「老後資金2,000万円問題」に思うこと。【(1)厚生労働省vs金融庁】

  • 「国の家計調査によると、高齢夫婦無職世帯の実収入は、だいたい月額20万9000円で、そのほとんどが年金収入
  • 「同じく、実支出が月額26万4000円
  • 差(不足分)は5.5万円
  • 「65歳からさらに30年生きるとしたら、不足額の総額は単純計算で2,000万円になる」
  • 65歳の時に、2,000万円ぐらいの資産形成ができていないとね」
  • 預貯金以外の金融サービスにもっと目を向けてもらうといいかも」

という金融庁のレポートが波紋を広げています。

 

金融庁のレポート内より抜粋。グラフ上段の「収入」に対して、下段の「支出」が5.5万円多いというグラフです。

 

実際に読むと、他にいろいろと参考になることも書いてあるんですが、
「政府が唐突に『年金だけだと足りなくなるんだから自助努力しろ、自己責任投資しろ。バクチしろ』と国民を突き放した」
と受け止めた人々からは、いたく評判がよろしくないようです。

 

話題となっているこの「金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書 『高齢社会における資産形成・管理』」というレポートは、6月3日に公開されましたが、実はそれに先立つ5月22日に「報告書(案)」が公開されています。

つまり、

5月22日、「報告書(案)」公開・報道。
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その中に「30年で約2000万円が必要」「公的年金だけでは生活水準が低下」「自助の充実」といった記述が。
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「政府は責任を放棄するのか」などの批判が殺到
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年金減額の部分の表現を一部修正し、6月3日に正式版を発表。
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しかし「30年で約2000万円が必要」の表現は残ったため、批判は収まらず、野党も参院選の争点とすべく攻撃開始。
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報告書作成を依頼する立場にあるはずの麻生財務大臣が、「(国民に)誤解と不安」を与えるとして、レポートを受理しないと発言。さらに炎上。
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マスコミはさらに批判。と同時に、年金のしくみと「おトクな受け取り方」などの紹介も。

 

こういう流れをたどって今に至っているワケです。

 

私も実は5月22日の「報告書案」報道の段階で腹を立てた一人です。

それは、公的年金を所管する厚生労働省2004年に「100年安心」とか言いながら年金制度改革を実施したのに、金融業界を指導監督する金融庁が「給付水準が今までと同等のものであると期待することは難しい」などと横から口をはさんでまでiDeCoだのNISAだの投資信託に我田引水しようとする根性が気に入らないと感じたからです。

同じ政府の一員でありながら、
あっちの役所の政策は信用できないから、うちが所管している商品を利用したほうがいいよ
とアピールしているかのようで、そのやり口に品のなさを感じてしまったのでした。省庁が違うとはいえ、あまりにもバカバカしいではありませんか。

 

まぁしかし、冷静になれば「金融庁」の言っていることは、おそらく全部本当のことだと、多くの国民は薄々感づいているワケですから、私の怒りの本質は、「金融庁に観測気球を上げさせるのではなく、『100年安心』と言い続けてきた厚生労働省から真実を白状させろ
というところにあったのかもしれません。

 

次回に続きます。