です。
投資信託協会のルールでは「集めた資金の半分以上は投資して運用すること」になっているそうで、これは裏を返せば「現金比率5割までは許容されている」ということでもあります。
ところが、多くのテーマ型投資信託が、「集めた資金を相場の上げ下げに関係なく常に全額投資し続けている」というのです。
そんな投資スタイルでは、たしかに損する確率は高まると思いますけれど、にも関わらず一度決めた投資方針にのっとって全額を淡々と投資しているのは、そのほうがサラリーマンファンドマネージャーにとっては楽だということなのかもしれません。
そして、セミナーを通して一番の驚きは、言うまでもなく「良い投資信託の条件 ④」です。
「市場の動きにかかわりなく資産を増やしていくことを目指す投資信託」が、この世に存在していることなど、全く想像すらしていませんでした。
例えば、日経平均などに連動するインデックスファンドは、「日経平均が上がっても下がっても、その時の基準指標をちょっとでも上回ってさえいれば成功」と見なされるらしいので、「動きに関係なく資産(の絶対額)を増やしていく」という条件には当てはまらないでしょう。
ところが、「市場の動きにかかわりなく」すなわち「日経平均が下落している時にも資産が増えていく(ことを目指す)投資信託」を(プロが選んで)教えてくれるというのですから、これには驚きました。
世の中には「目指すことは目指したけど、やっぱりダメだった」ということだってありますから、100%の成功など望むべくもありません。
しかし、100%でないにせよ「どんな時でも資産を増やしていける確率が高い投資信託」がホントにあるのだとしたら、それをぜひ知りたいと思うのが人情というものです。
セミナーで語られなかったこと
で、当然ではありますが、「その投資信託の、具体的な商品名は何か」という点については、語られないわけであります。
そりゃそうですよね。w
セミナー終了後に、「後日の個別相談の意向確認アンケート」が配られまして、もちろん私は「意向あり」に丸をさせてもらいました。
個別相談によって、「私が今後、どんな金融資産をどれだけ保有すべきか」を見つけ出せるとしたら、これはもう、丸をつけるしかないわけで。
その個別相談の内容については、また次回にでも。
【注】
1年以上前の記憶を元にまとめた記事ですので、一部事実誤認を含んでいる可能性も否定できませんので、ご注意ください。
投資は自己責任ということで、どうかひとつ。
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