早期リタイアを検討する際、並行して絶対に取り組まなければいけないのが「お金」の問題です。
転職するつもりならいざ知らず、遠方に住む家族を直接・間接的に支えながら、自らはフリーランスの個人事業主として安定的な収入が期待できない道を進むことにした以上、この先の人生の途中で「金がなくなったぁ。万事休す」みたいな悲惨な後悔だけは避けなければなりません。
そのためにも、これまでに蓄えたなけなしのお金を、この先どう使っていくかを、円満退社活動と並行して検討しておりました。
同じ悩みを抱える方々のために、何回かに分けてまとめておきます。
早期リタイア前の資産状況
「仕事が忙しい」
「定期収入がある」
「これまでの人事面・業績面での評価でいけば、多少の出世はあっても、途中でクビにされることはなさそう」
「自分が定年退職する前に、会社が倒産することも、なさそう」
こんな条件が重なったせいだと思いますが、サラリーマン時代には、ことさら「節約」「貯蓄」「資産運用」などを意識することなく、給料が入ったら、食べたいものを食べ、買いたいものを躊躇せずに買う生活を続けてきました。
衝動買いするような習性は昔も今もありませんが、当時は今以上に「どうせ買うなら長持ちする品質の良いものを。品質が同じなら、飽きのこないデザインで長く使えるものを」という購買志向でしたので、「安物買いの銭失い」にはならないものの、「何を買うにも高くつく」ことが少なくありませんでした。(それでも結果として多少の蓄えができたのは、ある意味奇跡なのかもしれません)
日頃からそんな感じでしたので、資産といえば普通預金と会社の財形貯蓄積立ぐらいしかなく、その管理も、表計算ソフトで簡単な家計簿を作って「今月は、いくら入ってきて、いくら出ていったのか」だけを時系列的に記録して月に1回「ふ〜ん」と言いながら眺める程度だったのです。
ブログ上で具体的な貯蓄額を書くのは控えますが、退職金などの一時収入で蓄えが大きく増えた早期リタイア直後の総額を100とすると、当時の貯蓄額は50〜55ぐらいだったかと思います。
資産の規模は分かったものの…
リタイアしてからも、これまでのようにだらだらとお金を使い続けていって良いのだろうか?
何か適切な管理・運用方法はないのだろうか?
実際の懐具合も含め、すべてをさらけ出しながら、誰かに相談したかったのですが、家族や友人とお金の話はしたくありませんでしたし、職場の同僚とは、なおさらそうでした。
かといって、口座を持っている銀行の窓口に「漠然とした不安ヅラ」をさげて行こうものなら、「買うべきもの」よりも「売りたいもの」をガンガン紹介されるのは十分に予想できます。
しかも、その商品が自分にとって向いているのか、必要なのかを評価・判断できる能力も経験もないため、銀行に出向いたところで、おそらく何も決められないまま時間だけが過ぎていく予感もありました。
最初の相談相手
そこでまず、無料で相談できるところ(=後で何かを買わされることで儲けているところ)ではなく、あえて有料の相談窓口(=相談自体をビジネスにしているところ」を探し、その中から、あまり商売っ気が強くなさそうな「家計簿の点検をしながら、どんな資産形成ができるかコンサルしますよ」という、とあるファイナンシャルプランナー(FP)さんの門を叩きました。
具体的な進め方は、事前に「最新の給与/賞与明細・源泉徴収票」などのほか「貯蓄額・運用中の資産・ローン」「最近の生活費・今後予想される支出」などの情報を提出し、予約日にオフィスを訪問して、パソコンを見ながらむこう40年間のキャッシュフローを仕上げていくというスタイルでした。
費用は、確か3万円程度だったかと思います。
※キャッシュフローについては、以下のサイトをご参照ください。(私がお世話になった相談先ではありません、念のため)
またキャッシュフロー作成にあたっては、「50歳・あるいは55歳で早期リタイアした場合」や「定年まで勤め上げた場合」「途中で家を買った場合」など、何パターンかを想定したのですが、いずれもらえるであろう退職金や将来の年金の額がまったく分からなかった(というか調べていなかった)ため、「世間の平均的な金額」を入れて試算をお願いしてみました。
で、試算してもらったら…
その結果、分かったことは、
