以前、「『早期退職して、何するの?』と訊かれたら」という記事を投稿したことがあります。
「早期退職の本当の理由や目的はともかくとして、周囲の人たちに早期退職を告知する際には、こんな言い方とかがよろしいのでは?」的な内容だったのですが、無事にリタイア生活に突入して数ヶ月を過ぎるあたりから、ちょっとしたはずみで「あれ、退職してこういうことをするんだっけ? これでいいんだっけ?」などと、自分を振り返りたくなることがあるようです。(私にも少なからずあります)
そういう際の「振り返り」は、おおよそ生産的な思考プロセスをたどることが少ないので、なるべく深く考え込まず、短時間で終了させてしまう方が精神衛生上よろしいかと思います。
今回は自分の経験もふまえて、早期退職後に陥りがちな「振り返りパターン」別に、対策を考えてみます。
パターン1:次の仕事が決まらない
これは、転職目的で前職を辞めた場合に起きがちなパターンだと思います。
特に、「50歳」を過ぎてからの転職活動となると、「やりたい仕事なのに採用されない」とか「技能的にやれない仕事の求人しかない」といったケースが多くなり、「無職状態の長期化」につい焦りを感じてしまう人も多いのではないでしょうか。
私の場合、雇用保険手当(いわゆる失業保険)の受給手続きも兼ねて、何度かハローワークに通いましたが、4週間おきに通うたびに、受給の認定手続きをする人の数が減っていったことを今でも覚えています。
例えば、年度末(3月末日)をもって退職し、「4月初旬」に受給申請手続きのためにハローワークを訪れた「同時多発的な失業仲間」も、時間とともに新しい仕事を得ていくわけです。
それはつまり、受給認定手続きに通う人数が回を追うごとに減っていくということですから、「本気で次の仕事を探しているのに、なかなか再就職が決まらない」人にとってはかなりのプレッシャーになるように思います。
であれば、いっそのこと「手当はもらえなくなるが、プレッシャーを感じる認定手続きの窓口には立ち寄らず、求職相談窓口にだけ通って職探しに集中する」のも一案かもしれません。
「もらえるものは、もらいたい」のが人情ではありますが、かといってそのお金をもらう度に「あぁ、今月もまた、手続き人数が減った。また自分は残ってしまった。この先オレはどうなるんだろう…」と不安に駆られてしまうぐらいだったら、むしろ認定手続きをスルーしてしまったほうが幸せになれる人もいるんじゃないかと思う次第です。
パターン2:次に就いた仕事に不満がある
「せっかく見つかった転職先だが、自分には荷が重く(あるいは業務自体がつまらないなど)、イメージしていた仕事ではなかった」というのがこのケースですが、再就職できないパターン1の人に比べたら贅沢な悩みとも言えます。
「自分がもっとステップアップするために、また違う仕事を探そう」と思えるのであればまだポジティブな感じがしますが、「こんなことなら、前職を辞めなければよかった」などと後ろを振り返ってしまう人は、かなりヤバイ状態になっているのかもしれません。
「イヤで辞めた前の会社にも、こんないいところがあったし」などと過去を比較するヒマがあるのであれば、すぐにでも「新たな職探し」に移ったほうがいいと思います。
パターン3:独立(開業)したが、仕事が来ない
「組織」とか「大企業の看板」を捨て、全く新しい「自分だけしか知らない看板」を掲げて独立するのですから、そう簡単に仕事をいただけるハズはありません。
私の体験でもそうですが、退職間際に前職の同僚が掛けてくれる「仕事発注するよ」とか「開業したら真っ先に店に行くよ」などという言葉は、ほぼ全て社交辞令ですから、本気にしないほうが賢明です。
仮に、それらのエールを真に受けて事業計画を建てたのだとすれば、ぶっちゃけ軽率なリタイアだとしか思えません。
同じように、「退職時に仕事をくれると言ってくれた前職関連の知り合い(だけ)を頼って何度も売込みセールスをかける」ぐらいなら、全くしがらみのない新しいお客さんを開拓するほうが生産的だと思います。
もちろん新規開拓は大変ですが、そのぶん後々のプラスになるのではないかと考えます。
それでも事業が好転しないのであれば、再度「誰かに雇われる」のもありだと思いますし、「独立開業の撤回」自体、決してみっともないことでも何でもないと思うのですが、いかがでしょうか。
パターン4:家業を継いだが、想像以上に大変
これもパターン3に近いですが、「見るとやるとでは大違い」の典型みたいな話だと思います。
しかも、「継いだ当初は家族・親族が喜んでくれた手前もあり、今さら『やってみたけど自分には無理』とは言い出しづらい」という、身内特有の事情が付随しがちですので、軌道修正がなかなか難しいパターンだと思います。
まぁ、親兄弟や親戚との関係性は人それぞれですから、自分の事情に合わせて、
「意地でも継ぎ切る」
「親とケンカしてでも手を引く」
「素直に泣いて謝る」
など、いろんな乗り切り方があると思います。
中には、
「自分だけでなく、年老いた親にとっても大変な仕事なので、いったん親孝行を装って継いだあとで、少しずつ親を納得させながら(丸め込みながら)最終的には自分の代で廃業に持ち込む」
という高等戦術を駆使できる人もいらっしゃるかもしれません。(一歩間違えば、二度と敷居をまたがせてもらえないリスクもありますが)
パターン5:のんびりすることに飽きてきた
これは、超贅沢なパターンで、対策など必要ないでしょう。
早期リタイア後をこんなふうに振り返る人は、おそらく「のんびりすることに飽きた」のではなく、実は「有り余る時間に対して不安を感じ始めている」だけなんじゃないかと思います。
のんびりする一方で、それでも食っていくのに困らないのであれば、ぜひボランティアでも始めてみてはいかがでしょうか。
(こういうタイプの方は、何らかの形で社会との接点を作っておかないと、どんどんボケていってしまうような気がします。あくまで妄想ですが)
パターン6:勢いでリタイアしてみたものの、何をするのかがまだ見つからない
40歳とか50歳とかになってもまだ「自分探し」を続けている人にありがちなパターンだと思います。
「早期退職して蕎麦を打つ」というような明確な目標がある人なら、たぶんこのパターンには陥らないでしょうし、万が一「蕎麦屋が失敗」しても、実際に行動を起こしたことがある人ならば、すぐに「次の目標」も見つけられるんじゃないでしょうか。
「何をするのかがまだ見つからない」というのはおそらく、「あれこれ考え、思い悩み、いまだに実際の行動に移せていない人」なんだと思います。
まずは、大型書店の「ホビー雑誌コーナー」に出向き、いろんな最新号を手に取ってみましょう。
少なくとも「雑誌愛好家」ぐらいにはなれると思います。
パターン7:リタイア後の生活が想像以上に充実している
「決して忙しいわけでもないが、ヒマでもない」
「贅沢は出来ないが、毎日ひもじい思いをすることもない」
「時間はたっぷりあるが、なぜか退屈だとは感じない」
という、私が理想とするパターンです。
ぜひこうありたいものですが、自分がどこまで実践できているかは、微妙なところです。
最後に、自分への戒めとして記しておきますが、まずは早期退職したことをいつまでもあれこれ振り返ったり、思い悩んだりしないようにしたいと思いますし、仮にそういう思いに駆られた場合でも、サッサと切り上げられる術を身に付けたいと思います。
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