こんな「貴乃花引退報道」でした。

こんな「貴乃花引退報道」でした。 by konmaru
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若手時代に、会社始まって以来の素晴らしい業績を上げ、若くして役員へと昇進した大スター・ビジネスマンになぞらえて、今回の経緯をまとめてみます。

 

 

11月 秋の社員旅行の最中に、自分の可愛がる部下が、他事業所のエース社員から暴行を受ける。

 

1月 「警察には通報しておきながら、しかも社員旅行担当役員の立場でありながら、会社への報告義務を怠った」として、取締役から本部長待遇部長へ2階級降格させられる。

 

3月 「暴行問題に対する会社の対応に問題がある」として、労基署に告発文を提出。

 

3月 自分が可愛がる別の部下が、部署内の後輩社員に対して暴行。「一兵卒として出直して精進します」として告発文を取り下げる。

 

3月 取締役への登用選挙で落選。本部長待遇から部長に降格

 

3月 「春季社員遠足」の無断不参加を理由に、部長から係長へと、さらに2階級の降格をされ、普通の一事業所の所長に。

 

4月 一連の騒動の責任を取る形で「自分の名前を冠した事業所集団」を解散・返上

 

5月 臨時の幹部社員総会で、告発文について改めて説明を求められたので、告発文のコピーを配って「間違いがあれば回答するので指摘をしてほしい」旨を発言。

 

7月 常勤取締役会で「全事業所長は、9月の取締役会までに、5つある事業所集団のどれかに所属すること」が決定される。

 

8月 会社から「告発文は事実無根な理由に基づいてなされたものである。よって、こちらの疑問について8月末までに返答してほしい。9月の幹部社員総会の場でも説明してほしい」とする社長名義の書面が届く。

 

その後、A取締役から数回にわたって「告発文を(事実無根なものだったと)訂正するように」と要請される。

 

さらに、比較的距離が近いB事業所長から「どこかの事業所集団に入らないと、事業所自体を持てなくなりかねないらしい」と、心配した上での忠告を受け、初耳のため驚く。

 

また、別の親しいC事業所長からも「『告発状は事実無根』と認めないと所長をクビになっちゃうよ」と忠告される。

 

加えて、別のD事業所長からも「以前所属していて飛び出してしまった事業所集団に、頭を下げて(一緒に)戻ろう」と誘われる。

その後、D所長は、その通りに行動したが、自分は戻らなかった。

 

そして、9月25日。

「8月、会社より、会社が依頼した外部弁護士の見解を踏まえた書面が届いた。

告発状は事実無根の理由だ』と結論づけられたという内容だった。

私は書面で『告発状の内容は事実無根でない』と説明したが、その後、『認めないと事業所を閉鎖せざるを得ない』と有形、無形の要請を受け続けた。

さらに常勤取締役会において、『すべての事業所長は事業所集団のどこかに所属しないといけない。しないと事業所を持つことができない』との決定がなされた。

いずれかの事業所集団に入る条件として、『告発の理由は事実無根の内容に基づくものと認めるように』と言われ続けた。

しかし、告発状は事実無根の理由に基づくものではない。真実を曲げて事実無根と認めることは私にはできない。

一方でこのままではどの事業所集団に属することはできない

所内の社員は仕事を続けることは困難で、安心して精進、鍛錬できない。

このような状況で、断腸の思いではあるが、私の事業所に所属する社員や福利厚生スタッフは、E事業所所属へ変更させていただき、私は所長ならびにこの組織から引退するのがいいと苦渋の決断をした」

として引退を表明。

 

 

おそらく、日本中の多くのサラリーマンは、こんな感じで読み換えながら、「組織と個人」「前例主義・事なかれ主義」「理不尽な処遇と出所進退」などについて我が身に引き付けながらこのニュースを見聞きしているのではないでしょうか。

 

私の場合、めざましい業績を上げたことも異例の大出世をしたこともなく、そのおかげでしょうか、さほど誰からも憎まれることもなく、そして円満に早期退職することができましたが、貴乃花親方の場合は、どうもそうではなかったようです。

 

 

この先、ことの真相がどこまで明らかになるのかは分かりませんが、今のところ、テレビでの報道などを見ていても分からないことだらけです。

 

まず、「選挙に落ちたら降格させられる」って、一体どんな理屈なのかが分かりません。

「その後、重用されなくなる」ならまだ分かりますが、「降格」させる理由が全くもって謎です。

 

 

また、貴乃花の兄弟子だった貴闘力さんのテレビでの発言によると、

「貴乃花は、本人の性格上、この先も慰留によって引退を翻意することはない。すげー頑固ですから」

とのことですが、そんな元大横綱だった貴乃花のパーソナリティを周囲の人や協会関係者が知らないはずなどなかったでしょうに、なぜここまで彼を追い詰めるようなことになったのか、こうなる前に何か手を打てなかったのか、いささか理解に苦しみます。

 

 