50歳でリタイアしたとしても、この先、ムダ使いをせず、現状の生活を続ければ、この先40年は、蓄えだけで食っていける。
ただ、定年まで働く、あるいは55歳までリタイアを遅らせた場合には、今よりも贅沢もできますよ。
ということでした。
この経験は、私にとって非常に有意義なものでした。
中でも、この先予想される収入と支出を、ライフイベントも意識しながら入力することで、年単位の試算ができ、しかもお金がいつまでもつのかが視覚的に把握できる「キャッシュフロー表&グラフ」の見映えがいたく気に入りました。
そしてもちろん、50歳でリタイアしても、特に新たな資産運用商品に手を出さずとも、どうにか食っていけそうだと分かったことは、リタイアに踏み切る大きなきっかけになったと思います。
初のFP相談で見えてきた課題
ただ、同時にいくつか課題もありました。
まず、このキャッシュフローが「年単位」の表になっていたことです。
実際の家計管理は月単位が普通ですから、年単位の試算では荒すぎるような気がしました。
相談にのっていただいたFPさんに、「このExcelのファイルをもらって、自分で月単位に加工してシミュレーションしてみたいのですが?」と打診してみたのですが、「商売道具なので」とやんわり断られてしまいましたので、まぁ、あとは自分で作るしかなさそうです。
課題のふたつ目は、この先の大きな収入となる「退職金」や「年金」について、世間の平均額を用いて試算してもらったことです。
世間相場と比べれば、自分の場合はそれよりもプラスになるだろうという予測ぐらいは立ちましたが、具体的に「どのくらいプラスになるのか」がさっぱり分からなかったため、シミュレーションの精度としては今ひとつだったかと思います。
その分、固い予想にはなっていたのでしょうが、やはり不安は残ります。
課題の3点目は、「キャッシュフロー表」の期間が40年間になっていたことです。
日本人男性の平均寿命は83歳ぐらいだと思いますから、当時まだ50歳ギリ手前の私としては、40年もあれば十分なシミュレーション期間だとは思いますが、万が一95歳・100歳などと長生きした場合が不安になります。
おそらく「プリントアウトする場合の見映え」などの単純な理由で40年になっていたのだと思いますが、「人生100年」とも言われてきた昨今にあっては、ちょっと物足りない思いがありました。
診断だけでなく、「提案」ももらったが…
そんな課題もありながら、FPさんからいただいたアドバイス・提案は以下のようなものでした。
このまま資産を切り崩していっても、あと40年は生活していける。
ただし、もっと長生きする場合や、不測の出費に十分対応できているかと聞かれれば、微妙なところ。
それに、資産がすべて「日本円」というのも気になる点。多少は外貨建ての資産運用も考えてみてはどうか。
オススメは、「オーストラリアドル建ての積立利率更改型 一時払い終身保険」。
万一の際の保障になるだけでなく、比較的有利な利回りで運用されるので、将来現金が必要になったら解約して返戻金を(たくさん)受け取れる。
為替が豪ドル高になると、さらに得する。
こんな感じだったと思います。(あやふやな点もありますので十分ご留意ください)
確かに、資産のすべてを少子高齢化が進む日本の「円」だけに委ねることに多少の不安はありますが、かといって、当時保有していた預貯金の6割もの大金を、オーストラリアの経済に一気に委ねてしまうのは、もっと不安でしたので、この「一時払い終身保険」による資産運用は丁重にお断りしました。(個人の感想です)
勉強になったこと
家計簿チェックをベースにしたこのFP事務所さんのコンサルを受けたことによって、
「もっと長期間(とりあえず100歳終了時点まで)のキャッシュフローを計算しておいたほうが良さそう」
「できれば月単位で計算したほうが、実績との比較チェックもしやすく、より『使える』キャッシュフローになるのではないか」
「資産を運用して増やすというよりも、まずは日本円だけでの資産保有を改める必要がありそう。かといって、それが別のどこか一国だとしたら、これまた不安が募るかも」
こんなことを学ばせてもらいました。
以上を踏まえて、次の行動に進んだわけですが、それはまた回を改めます。
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