さよなら、マサカズ様。【追悼 田村正和さん】

田村正和さんの訃報から1昼夜しか経っていないのに、メディアの興味関心はすっかり“逃げ恥婚”にスイッチしてしまい、コロナ禍の報道量まで激減してしまった昨日・今日ではあります。
(「コロナ関連ネタは所詮芸能ニュースに負ける」程度の扱いなのか、それとも「暗いニュースが多かったので、世間が明るい話題を渇望していた」のか、どっちなのかはよく分かりません。両方かもしれません)

以前(2000年を挟んだ前後数年ぐらい)、テレビ番組の感想を好き勝手に語り合うメーリングリスト(電子掲示板のはしりみたいなもの)に参加していた頃、田村正和さん関連の番組ばかりを取り上げるため、私は他メンバーからかなり煙たがられていたように記憶しています。

そんなわけで、当時書いた文章や記憶を辿りながら、田村さんの思い出などをしたためてみます。

心を動かされた名作ドラマの数々。

私が特に好きで見ていたのは、「夏に恋する女たち」「乾いて候」「うちの子にかぎって…」「パパはニュースキャスター」「パパとなっちゃん」「古畑任三郎シリーズ」などです。

今般の追悼報道であまり取り上げられないものを敢えてチョイスすると、私は「パパとなっちゃん」も傑作だったと思います。

「妻(五十嵐淳子さん)に先立たれてから、義母(妻の母、白川由美さん)と共に大事に育ててきた娘(小泉今日子さん)が、恋人(大江千里さん)と出会い、そして婚約し、主人公(田村さん)のもとを巣立っていく」というシンプルなストーリーなんですが、最大の見どころは最終回でありまして、「居眠りをしている(実は起きている)田村パパに、それとは知らずに“これまでの感謝と惜別の想い”を素直に伝える小泉なっちゃん。 → 寝たふりを続けつつ、背中越しに聞くパパは感無量 → 伝えきって部屋を立ち去るなっちゃん → 部屋に一人残ったパパは、寝姿勢のまま号泣」というシーンは、こうやって書いているだけで再び涙腺がゆるんできます。

小泉さんが作詞した主題歌「あなたに会えてよかった」も名曲だと思いますし。

面識はありませんが、ほんとに私もあなたに会えてよかったです、田村正和さん。

(「古畑シリーズの劇中で、唯一彼に殴られた犯人役が木村拓哉さん」というエピソードがこのタイミングでかなり紹介されてますが、私はこの「パパとなっちゃん最終回」以上に号泣する田村さんの演技を見たことがありませんので、こちらを推させていただきます)

けっこう「?」なドラマも多かった。

「駄作」とまでは言いませんが、「これ、田村正和にやらせるだけのドラマか?」「田村正和にふさわしい役なの?」などを含め、(私にとっては)あまり面白くなかったものもあります。(たとえ話題作であったとしても)

いくつか思い出せる範囲であげてみます。

総理と呼ばないで

脚本は古畑シリーズと同じ三谷幸喜さんで、キャストも超豪華で、しかもフジテレビがお台場に移転したタイミングのオンエアだったので、「社屋移転記念の生放送バラエティー特番(司会はなんとSMAP)に田村さん本人も(たしかドラマ収録スタジオからの中継で)出演し、田村チェアに座りながら木村拓哉さんの「古畑モノマネ」を生で見てリアクションする」という破格の番宣にまで駆り出されたのですが、肝心のドラマがあまりにも浮世離れしたストーリーで、全く面白くありませんでした。(個人の感想です)

美しい人

野島伸司さん脚本。田村さんの役は「広い家に住み、サンルームでハーブを育て、起床後にはガウン姿でハーブティーを飲み、リッチだが穏やかな暮らしを愛する、上品で心やさしい美容整形外科医(開業医の院長)」というもので、もう“マサカズ様なら地でやれますよね、この役”というぐらいに田村ワールド全開だったと思います。

なのに、この田村院長、自宅でハーブティー飲みながら毎日新聞を読んでたんですよね。

別に毎日新聞さんをディスるわけじゃないですが、この役なら、最低でも日経新聞でしょうし、ホントなら海外紙とか“美容外科業界とかガーデニングの専門誌”なんじゃないでしょうか。

こんな些細なシーンだけで、このドラマの世界観のリアリティが私の中で崩壊してしまった記憶があります。(せっかくの「微塵ほどの隙もない完璧な田村ワールド」が堪能できそうなドラマだったのに…)

さよなら、小津先生

これは「美しい人」の真逆で、田村さんのイメージに全く合わない役どころでした。

過去の出演作にも、彼のそれまでのクールなイメージとかけ離れた「小学校の先生」「デパ地下の主任社員」などはありますが、フィクションの中にも妙なリアリティを感じさせてくれたり、“ちょっと情けないキャラクターなのに、いざとなるとやっぱりカッコイイ”というふうに、いい意味で期待を裏切ってくれたドラマも少なくありません。

なのに、この「小津先生」では、田村さんは「高校の臨時教師で、男子バスケットボール部の顧問となり、やる気のない部員生徒を指導」と称して体育館でドリブルとかしちゃってました。笑

田村正和とスポーツって、どうやっても融合しないと思います。そもそも田村さんは「女性と一夜を共にするシーン」以外には、汗は似合わないと思いますし。

こんなマサカズは見たくなかった。

「古畑任三郎」のオープニングには、毎回彼のカメラ目線によるひとり語りのシーンがありますが、背後から照らされる照明のせいで、田村さんの周囲、すなわちスタジオじゅうに「ホコリが充満している」ことが分かります。もう、ウヨウヨ飛んでます。

実は、1999年4月の第3シーズン放送開始にあわせて、フジテレビさんが「人気ドラマの裏側」と称するメーキング番組を放送してまして、その中で「ひとり語りシーンの収録直前に、スタッフ達がなんと霧吹きでプシュプシュと霧をまき、埃を吸着させようと躍起になっている光景」が紹介されておりました。

そこまでやっても、あのホコリなんですよね。

当時の撮影現場の過酷さが伝わってくるとともに、古畑シリーズを見るたびに「あーぁ、こんなホコリまみれの空間に立たされてるマサカズは見たくないんだよね」と思ったものでした。

こんなマサカズが見たかった。

これはもう、至ってシンプルでありまして、「田村さんが『実写版ガッチャマン』の南部博士を演じたら、イメージドンピシャじゃね?」と妄想していた時期があるというだけのお話です。

ちょうど、SMAPさんの5人がNTT東日本のCMでガッチャマンに扮していた頃(2000年)だったので、「マサカズ様の南部博士を交えて映画化してくれればいいのに」と思った次第です。

今となっては、南部博士どころかガッチャマンの5人すらキャスティングできなくなってしまいましたが。

次回につづく。

まだあと2つほどマサカズ様の思い出があるのですが、長くなるので次回に改めます。

参考リンク

ウィキペディアの「田村正和」ページ。↓

タツノコプロの「科学忍者隊ガッチャマン」紹介ページ。↓