宮沢賢治ツアー報告の4回目は、鉛(なまり)温泉にある唯一の一軒宿、藤三旅館(ふじさんりょかん)です。
場所はこちら。
この旅館には深さ1.25メートルの(自噴としては日本一深いらしい)岩風呂があり、立って浸かるスタイルが名物になっているんだそうです。
そして、賢治先生は生前、旅館を経営する藤井家と縁戚関係だったこともあり、よくここを訪れたそうですし、童話『なめとこ山の熊』の中にも温泉名が登場していたりもします。(←いずれも当旅館の公式サイトからの情報)
そういうわけで、賢治先生が愛した温泉旅館を体験することも彼の作品世界を理解する上では重要なプロセスになるはずですから、あくまで研究・学習目的で訪問してきました。
主眼は研究です。物見遊山・休養のためではありません。
「白猿の湯」は、いかにも秘湯らしく、今も混浴が基本です。
しかも時間帯によっては「女性専用」になったりもします。
ただし「男性専用タイム」はありませんから、男性は常に混浴になるリスク(期待?)を背負って入浴することになるのです。
で、「女性専用」になるまであと30分ほどしかなかったので、少々焦りながら入室することにしました。
<ここから先のご注意とおことわり>
引き戸には「浴室内はすべて撮影禁止」の張り紙があります。
と同時に「どうしても撮影したい人は、フロントまで申し出るように」との一文も添えられていました。
とは言え、他の入浴客がいたら撮影を躊躇してしまうのが人情ですし、仮に自分が先に入浴していたとしたら、それなりの配慮をしてもらったとしてもやはり「撮られたくない」というのが正直なところです。
そんなこんなで引き戸を開けると、なんと、浴室内には誰もいないではありませんか。(曜日や時間帯が幸いしたのかも)
そこで私は意を決して帳場(フロント)に戻り、「今は混浴タイムですけど、自分以外、誰もいないんで、もしかしたら浴室内の写真を撮ってもいいですかね…?」と尋ねたところ、スタッフさんから「誰もいないのでしたら、撮っても構いません。ただし誰か入って来たら、すぐにやめて下さい」と、ありがたくも毅然としたお返事をもらいました。
こんな経緯で何枚か撮影させていただいた写真をご紹介します。
★秘湯文化維持のためにも、先客の有無に関わらず無断撮影は絶対にやめましょう。
ここは「当初は浅い普通の湯船だった。年月とともに掘り進めていった結果、こうなった」んだそうです。
なぜ「掘り進める」必要があったのかは定かではありませんが、「足下から湧き出すお湯の確保を図るうちに、『地上から半地下へ。やがて地下へ。そして湯船自体も掘り進めて、結局現在の深さ1.25メートルの湯船へ』となっていった」と紹介するテレビ番組を見たような記憶があります。ちょっとおぼろげですが。
(だとしたら、将来、この「白猿の湯」はますます深くなっていくのかもしれません。それはそれで楽しみでもあります)
で、「女性専用タイムの開始」が迫っていたため、私はバタバタと服を着て退室しましたが、せっかくの温泉をもう少し楽しみたかったので、引き続き男女別の「桂の湯」へ行ってみました。
こちらも男湯には誰もいらっしゃらなかったので、数枚写真を撮らせてもらった次第です。
(結局、2つのお風呂とも、私が入浴している間にやってくるお客さんは1人もいらっしゃいませんでした。ある意味、奇跡かも)
ということで、このユニークな「鉛温泉 藤三旅館」の感想をまとめると、
- 秘湯に来るなら、できれば空いている平日がおススメ。
- 賢治先生が通っていた当時、「白猿の湯」が一体どのくらいの深さだったのかが気になる。
- 賢治先生と一緒に温泉に浸かりながら、創作の秘訣とかを直接聞いてみたかった。
- 私がもっと歳をとったら、湯治部に泊まって共同炊事場でデタラメな料理を自炊しながら1週間ぐらいのんびりしたい。
- その頃には「白猿の湯」がさらに深くなっているかもしれないので、立ち泳ぎの練習をしておいたほうがいいかも。
こんなところです。
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