さらに、相撲業界に詳しいリポーターの横野レイコさんは、「なぜ貴乃花が追い込まれるような“一門所属”を義務化するようなルールが出来てしまったのか? おかしいではないか」というコメンテーターからの追及に対して、

「私は協会の人間でも代弁者でもない(から私に噛み付かれても困る)。

協会の7月理事会において『全ての親方は、5つある一門のどこかに所属しないといけない』と決まったことは公には知らされていなかったが、その後に親方たちから噂として耳にするようになった

なぜ一門所属の義務化ルールが必要だったのか、その理由は分からない。私も急ぎすぎだったように思う」

と、かわしていらっしゃいましたが、だったら相撲に詳しいリポーターとして「そのルールが決定された真相」を早急に取材して、ぜひリポートしていただきたいと思います。

ちなみに、協会の広報担当芝田山親方は、その理由について、

「公益法人である協会の透明性を保つため。

各一門には助成金が出ているが、個人では金銭の流れが不透明になる恐れもあるから」

と説明したそうですが、全親方を5つの一門のいずれかにぶら下げるとなぜ透明性が保たれるのかがまったく分からないため、世間が納得できるような理由にはなっていないと思います。

というか、「その一門とやらの制度自体が、不透明さの元凶の1つなのではないか」と邪推したくなってくるほどです。

 

 

そして、いくつかのテレビ報道では「なぜこのタイミングでの引退(退職)表明だったのか?」という点を疑問視する論調もありまして、それに対して元兄弟子の貴闘力さんは、

「いろいろあるんですよ。(テレビじゃ)言えないけど」

と言葉を濁していました。

正直申し上げて、「そこを語らずして、何しに出てきたの?」感がハンパないこと、この上ありません。

 

ただ、一方でこの貴闘力さんは、

「これまでに、(貴乃花は)何度も口頭で協会とやりとりしていて、約束されたことが後になって公になると(約束が)ひっくり返ったりしてきたから、親方は書面のやり取りにこだわっているのだ」

とか、

「(貴乃花に対して、年寄総会の場で直接説明を求めたり、一門所属を義務付けたりするのは)『(貴乃花の)謝り方が足りない、ちゃんと謝って恥かかせろ』という勢力があるからなのだ」

ともおっしゃっていましたので、もしかすると「弟子に対する横綱からの暴行事件」が起きるずっと前から、何か根深いいきさつがあるのかもしれません。

いずれにせよ、真相はさっぱり分からないことにはかわりはありませんが。

 

 

加えて言えば、先日の貴乃花の記者会見の席で、NHK刈屋解説委員の放った、

「親方を追い出そうという一部の人の言葉に結論を急がないでほしい。

『事実無根と認めなければ協会を出ていけ』みたいななことを言っている親方はむしろ少ない

多くの親方は協会に残ってほしいと思っている」

という親方への助言について「よくぞ言ってくれた」という評価するむきもあるようですけれど、私などはむしろ「報道関係者が会見場でこんな事を言うほどに『貴乃花を追い出そう、出ていけ』という意見が、角界においてなかば公然と交わされている」という状況にこそ驚愕してしまいました。

その後の報道によると「そういう(アンチ貴乃花の)理事や親方は、全体の半分もいない」らしいのですが、逆に見れば「貴乃花は、半分弱の幹部からは憎まれている」ということになりますから、報道関係者としてはむしろ「なぜ、そんな歪んだ、怨念にまみれたような気色悪い組織になっているのか」について追及し、明らかにしてほしいと思うのですが、いかがなもんでしょうか。

百歩譲って「いい助言だ」としても、ならば、もっと早い段階で助言してあげりゃいいのに。記者会見の席じゃぁ遅いだろ。と、つい思ってしまいます。

 

 

こうして一連の騒動をこうして見てくると、先場所で「白鵬が通算1,000勝した。スゴイ」と報道されていたことにも白い目を向けたくなります。

「日馬富士による暴行事件」に関連して、「白鵬の相撲は、相撲ではない。立会い直後にひじテツを食らわせるなど、もってのほか。あれではプロレスじゃないか

と各方面から批判されていたはずですが、「そういう汚い技で獲得した白星は、差し引くべき」みたいな話にはならないのでしょうか。

本当に不思議です。

 

 

そんな中、聞いていて幾ばくかの希望を感じたのは、貴乃花の実兄である元横綱・若乃花花田虎上(はなだ まさる)さんがテレビで語った次のコメントです。

「(貴乃花に)一回『敵だ』と認識されてしまうと、聞く耳をもってもらえない。

だから僕も、長いこと連絡をとれないでいる。

でも、彼が引退したら、僕は彼と二人で旅行番組に出て、一緒に温泉に入るとか、何でもやります」

だそうです。

 

弟の頑固な性格熟知した上で、それでもなお、彼に手を差し伸べたいというのですから、見上げたものだと思います。

さすが、血を分けた兄弟だけあります。

 

ということで、「がんばれ、花田兄弟」という感じです。

 

 

 

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