IDC大塚家具の思い出。

創業者の父親と、そのあとを継いだ娘骨肉の争いが話題となったIDC大塚家具さん。

昨日(10月28日)、父親に代わり同社を率いてきた娘の久美子社長が辞任することが明らかになったそうです。

同社においては当初、“初来店時、顧客に会員登録をしてもらい、それぞれの顧客に担当社員が付き添い一緒に売り場を回って商品説明をした上で、高級家具を値引販売する”という手法がとられていました。

それを娘さんが「気楽に・一人でも・カジュアルに買い物ができる店」に方針転換し、父娘の対立が激化 → 久美子社長が父親会長を追い出す形に → 父親は新たな家具販売店「匠大塚」を創業、という経緯をたどり、ついにIDC大塚家具の久美子社長が業績不振の責任をとる形で辞任することになったということです。

 

個人的な体験を言えば、私は1998年に一度だけIDC大塚家具の有明本社ショールームで買い物をさせていただいたことがあります。

目的はただ一つ。「人間工学に基づいたデザインで長時間座っていても疲れにくく、画期的なデザインが評価されてニューヨーク近代美術館のコレクションに選定された、高機能なワークチェア」であるアーロンチェアを、通常より安く買えるらしいという噂を聞きつけたからです。

ちなみに同社の有明本社は異様なほどだだっ広く、当時は高級な家具がリビング・ベッド・ダイニングなどのカテゴリごとに数多く陳列されており、そこを担当の社員さんと一緒に回りながら品定めするというのが定番のスタイルでした。

とはいえ、当時の私はマイホームを新築したわけでもなく、新婚家庭を築き始めたわけでもなく、唯一「アーロンチェアが買いたい」一心で訪問しているのであって、担当社員さんから各商品カテゴリごとの説明を受けるつもりはさらさらありませんでした。

 

で、入店して会員登録手続きを済ませ、担当社員さんと引き合わされてから。↓

担当社員さん:「本日はどんな商品をお探しですか?」

私:「えーと、アーロンチェアのフル装備のBサイズを買いたいんです」

社員さん:「あー、あれはいい椅子ですよねぇ。デザイン性だけでなく、腰にも優しく素晴らしい座り心地だと思いますよ! となれば、あとはワーキングデスクもですね!」

私:「あ、いや、アーロンチェアだけです」

社:「ベッドとか、リビング家具とかは?」

私:「あ、本当にアーロンチェアの実物を見て、値段に納得がいけば買わせていただきたいだけでして。おいくらになりますか?」

社:「さようですか。かしこまりました…。しかし◯◯様。やはりせっかく有明までわざわざお越しいただいたのですから、まずはぜひアーロンチェアの実物を体験していただいたほうがよろしいと思いますので、展示場所まで参りましょう」

私:「まぁそうですよね…。展示場所はどの辺ですか?」

社:「えっ、あの、あぁなるほど…。もしあれでしたら、展示場所をお教えしてお客様お一人で行かれたほうがよろしいでしょうか? そのほうが落ち着いてアーロンチェアをお試しいただけるようであれば、後ほどこちらの商談サロンスペースで再びお目にかかる形でもよろしいですよ。たとえば、1時間後にこちらにお戻りいただくのはいかがですか?

私:「あ、それいいですね。じゃぁ、15分後にお願いします

社:「かしこまりました…。では気をつけて行ってらっしゃいませ…」

で、さっさと実物の展示場所に向かい、触ったり座ったりしながら、10分ぐらいで商談サロンに戻り、担当社員さんとお話ししたところ、定価の20%引きで買えることが判明し、購入即決 → 支払い → 配送手続きまでを済ませた次第です。

当時のパンフレットより。これがアーロンチェアです。

 

グッドデザイン賞も受賞。メカニック過ぎず、シンプル過ぎず、まさに絶妙な機能美だと思います。

 

当時のフル装備モデルの定価は税別で「149,000円」でした。

 

パンフレットに挟まれていた小さな封筒。

 

中から、有明本社ショールームで応対してくださった担当社員さんの名刺が出てきました。水•木がお休みだそうです。基本、やさしい人だったと思います。

 

さらに、購入伝票も発掘。収入印紙まで貼ってあります。

 

カーボン複写が薄くなってしまい、肝心の品名や型番などが読み取れません。

 

IDC大塚家具の思い出。

定価が149,000円。 → 20%オフで119,200円に。 → 当時5%だった消費税が5,960円。 → しめて125,160円となりました。

 

 

私がIDC大塚家具さんを利用したのは、後にも先にもこの1回だけですが、まぁ先方さんにとっても、私は本来想定している顧客層ではなかったのだと思います。

その後、久美子社長は「会員登録や密着型の接客なしで気軽に来店できるようにする」というカジュアル路線へシフトするのですが、実は当時から「会員登録はともかく、密着型の接客をお断りすることも可能だった」という事実だけは記しておきたいと思います。

さらに、久美子社長時代の“カジュアルな品揃え”の実態は存じ上げませんが、1998年当時の有明本社ショールームで(アーロンチェアの現物チェックの往復中に)遭遇した大量の高級家具の中に、私が「あ、いいな。欲しいな」と思える商品は全くなかったことも付け加えておきます。(個人の感想です)

 

余談
我が家のアーロンチェアは、購入してからもう22年目を迎えていますが、今も不具合などなく、現役で私のデスクワークと体重を支え続けてくれています。
それにしても、2020年現在のフル装備モデル(リマスタードモデル)だと税込定価で20万円以上するんですね…。恐れ入りました。

 

 

【関連リンク】

IDC大塚家具のオフィシャルサイト。↓
(IDCって「International Design Center」の頭文字をとったものだそうです。知らなかった…)

 

Herman Miller社(ハーマンミラー社)の「Aeron Chair(アーロンチェア)」の商品ページ。↓