こんな「令和と平成の“即位の礼”」でした。

こんな「令和と平成の“即位の礼”」でした。 by konmaru
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昨日、令和へのお代替わりの一大イベントである「即位礼正殿の儀」ならびに「饗宴の儀(の1回目)」が行われ、延期となった「祝賀御列の儀(パレード)」と残りの「饗宴の儀(2〜4回目)」以外の行事は、つつがなく終了しました。

 

警視庁20年ぶり最高警備本部を立ち上げ、全国から派遣された警察官・機動隊員を含め、最大約26,000人が都内各所の警備に当たったそうですが、じゃぁ20年前の最高警備本部は何のためだったかというと、全日空61便ハイジャック事件に対応するためだったそうです。

どちらも最高レベルの警戒態勢であることに変わりはありませんが、突発事件皇室行事に対する警備を同列に比較する報道が、どうにもしっくり来ません。

普通なら、29年前(1990年・平成2年)の「平成の即位の礼」と比較するべきなんじゃないでしょうか。

 

ということで、各種ニュースサイトや「平成3年警察白書」などを参考にして、「平成の即位の礼」と「令和の即位の礼」の警備状況などを比較してみました。

  • 警備関係費
    • 令和:38億円余り(NHKニュースサイトより)
    • 平成:53億円(NHKニュースによると、東京五輪に備えて機材調達予算が確保されていることなどから前回より13億円余り減ったそうです)

 

  • 警備動員数
    • 令和:最大26,000人、うち全国からの応援は5,500人(各種報道より)
    • 平成:約37,000人、うち全国からの応援は11,000人(警察白書より)

 

  • 反対運動・妨害活動など
    • 令和:天皇制に反対する数百人のデモ行進実施。警官への公務執行妨害で男女3人逮捕(各種報道より)
    • 平成:当日だけで6都県下で40件(うち都内で34件)のテロ、ゲリラ事件発生(警察白書より)

 

平成の際には、今回以上にカネとヒトを大量投入したにも関わらず、何十件ものテロ・ゲリラ事件が発生していたということです。

まぁ、そういう事件の発生が危惧される時代だったからこそ、今以上の警備態勢を敷いていたということかもしれませんが。

 

 

参考までに、当時のテロ・ゲリラ事件の内容を、「平成3年警察白書第7章 公安の維持」から抜粋してみます。

  • 極左暴力集団は、平成2年初頭から、「90年天皇・三里塚決戦」路線の下、皇室闘争に対する取組を一段と強め、127件の皇室闘争関連のテロ、ゲリラ事件を引き起こした。とりわけ、「即位礼正殿の儀」当日には、都内での34件を含め6都県下で40件、「大嘗宮の儀」当日にも7府県下で11件のテロ、ゲリラ事件を引き起こした。
  • 特に中核派は、全国各地において、新型迫撃弾設置式爆弾時限式発火装置等により、JR、地下鉄等の運行を妨害したり神社等を焼失させるなど、皇室関係施設以外にも攻撃対象を拡散した「無制限・無制約」のテロ、ゲリラを集中的に引き起こした。
  • 一方、革労協狭間派は、即位の礼・大嘗祭に向けた前段闘争において、時間をおいて爆発するなどのトリックを用いた爆弾警視庁独身寮をねらい、警察官1人を殺害し、一般市民を含む7人に重軽傷を負わせる残忍なテロ事件を引き起こした。

とのこと。

今回の「買い物客や外国人観光客らが見守る中」(←時事通信の配信ニュースの表現。皮肉たっぷり…)で行われた数百人規模のデモ行進と比べても、当時がいかに恐ろしい状態だったのかが改めて実感できます。なんたって、死傷者まで出てしまってますから…。

 

にも関わらず、警察白書では、この項のまとめとして、

「極左暴力集団により多数のテロ、ゲリラ事件は引き起こされたものの、即位の礼・大嘗祭の諸儀式は滞りなく終了し、長期にわたりかつ多大の困難を伴った警備はともかくも所期の目的を達成した」

と総括しています。

「長期間のしんどい警備だったなぁ。連中が暴れて死傷者も出たけど、儀式自体はちゃんと終わったから、結果オーライっつうことで、どうかひとつ」と弁明しているようにも読めますが、そんなんでいいんでしょうか。

「即位の礼の当日だけで、しかも都内だけ34件ものゲリラ・テロ活動」を許してしまったのに「所期の目的を達成」とか言われると、「所期の目的って何なのさ」と問いただしたくなります。

 

今回の即位の礼では、予算と人数を縮小したにも関わらず、目立ったゲリラ・テロ活動は(今のところ)起きていません。(デモ行進はゲリラ・テロ活動ではないので)

しかし、これも意地悪な見方をすれば、「“極左暴力集団”側が一方的に弱体化しただけであって、警察当局の警備の成果ではない」とも言えるんじゃないでしょうか。

死傷者が出たのに「目的達成」と書いたぐらいですから、来年の警察白書にはぜひ「無事に終わったのは、たんなる敵失のおかげ」と書いていただきたいものです。

 

【余談1】

この記事を書くにあたり、警察白書でも名指しされていた「中核派」についていろいろ調べてみたところ、今でも活動は継続していて、Webサイトを立ち上げているだけでなく、YouTubeを使った独自のニュース動画配信も行なっているようです。(拘置所に5ヶ月間勾留されていた“同士の保釈”を「奪還」とか「勝利」と表現するなど、独特の編集方針が貫かれています)

基本、「警察・公安当局にマーク」されている団体ですから、上記リンク先を踏むかどうかは、各自慎重にご判断ください。

 

【余談2】

平成2年(1990年)の即位の礼当日に、中核派が引き起こしたとされる「JR、地下鉄等の運行妨害」ですが、実は私、まさに運行妨害された地下鉄車両に乗り合わせておりました。w

具体的には、「自分が乗っていた車両と、隣の車両の連結部分から突然炎が上がって、車内じゅう大騒ぎ」という状態でした。

午後のパレード開始までまだ時間がありましたし、朝からあちこちの電車で発火騒ぎが起きていたこともあって、車内はそんなに混んでいませんでしたが、もしあれが平日の通勤ラッシュ時に起きていたら、火や煙にまかれるだけでなく、乗客がいっせいに連結部分から離れようとするあまり圧死者が発生していても不思議ではなかったと思います。(幸い、負傷者はありませんでした)

ついでに告白すると、「車内非常ボタン」を押したのも、この時が最初(で最後)です。他の乗客が誰も押さないので自分がやるしかなかったのですが、薄いプラスチックカバーを割ってボタンを押すあの感覚は、今でも忘れられません。

 

とまぁ、いろいろ書きましたが、来月のパレードが予定通り実施され、ゲリラ・テロ活動が一切ないまま終わることを祈りたいと思います。

 

 

 

 

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