今朝、テレビ朝日『羽鳥慎一モーニングショー』を見ていたら、「日大アメフト部悪質タックル問題」を取り上げたパネルコーナーの中で、金曜レギュラーコメンテーターの長嶋一茂さんが、メインキャスターの羽鳥さんと、こんな会話をされていました。
(5月23日の「内田(前)監督・井上(前)コーチによる緊急記者会見」における司会進行役の強引な仕切りぶりを振り返りながら)
一茂「先週と同じコメントをしたいですね。 あ、いや、やめます」
羽鳥「やめましょうね」
一茂「この間、怒られたんで」
羽鳥「はい、やめましょう。 あの(会見における)司会者を指して、ある表現をしてしまったということで、非常に、一茂さんは怒られました」
一茂「はい。でも、他の局ではどんどん言ってます」
羽鳥「他の局でも、たぶん怒られると思います」
一茂さん独特のストレートな物言いに対して、羽鳥さんがまるで母親が子供を諭すかのように注意喚起する様子が大変微笑ましかったのですが、こんなやり取りを聞かされてしまっては、過去に一茂さんが「司会進行の立場で、あれだけ強烈な仕切りを見せた日大・広報職員」に対してどんな表現をしたのか、大変気になります。
そこで、パナソニックの全録レコーダー(←これまでの人生で買ってよかったモノTOP10に入ります)で先週(5月25日)の放送にさかのぼってみました。
この時点では、監督・コーチによる緊急会見からまだ2日しか経っていないこともあり、各コメンテーターはもちろん、普段は冷静な羽鳥さんですら批判的な論調で熱めに語っていたのが印象的でした。
例えば、今回の騒動によって「日大と間違えて日体大への非難が相次いでいる」ことを紹介しながら、羽鳥さんも「これはひどい」「これはいけません」とバッサリと断じていたほどです。
すると、この世間の動きがよほど腹に据えかねていたのでしょう、一茂さんは羽鳥さんとこんなやり取りを始めました。
一茂「非難はもちろん、ネットとかでしょ?」
羽鳥「直接電話とかでもいってます」
一茂「そういうアンポンタンな人たちもいるんですよ、ハッキリ言えば」
羽鳥「まぁ、ここの『アンポンタン発言』は許しましょう」
(玉川コメンテーター、失笑)
どうも「暴れる一茂くん vs たしなめる羽鳥さん」という役回りは、今日の放送に限った話ではないようです。
最初、この「アンポンタン」呼ばわりによって一茂さんが怒られたのかとも思いましたが、「あの司会者」を指した発言ではありませんから、これ以外に何かがあったハズです。
ということで、さらにリプレイを進めたら、ついに見つけてしまいました。
一茂さんはまず、記者会見全体について以下のように評していました。
「記者会見見て思ったのは、司会者の方と内田(前)監督、そして井上コーチのね、あのなんか、とてもピントがぼけた発言。
ピントがかなりずれてて、あれ、どっからああいうふうになんのかな? っていうのが、なんかまだ腑に落ちないところがボクはあるので、やっぱりますます真相究明してもらわないと。
いろんな情報が(もっと)出てこないと、『だから、あの人たちこんなピントぼけていたこと言っていたのか』ってならないですよね」
この「ピントがぼけてる」が、次の核心発言の呼び水になりました。
緊急会見の司会者が会見を途中で打ち切ろうとしたことについてのやり取りを再録してみます。
玉川「やっぱり、あの広報の方の対応。あれが実は日大のアメフト部だけの問題を(オール)日大の問題にしちゃったような気がしますね」
羽鳥「この方個人なのか、この方が日大の姿勢を表しているのか、それは分かりませんけれども、あんまりしっかり考えてないんだなっていうのが(垣間見えた)。 もう帰ろうよっていう感じでしたから」
一茂「事態の重大さがわかってなくて。 何となく記者会見やっておけば、ま、来ても来なくてもいいよ、みたいに。 1時間前に発表したわけでしょ? 記者会見」
