昨日の続きです。
- 電気・ガス・水道を使えば、使った分だけ料金を払う必要がある。(使ったら払う)
- 料金を払わなければ、それらの供給はストップされる。(払わなければ止まる)
- なのに、NHKの受信料においては、
- 「見なくても払う」
- 「払わなくても止まらない」
- 「つまり、見ても見なくても、見られる環境さえあれば払わなければいけない」」
- という特殊な契約関係が形成されている。
- NHKを見ない人(見たくない人)から受信料を取るな。
- 受信料を払わない人にはNHKが見られないようにスクランブルをかけろ。
- NHKの受信においても「契約の自由」を保障せよ。
NHKから国民を守る党の政策をギュッと圧縮すると、こういうことになるんだと思います。
まぁ、理屈としては分からなくもありませんが、私は「商業主義に依存しない『公共放送』は、あったほうがいいと思う。ただしその規模や『公共放送の定義』の見直しは随時必要」という考えなので、N国さんの政策に賛同する気には、なかなかなれません。
ということで、そんなN国さんからNHKを守るべく(笑)、公共放送(NHK)に対する応援をしてみます。
(とはいえ、「ここはこうして欲しい」という注文もあるので、それも後で触れます)
NHKのいいところ
まずは、いいほうから。
全国一斉に「地震・災害報道」をしてくれる。
民放でも、さらにはネットのポータルサイトからでもこれらの災害情報は得られますが、質も量もNHKの報道は他を圧倒していると思います。
特に緊急地震速報については、「どこで緊急地震速報が出ても全国放送するNHK」に対して、民放だと「当該エリアでしか速報を流さない」ことが常態化しています。
「日本のどこで大地震が起きようとも、全国に伝えるぞ。だって、被災地域の関係者は全国にいるに違いないのだから。同じ日本なんだから」というNHKの心意気が、私は気に入っています。(←ホントにこういう心意気があるのかどうかは未確認ですが。w)
情報の地域格差を最小化しようと努めている(ように見える)。
「少子高齢化が進んでいる」「マーケット人口が減っている」「経済的にパッとしない」など、商業ベースの視点で判断すると“おいしくない地域”があるのは事実ですが、NHKは「情報・コンテンツについては地域格差を作らない」ことにとりわけ熱心なように感じます。
「とにかく日本国内で平等・公平に情報を伝える」ということですから、経済の論理で動く民放にはなかなかできないことだと思います。
海外にいても見ることができる。
世界中でリアルタイムで見られる日本のテレビ局といったら、NHKぐらいなものですから、在外邦人へはもちろん、日本に興味を持つ外国人への情報提供という意味でも貴重な存在ではないかと。
なんだかんだ言って見たい番組が多い。
制作費をかけているという面もあるんでしょうが、ドキュメンタリーや音楽番組を中心に楽しめる番組が多いように感じます。(個人の感想です)
結果、膨大な映像記録が蓄積されている。
アーカイブ映像の量は、他の民放局を圧倒していると思います。
放送技術の研究開発にも熱心。
ここについては、NHKの技研(放送技術研究所)の果たす役割が大きく、日本の放送産業全体に多大な貢献をしているんじゃないでしょうか。
特定の政治勢力・特定の資本に影響されない。(理屈としては)
税金や広告料収入で運営されていないということは、「受信料を払ってくれている一般国民」以外に気を使わなければいけない相手はいない、ということでもあります。
その意味で考えると、
- 受信契約してくれた人にだけ見せればよい。
- それ以外はスクランブルをかけろ。(災害報道時にだけスクランブルをはずせばいい)
というふうにしてしまうと、衆人環視の対象でなくなり、結果としてNHKが「特定の国民だけのもの」になりそうな気がします。
NHKの悪いところ・変えてほしいところ
続いて、いくつかダメ出しも。
わずかだが、税金が投入されている。
こちらのページによると、「国際放送」「選挙放送(おそらく政見放送)」関係の交付金(つまりは税金)が入っているそうです。
ただしその金額はといえば、平成30年度の決算資料によると、事業収入7,332億円のうち受信料が7,122億円(全体の97%)なのに対して、交付金はわずか35億円(全体の0.5%)と、微々たる金額でしかありません。
であれば、政権関係者などから「税金を投入してやってるんだぞ」とか言われずに済むように、全体の0.5%ぐらいしかない交付金など、いっそのこと入ってこないようにしたほうがいいんじゃないかと思います。
手続き的にそれが可能かどうかは分かりませんが、そうでなくても、
- NHKの予算は国会の承認が必要。
- 経営基本方針を決定し、さらに執行部の監督も行なう「経営委員会」の人選にも、国会の同意が必要。
というように、政治家からの圧力を受けそうな面がありますので、せめて「税金は1円ももらってない」と言えるようになったほうがよろしいのではないでしょうか。
(建前としては国会議員は国民の代表なんですけど、国会におけるNHKの予算審議の報道を見ていると、国会議員が圧力団体にしか見えない場面とかもありますから…)
「ネット同時配信と受信料」の説明が不十分。
さる5月29日、NHKのテレビ番組をインターネットに24時間同時配信することを認める改正放送法が成立しました。
これによって、テレビ放送と同じタイミングで、スマホなどでもNHKの番組を見られるようになるわけです。
このニュースが報じられて以降、世間では「じゃぁ、スマホを持っているだけで、また受信料がかかってしまうのか?」という反応が起きているようです。
これについては、NHKのこちらのページに回答が載っています。曰く、
NHKは、この常時同時配信を放送の補完と位置づけていて、受信契約を結んでいる世帯は、追加の負担なく利用できるサービスにする考えです。
とのこと。
つまり、「すでに受信料を払っている世帯なら、受信料がさらに加算されることはなく、便利になるだけ」ということです。
この辺は、もっとPRしたほうがいいんじゃないでしょうか。
(「テレビを持っていないけれどスマホを持っている人」からも受信料を徴収するのかどうかも気になります)
「NHKオンデマンド」の利用料は受信料に含めてほしい。
過去の番組をネット経由で視聴できる「NHKオンデマンド」ですが、これを利用するための費用は「受信料とは別」とされています。
受信料で作られた番組なのですから、受信契約世帯ならば無料で見られるようにしてほしいというのが正直なところです。
これについては、NHKがお手本としている(らしい)イギリスの公共放送、BBCの事例が参考になります。
つまりイギリスでは、TV Licenceと呼ばれる受信料(年間で154.5ポンド、約2万円)を支払えば、(過去の)番組をネット経由で視聴する「BBC iPlayer」が無料で利用できるのです。
このしくみは、非常にシンプルで分かりやすいと思うので、ネット同時配信だけでなく過去の番組についてもぜひ検討してほしいものです。
まとめ
他にもまだ要望はありますが、N国さんの政策に関連した分野でいけば、だいたいこんなあたりに集約されるかと思います。
今後のNHKの発展をお祈りしております。
コメント