厚生労働省はこれまで「新型コロナウィルス感染症の国内発生動向」という資料を毎日発表し、その中で感染者数や死亡者数を年代別に公表してきました。
ところが5月9日を境に、発表の形式が変わってしまったようです。
具体的に「5月8日」と「5月9日」で比べてみます。
まずは「5月8日」から。
「ホーム>報道・広報>報道発表資料 2020年5月」のページから、「新型コロナウイルス感染症の現在の状況と厚生労働省の対応について(令和2年5月8日版)」を見てみると、これまでどおりページの後半に、
(参考資料)
【国内の患者発生に関する参考資料】
という見出しがあり、そこに「新型コロナウイルス感染症の国内発生動向(2020年5月8日掲載分)」というリンクが張られています。
で、このリンクをクリックすると「年代別(年齢階級別)の陽性者数・重症者数・死亡数(データは前日の18時時点)」を含むグラフPDFにアクセスすることができます。
さて、これが「5月9日」以降にどうなったか。
先ほど同様、「ホーム>報道・広報>報道発表資料 2020年5月」のページから、「新型コロナウイルス感染症の現在の状況と厚生労働省の対応について(令和2年5月9日版)」のページに飛びます。
すると、「5月8日」までと同様、ページの後半に、
(参考資料)
【国内の患者発生に関する参考資料】
という見出しはあるのですが、その下に書かれている資料名(リンク名)が「新型コロナウイルスの発生状況(【国内事例】及び【上陸前事例】):5月9日」というふうに変更されるようになりました。
で、このリンクを開くとそれなりのデータ(前日の24時時点)が出てはくるのですが、「年代別(年齢階級別)の陽性者数・重症者数・死亡数」は含まれない状態で掲載されるなど、情報量が激減してしまったようです。
数日おきにチェックしていた私としては大変気になったので、厚労省サイト内をいろいろ探訪してみているのですが、いまだに年代別データの再発見には至っていません。
単なる「掲載場所の変更」であることを期待しつつ、行方をご存知の方がいらっしゃったらお教えいただければ幸いです。
ということで、5月8日に掲載された「前日(7日)18時時点」の(もしかしたら最後の)年代別データをグラフ化してみました。(比較対象は、このグラフを最初に作った4月12日データです)
年代別の陽性者数(4月12日 vs 5月7日)
まずは陽性者数から。↓
この25日間で全体での陽性者(感染者)数は、2倍以上になってますが、注目すべきは、やはり「20代以上は満遍なく感染している」という点かと。
年代別の重症者数(4月12日 vs 5月7日)
続いて重症者数です。↓
全体の重症者数は、この期間で2.1倍となりました。
60代・70代での増加が顕著です。
年代別の死亡数(4月12日 vs 5月7日)
そして死亡数です。↓
この1ヶ月弱のあいだに、全体ではほぼ4倍、80代以上では5倍近く増加してしまいました。
年代別の「重症率」(4月12日 vs 5月7日)
次は、新型コロナに感染した(陽性になった)人のうち、どのくらいの人が重症になっているかという割合を、年代別に見てみます。↓
全体での重症率は1.9%で横ばいですが、80代以上では半減しています。
ただし次の“死亡率”を見ると、これを単純には喜べそうもないことが分かってきます。
年代別の「死亡率」(4月12日 vs 5月7日)
ということで死亡率です。↓
全体で見ても死亡率は1.2ポイント上昇していますが、それを牽引しているのは、やはり高齢者です。
80代以上においては「感染すると7人に1人は死んでしまう」状況です。重症を通り越して亡くなってしまう方々が少なくないんでしょうね…。
余談1
現在防衛大臣である河野太郎衆議院議員は5月9日の公式ブログ上で、「厚労省が5月7日に発表した5月6日18時時点の資料」をもとに「新型コロナウィルスを年齢別」に掲載されています。
現役閣僚によるこういう情報発信は大変有意義だと思いますが、河野大臣は年代別のデータ公表が「(もしかすると)この翌日で打ち止めになった」ことをご存知なのかどうかが気になります。
厚労省の公表基準変更に対する異議申し立ての意味も込めて、あえてこういう記事を投稿されたのだとしたら敬意を表したいと思いますが、実際どうなんでしょうか。
(繰り返しますが、公表場所が変わっただけで今も年代別データにアクセスできるのであれば、後日訂正したいと思いますので、教えてエラい人)
余談2
本日、「新型コロナウィルスに感染していた現役の大相撲力士が多臓器不全により都内の病院で亡くなった」というニュースが流れました。
28歳だったそうです。
日本相撲協会からのお知らせです。https://t.co/3ma0DJML8D
— 日本相撲協会公式(九州場所まで あと12日!) (@sumokyokai) May 13, 2020
5月8日以降の「年代別(年齢階級別)データ」が見つからない(公表されなくなった?)ので定かではありませんが、5月7日までのデータだけで判断すれば、彼は「日本における20代初の死亡者」ということになろうかと思われます。
ご冥福をお祈りするとともに、改めて年齢階級別データの公表復活(or ありかの再告知)を望みたいところです。
とにもかくにも、合掌。
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