羽鳥「そうですね。 ネットの中継(に対して)も『別に見てても見てなくてもいい』っていう」
一茂「本当にピントボケ老人ですよね。この方は。 内田(前)監督もピントボケ老人。 というふうに僕は思う」
(玉川コメンテーター、苦笑)
この「ピントボケ老人」という表現が、その後に怒られた原因となったのは確実でしょう。(それにしても、怒ったのは誰? やはり日大サイドからクレームがついたということでしょうか)
この表現は、「ピントがボケている」と「ボケ老人」がかかっていて、しかもそれを言いたいがために前段で前振りもされていたという、非常に高度なコメントだと思います。
一連の問題に対する一茂さんの怒りが実に的確に表現されていますし、私自身も一視聴者として「よくぞ言った」と、胸のすく思いで見ていました。
ただ、たしかに放送上適切な表現ではなさそうですから、誰かに怒られてしまったのでしょう。
これは、先週分と今日の放送を見た上での私の勝手な妄想ですが、番組全体として言いたいこと、あるいは羽鳥さん、もしくは玉川さんが本当は言いたいことを、一茂さんに代弁してもらっている(代弁させてる)ような気がします。
もちろん、一茂さんと他の出演者の論調が完璧に一致することなどあり得ません。
それに、一茂さんが鉄砲玉のようなとんでもない発言をしてしまい、まわりがハラハラすることだってあるのでしょう。(実際、一茂さんの発言によってスタッフが慌てているのが、出演者たちの視線の動きから察せられることがありますし)
それでも、
「こんなストレートなコメントは長嶋一茂しか言えない。長嶋一茂だから他の人よりも許容される。
本人も奥歯に物の挟まったようなコメントをすることを潔しとはしない。
仮にコメントが原因で降板になったとしても、コメンテーターだけが彼の仕事ではないので、その後の彼の生活に支障が出ることもない。
だからこそ、誰かに遠慮しながら、何かを守りながら発言する必要もない。
よって、多少の摩擦が生じやすいのは事実ながら、番組としては彼を守る」
こんな構図が出来上がっているんじゃないかなぁ、と、つい思ってしまいました。
そんな妄想はともかく、コンプライアンス全盛で無難なコメントばかりのテレビ界において、一茂さんのパワーある発言には、今後も要注目です。
(降板させられない程度で、これからもバシバシ発言していただきたいものです)
【余談】
今日のモーニングショーでは、ある神社のお守りに関するニュースも取り上げていました。
で、そのお守りに書かれている「氣」という漢字に関連して、一茂さんは以下のような趣旨のコメントをしておりました。
「以前は広く『氣』という漢字が使われていた。『气』の中の『米』は、エネルギーが四方八方に拡散していくことを表している」
「しかし戦後、GHQが武士道を衰退させるために『气』の中の『米』を『〆』に変えさせた。『〆』には『締める・閉じる』などの意味がある」
「よって、日本人なら本来使っていた『氣』を使ったほうがいいよ」
ちなみに、ネット上でも同様の説は広く流布しているようです。(たとえばこちら)
しかし、この説をにわかに信じていいのかどうか躊躇してしまいます。
正字である『氣』の略字を作るときに、なぜわざわざ「拡散イメージのある『米』」をやめて、それと真逆の「閉じるイメージの『〆』」を使おうと思ったのか?
ふつうなら略字であっても正字の意味を保てるような方向で考えるはずではないのか?
そこまで知り尽くした上で、GHQがわざわざ「『〆』を使え」と指示したということなのか?
漢字の略字体ごときにまで、GHQは口を出していたのか?
そもそも「気」という略字は以前からあったんじゃないのか? それとも本当にGHQが発明した略字なのか?
このあたりのことが、なかなか釈然としません。
ぜひモーニングショーで解明していただきたく。
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