退職後も続く「家族からの詮索」

Family/家族
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前回の「退職前の家族説得」の中で、妹→兄→親というふうに段階を踏んで説明していこうと動いていたら、

第2段階の「兄を交えた3兄妹会談」の席で、先行して伝えておいた妹が「もう親に喋っちゃった」と言い出したのです。

というエピソードをご紹介しました。

 

 

兄は学校を出てからずっと自営業に携わっており、両親は既に自営業をリタイアしていますが、妹は現役で会社員として働いています。

つまり、家族の中で「私同様、勤め人としての経験」を持っているのは妹だけでありまして、その意味で彼女は「自営業者では体験できないサラリーマン特有の喜怒哀楽」を共有できる(はずの)唯一の存在でもあるわけです。

 

ところがこの妹、前述のように「口が比較的軽いタイプ」なだけでなく、どちらかというと詮索好きで、おまけに、時と場所をわきまえずにズケズケとものを言う傾向がありまして、これまでも帰省して会う際に「今この人員構成の中でその話をぶち込んでくるか、普通?」と驚愕することが少なからずありました。

まぁ、頭が悪いというよりは、空気を敢えて読まない、あるいは自分も含め「心のヒダにこびり付いたヒリヒリするような話でも、家族であれば共有したっていいんじゃない?」とピュアに考えているだけなのかもしれませんが、彼女なりに「家族内コミュニケーションの活性化」を目論んだ上で行動しているような気もしますので、私はなるべく大目に見るようにしてきました。

 

そのように「いちいち目くじらを立てない余裕あるオトナの姿勢」で臨んでいるうちに、こちら側も徐々に「ホホ〜、こういう時に妹はそういう興味反応を示すんだ〜。面白いねぇ。味わい深いねぇ。一体どういう心理状況なんだろうねぇ」と、あたかも動物実験の観察をしているような気分になってきたりもします。

 

 

たとえば、私の帰省にあわせ家族一同が会して晩飯を食っていた先日のことです。

その時点で、私の早期リタイア後の帰省はある程度の回数を重ねていたので、もはや「早期リタイア」にまつわる話題で盛り上がることも減っているのですが、そんな中、妹は唐突にこんなことを訊いてきました。

 

「やっぱりさ、兄貴(私のことです)が会社を辞めたのはさ、派閥抗争に負けたってことなの?」

 

どうです、この突飛ぶり。

 

全く事実に反するだけでなく、仮に事実だとしても「実はそうなんだ…。大変だった…。ツラかった…」などと言えるワケがありません。しかも、心配しながらもやっと納得した親もいる前で、です。

「何をトチ狂ったことを言い出すんだ、こいつは」感でお腹がいっぱいになった次第です。

 

でも、こちらも「動物実験の観察者」としての興味も湧いてきましたので、しばらく妹の質問に付き合ってみることにしました。

 

「え? 派閥抗争? オレからそんな話、これまでにしたっけ?」

「ううん、してないよ。でも、もしかしたらそうかな? と思って」

「なんでそう思ったの?」

「だって、派閥とかあるんじゃないの?」

「1,000人も2,000人もいる会社じゃないから、そんなハッキリした派閥なんてなかったと思うよ。そりゃ、意見の合う人・合わない人とかは当然いたけどさ」

「でしょ?」

「いや、『でしょ?』じゃなくてさ。 意見の合う・合わないがあったとして、だからってどうしてオレがその『抗争』に巻き込まれて、しかも『負けた』ってことになるわけ? なんでそう思ったの?」

「だって、さっさと会社辞めたから

「なんで辞めようと思ったかとか、辞めてから何をするかとか、前にも話したよね?」

「聞いたけどさ」

「派閥抗争に負けたから、とか言ったっけ?」

「言ってないけど。 じゃぁ、なんか大っきな失敗したとか?

「そのせいで、会社に居づらくなったみたいなことを思ってるわけ?」

「そう」

「ふ〜ん。それで言えばさ、退職時にさ、会社の人達が3ケタ規模で集まってくれて、社長・役員クラスも顔を出してくれるぐらいの送別会を開いてもらったりしたんだけど、仕事でデカイ失敗をしたり派閥抗争に負けた人に対して、そんな会を開いてくれたりしないよね、ふつう。 この送別会の話、しなかったっけ?」

「聞いたかも」

「だよね? したよね?」

「でも、同じ派閥の人達だけで送別会したってこともあるんじゃないの?」

「じゃ、負けた派閥が開いた会に、社長が来たってことは、社長も負け組派閥の一員ってふうに思うわけ? 負け組派閥の中の1人が社長やってるって考えてんの?」

「社長は、勝ち組側の派閥の人だったとしても、送別会ぐらいだったら来るんじゃない?」

「なるほど!」

「でしょ? それに、兄貴がいた派閥全体が負けたんじゃなくて、派閥の中の争いで兄貴だけが負けたってこともあるじゃん。 そうだとしたら、いなくなる兄貴の送別会に社長とかが顔出すぐらい、全然あるんじゃない? だって、兄貴はそれなりに偉かったんでしょ?」

「なるほどね〜!!」

 

と、こんな感じで派閥抗争にまつわる与太話は収束していった(収束させた)のですが、なんともシュールな時間を過ごせました。

 

 

改めて申し上げますが、仮に、万万が一、「失脚に起因する退職」が事実だったとしても、それって久々の家族メシの場でする話じゃないですよね、ふつう。w

 

この一件で、私はむしろ「妹が自分の勤務先のドロドロした勢力環境を一般的なものとして受けとめていて、それを前提にしながら投げかけてきた質問だったとしたら、そんな会社で働き続けて大丈夫か、妹?」と不安になったりもしました。

もしくは、義弟(=妹の旦那)の勤務先のグチャグチャした実情を引き合いにした上での質問だったとすれば、今度は旦那のことが心配になってきたりもしますし。

 

妹夫婦の勤め先の実態など知る由もありませんが、仮にどちらかの勤め先がドロドロ・グチャグチャなのだとしたら、「兄貴のことを詮索する前に、まず自分たちのことを心配しなさい」的な話になってきますが、私はそれを親の前でほじくり返したりはしないつもりです。

ということで、安心しなさい、妹。

 

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