前回に引き続き、2021年4月3日に亡くなった田村正和さんの思い出をまとめておきます。
全く似合わない企業PRイベントに駆り出されたマサカズ様。
これは2001年の話でして、当時私が参加していた「テレビ番組の感想を好き勝手に語り合うメーリングリスト(電子掲示板のはしりみたいなもの)」の一部メンバー間でも話題になったりしましたが、今般の追悼報道で取り上げられた形跡がありませんので、ほとんどの人は知らない(もしくは忘れている)ものと思われます。
田村さんは当時、ワンカップ日本酒でおなじみの酒造メーカー、大関株式会社さんのCMキャラクターのお仕事をしていました。
そして同じ時期に、同社は“お酒とお父さん”を題材にしたスナップ写真を一般から募る形式のコンクール(題して「大関 ほろ酔いお父さんにっこりスナップ大募集!」)を実施しました。
賞品ですが、「1等賞の賞金300万円」も破格ですが、2等の「田村賞」はもっとブッ飛んでおりまして、なんと「受賞者のご家族を、田村正和さんと一緒に楽しむディナーにご招待」というものでした。
今般の追悼報道の中で「食事は家族とすら一緒にとらない。離れで一人で」などという逸話が伝えられましたが、そんな田村さんに対して、大関さんはあろうことか「初対面の一般人家族を同席させ、酒を飲ませ、食事をさせる」という仕事をオーダーしたというわけです。いくらCM契約を交わしたスポンサーとはいえ、なんとも無謀な企画を考えたもんです、ホントに…。
で、このディナーイベントの翌日、複数のワイドショーでこの様子が報じられたのですが、それはもう、マサカズファンの私にとっては悪夢のような光景でした。以下、まとめてみます。
ディナー当日の何日か前。「田村賞」当選者に直接電話するマサカズ様。
- あの気取った鼻声で「スフッ(←鼻をすするような音) えー、 田村 です 」と切り出すマサカズ様。
- 応募した本人と思しき奥様が電話に出て「えぇぇぇ! 田村さんですかぁ!? 信じられませんけど、ホンモノなんですね!? あ、でもホンモノですよね。田村さんのものまね、こんなに上手にできる人いないですもんね!」と大はしゃぎ。
ディナー当日。
- 中村孝明さんが当時開いていた都内・有明の和食店で、取材陣に囲まれながら当選者家族を出迎えるマサカズ様。
- お互いに自己紹介する家族とマサカズ様。そして店内へエスコートするマサカズ様。(エスコートの身のこなし、想像できますよね?)
- ディナー会場には、横一列の席。中央にマサカズ様。その左右に奥様・旦那様・子供たちが着席。(まるで宮中晩餐会のような配置でした)
- 大人たちは当然、清酒大関で乾杯。緊張が解けず、まだまだぎこちない家族たち。ここらへんで取材陣はシャットアウトされ、店外でディナー終了を待った模様。
ディナー後の囲み取材スタート。
マサカズ様だけでなく、ご家族(特に奥様)も立ち会う形でインタビューが始まりました。抜粋します。↓
取材陣の質問:
「田村さん、今日はどんなお話をなさったんですか?」マサカズ様:
「スフッ えー、 鳥取の話 とか 」(←鳥取からのご家族だったようです)質問:
「(当選者の奥さまに対して)今日はいかがでしたか?」奥様:
「ちょっと酔っぱらってしまいました」(取材陣、苦笑)さらに奥様:
「最初は緊張していたんですけれど、大変和やかに過ごさせていただきまして。とてもお話ししやすい方で。大変楽しかったです」(←マサカズ様って、ホントにそんなに話しやすいんでしょうか? にわかには信じがたい…)質問:
「画面で見る田村さんと比べてどうですか? このままですか?」奥様:
「はい、このままです」質問:
「食べ方もかっこいい?」(←ヘンな質問ですね 笑)奥様:
「はい! すべて堪能してきましたぁ!」質問:
「(マサカズ様に対して)受賞した写真と実際のご家族をご覧になって、どうですか? そのままですか?」マサカズ様:
「 そうですね。 そのままですね 」(←どうでもいいようにしか聞こえない返答ぶりでした 笑)質問:
「ご家族の生活をお聞きになって、どうですか?」マサカズ様:
「 うらやましいですね 」(←とても本心から言っているようには…)質問:
「田村さんとしては、この2時間、いかがでしたか?」(←マサカズ様には苦行のような2時間だったのではないかと…)マサカズ様:
「(となりの奥さまを指しながら)「 んー よくしゃべって下さって… 」(←文字間の空白部分で、彼独特の発言の間合いを感じ取ってもらえれば幸いです)発言を受けて奥様:
「わたし、責任があるもんですからぁ!」(←何の?)さらにそれを受けてマサカズ様:
「 ご覧の通りです 」質問:
「仲の良いご家族との食事という、このような企画はいかがでしたか?」マサカズ様:
「あんまり… ンフフフフ…」(←これ、即答でした…笑)(ちょっと悲しそうにマサカズのほうに顔を向け、苦笑する奥さま)
さらにマサカズ様:
「身内同士というか、 何というのかなぁ、 … 」(私はてっきり、「身内同士の家族の中に自分が入り込んで、緊張を強いてしまい、申し訳なかった」みたいなフォローをするのかと思ったら…)
マサカズ様:
「身内同士というか、 何というのかなぁ、 気心が知れた連中と食事している方が僕はラクですねぇ 」(←言い終えたマサカズ様は爽やかに微笑んでました)すると、即座にツッコむ奥様:
「気心のわかった仲間に(自分たちは)入ってますか?」(←オイコラ…)マサカズ様:
「(彼なりの大爆笑)」
↑こうやって振り返ってみると、マサカズ様にしてみれば、なんともまぁ、しんどい仕事だったものと推察いたします。
そもそもスポンサーの大関さんは「あの田村正和が、一般人家族と和気あいあいと談笑して、酒を酌み交わし、食事をしてくれる」などと本気で思っていたのでしょうかね? 笑
企業PRのイベント効果としての吉凶は、私にはいまだによく分かりません…。
次回につづく。
マサカズ様の思い出があとひとつあるのですが、今回も長くなってしまったので回を改めます。
参考リンク
当時マサカズ様をCMに起用していた大関株式会社の公式サイト。↓
同社の「大関のCM集」ページ。↓
(過去のCM作品リストが掲載されてます。動画は最新CMのみ)
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