つい先日、自宅のポストに「厚生労働省」からの封書が届いていました。
「職業安定局雇用保険課」からの「雇用保険に関する大切なお知らせ」だそうです。
早期リタイア・早期退職後にいただいていた「基本手当(いわゆる失業保険・失業手当)を返せ」とかだったらイヤだなぁ、などとビビりつつ、開封してみました。
景気変動を探る経済指標となる賃金・労働雇用状況を明らかにし、GDPの計算や保険の算出にも用いられる「毎月勤労統計調査」という統計データがあります。
厚生労働省が実施しているのですが、
- ルールとして全数調査すべき調査を、サンプル調査に勝手に切り替えた。
- サンプル調査の場合に必要となる補正作業をしなかった(忘れた)。
- すべてのデータを訂正せずに、2018年からの訂正にとどめた。
- この一連の内容を公表しなかった。
という不正(厚労省に言わせると「不適切な取り扱い」)が発覚し、昨年末から今年にかけて連日大きく報道されたので、憶えていらっしゃる方も多いと思います。(私は忘れていましたが…w)
この影響によって「平均賃金が低く算出され、雇用保険や労災保険などで約2000万人に対して支払い不足があった」という報道もあったわけですが、今回の郵便は、
「あなたに給付した雇用保険(失業手当)にも支払い不足がありました。ついては不足分を振り込むから、口座情報を教えてね」
という内容だったのです。
10年以上にわたって不正な統計調査が行われていたため、雇用保険や労災保険への影響は「対象者は延べ約2000万人」で、総額は500億円とも600億円とも言われていますが、1人あたりにすれば1,400円ぐらいになっちゃうんですね。
とはいえ、私に送られてきた封書内には返信用封筒などを含め、合計5点の資料が同封されていましたし、「払渡希望金融機関指定(変更)届」の返送後には「最終的な支払い額の精査を経てから、はがき形式の『支給決定通知書』が送られてくる」そうなので、今回の追加給付に関する事務コストって膨大な額になってるんじゃないでしょうか。
そう思ってネットを漁ってみたら、「事務費として国は195億円を予算計上した」という報道が見つかりました。
追加給付の500億円(ないし600億円)は「本来は既に支払われていたはずのお金」なので勘定に含めないとしても、この事務費195億円は完全に「想定外のコスト=税金の浪費」ということになります。
ちなみに、今年2月18日に放送されたNHK『クローズアップ現代+』のインタビューにおいて、厚生労働省の元統計担当者は、
保険の給付の額にはねる(影響する)というのは、実際、報道を見て初めて知ったので、そこまではねる(影響する)ようなものだと正直思っていなかった。軽視はしていないけど、経済を左右するものだっていうことで自負を持って慎重にやっていましたけど、あそこまで政策にはねる(影響する)ものだとは正直思わなかったので、びっくり。
と発言していたようです。
この「うっかり、びっくり」のおかげで税金が195億円も吹っ飛ぶのですから、官僚の仕事って、生半可な精神力では務まらないと思います。(←ほとんど嫌味ですが)
ということで、私の追加給付が確定したら、たとえ1,400円程度であってもありがたく頂戴しようと思いますが、その裏で莫大な事務コストが発生しているかと思うと、もらうのがちょっと後ろめたいような気もしてきます。
この程度の胆力しかないので、私は全くもって官僚には向かないわけです。
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