「故・平尾昌晃さんが残した60億円とも言われる遺産」をめぐり、3人目の奥様でもあった元チーフマネージャーさんと息子さんたちがバトルを繰り広げているそうです。
平尾昌晃さんが生前に作曲した楽曲の著作権料の分配とか、彼が残した会社の社長就任を巡って不正があったとか、奥様側の預貯金や株式に不透明な動きが多いとか、正式な遺言はないけど遺言を残すために関係者に送っていた相談メールを入手したとか、まともな遺書を書かないまま多額の財産を残して亡くなった有名人にありがちなゴシップが次々に報じられています。
「あー、金持ちの家は、死んでからも大変だねぇ。自分は庶民でよかったよ」などと高みの見物を決め込むのは、実はちょっと危険なようです。
なぜなら、遺産相続にまつわるトラブルというものは、「有名か無名か」とか「財産の多寡」に関係なく発生するらしいのです。
というか、多額の財産がある人ほど、生前に万全の準備をする傾向があり、むしろ「たいした財産もないから、女房と子供たちで仲良く分けてくれるだろう」ぐらいの気持ちのままで一家の大黒柱が亡くなったりすると、死後に数百万程度の財産を巡って(数百万だからこそ?)家族間で骨肉の争いが勃発しがちだという話も聞いたことがあります。
その意味では60億もの財産を持ちながら、遺書も残さずに亡くなってしまった平尾さんのようなケースは、実は稀なのかもしれません。
先日、実家に帰省して親・兄妹とともに夕食をとっていた際、何かのきっかけで私の生活費が話題にのぼりました。
50歳そこそこで早期退職に踏み切らせてもらった手前もあり、「実の家族によけいな心配をかけるまい」と思いながら、
「今の経済環境が続き、ぜいたくをしなければ、いちおう100歳ぐらいまでは暮らしていけるように、いろいろ段取ったり、シミュレーションもしてるんで」
と話したところ、兄が笑いながら、
「だったら、お前(←私のことです)が早く死ねば、俺たちに遺産が入るってワケだ。ヘッヘッヘッ」
という感じの冗談を言い出しました。
兄の経済状況とか、日頃の兄と私の関係性から判断しても「酒が入った席でのたわいもない冗談」であることは明らかなのですが、言われた瞬間に、私の酔いがちょっと醒めたのも事実です。
といっても、「虎視眈々と私の死を待ち構えているのか、コイツは!」という憤りで酔いが醒めたのではもちろんなく、「あぁ、お互いそういうことを(冗談であれ)語り合うような年齢・ライフステージに突入したんだなぁ」という悟りというか諦念というか、そんなシミジミした空気を感じて酔いが醒めたというのが実態ですが。
まぁ確かに、過去はともかく、現在の私は所帯を持っていませんから、「妻や子供に財産を残さなければならない」という心配をする必要はないのですが、かといって最終的に幾ばくかの財産を残してこの世を去る可能性も否定できません。
「どこに・どんな財産が・どのくらいあって、これは誰にあげます。あれはどこそこに寄付しちゃいます」
というような情報を整理しておかないと、残された身内連中に迷惑をかけることにもなりますから、単身50代のオッサンのマナーとして、そんなことも少しずつ考えていかないとなぁ、と痛感させられたニュースではありました。
「死んで、火葬代を払ってもらったら、預金残高がちょうどゼロになった」ぐらいの明朗会計が希望ではありますけれど、どうせそんな都合よくはいかないでしょうから、せめて兄妹連中が、
「俺は長男だから、妹のお前より5,000円多くもらうぞ」
「何いってんの! あいつは全部で35,000円しか残してくれてないんだから、アニキより2回多くお見舞いにいったアタシが全部もらったっていいじゃん!」
みたいな骨肉(ただしメダカ並み)の争いが起きないようにしておこうと思う今日この頃です。
最後に、ついでみたいで恐縮ではありますが、平尾家の騒動も、どうか丸く収まりますように。
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