アイドルグループの「働き方改革」

After/リタイア後
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今年結成20周年を迎えるジャニーズのアイドルグループ が、2020年いっぱいで活動休止するそうです。

2017年6月(16日)大野リーダーがメンバーを集めて「自由に生活がしてみたい」と伝えたのが発端で、その後、メンバー間で何度も何度も話し合ったとのこと。

その上でメンバー間でまとまった考えを、2018年2月に所属先のジャニーズ事務所に報告

2018年6月には、活動休止を(事務所も含めて)最終決断

こんな経緯だそうです。

ということで、メンバー5人揃った昨夜の記者会見で語られた内容のうち、一足先に早期リタイアを経験した私(←同列扱いするんですか?)からみて、特に印象に残った発言をピックアップしてみます。

「具体的に何がしたいかは決まっていない。この世界を一度離れてみて、今まで見たことのない景色を見てみたい。普通の生活を今まで経験していないという思いもあるし興味もある。具体的に何かやりたいということは(まだ)ない」(大野リーダー)

→ 過去にも「普通の女の子に戻りたい」などと言って引退していったアイドルグループもありますが、2020年に40歳となる節目を迎え、これまでと違う景色の人生を送ってみたいというのは、普通にあり得る考え方だと思いますし、他人にとやかく批判されるようなことでもないかと思います。

ただ、ちょっと驚いたのは、そんな個人的な思いが「長い協議期間をかけたとはいえ、他のメンバーや所属事務所に認められた」ということです。

円満退社ならぬ、まさに「円満活動休止」。
解散に加え、一部メンバーが事務所を去る事態にまでなったのに、メンバーからも事務所からも、その明確な理由が語られなかった先輩アイドルグループのケースとは大違いです。

「(大野リーダーに対して、これからもグループとしての活動継続を)できませんか? という相談はした。二つ返事で『はい分かりました』とは責任感的にできなかった」(二宮メンバー)

→ 慰留する側の気持ちが実によく伝わってくるコメントです。お互いを認め合い信頼しているからこそ生じてくる責任感って、確かにあると思います。

この二宮さんの発言を聞いて、サラリーマン時代には自分も「慰留する側」の人間だったことを思い出しました。
今振り返ると「形式的に慰留する」ケースと「本気で慰留する」ケースがあったのですが、後者の場合ではさらに、
「信頼している部下だからこそ気持ちよく了解してあげたい」
という気持ちと、
「信頼しているからこそ引き止めたい」
という真逆の気持ちが交互に押し寄せてくるので、なかなかハードなプロセスではありました。

もしかすると、「信頼できる部下を本気で慰留」したそのときの経験が、自分の早期退職時の上司説得に活きたのかもしれません。

「みんなの思いがきちんと同じ方向に着地するか、どこに着地させるかという面で、結論まで時間がかかった」(櫻井メンバー)

→ 誰かが辞めるにせよ、休むにせよ、こういうことを時間をかけてきちんと話し合うというのは、ホントに大事だと思います。
その結果、なんとか着地できたからこそ、メンバー全員そろって笑顔で記者会見にも臨めたのでしょうし。

もちろん「もともとメンバー間の仲がいいからできたこと」という側面もあるんだとは思いますが、それほど親密な間柄でなくても、本来踏むべき重要なプロセスではないかと。

事務所を辞める覚悟もしていたが、話していく中で『(辞めるんじゃなく)お休みでもいいんじゃない?」という言葉もあり、そういう形に甘えさせてもらった」(大野リーダー)

→ このへんの発言からも、「円満」に着地したことがうかがえます。

活動休止して、しばらく自由に生活してみて、その結果「やっぱり事務所を去ります」ということだってあり得るわけで、そんな可能性を内包しながらも「退職じゃなく、とりあえず休職扱いにしとけば?」となったあたりに、なにか時代の変化みたいなものを感じます。

単に所属事務所との関係が良好なだけかもしれませんけれど、それよりも私は、
「アイドルという極めて特殊な職場環境おいても、今どきの“働き方改革”に通じるような風が吹いてきているのだ」
と思いたいです。

ジャニーズ事務所が変わればアイドル像も変わる。
アイドル像が変わればファンも変わる。
ファンが変われば日本が変わる。
みたいな。w

「(この先、活動休止までの2年間で)しっかり時間をかけてたくさんの方に感謝を伝えたいテレビ局、関係者、お世話になっているスタッフの方が数え切れないくらいるので、その方々に説明をしていく時間にしたい」(櫻井メンバー)

→ 責任や影響が大きければ大きいほど、説明に時間がかかるのは当然ですが、この「まずはメンバー間で。次いで事務所と。その上でファン(顧客)へ。そして取引先へ」というステップの踏み方と時間のかけ方は、見事としか言いようがありません。

アイドル業界においては、これ以外のやり方は、あり得ないんじゃないかと思うほどです。

無責任では? という指摘に対して)
「我々からの誠意は、(この先)2年近く、感謝を伝えていく期間を設定したこと。それが我々の誠意。そのパフォーマンスをもって(見てもらって)無責任かどうかを判断してもらいたい」(櫻井メンバー)

→ この質問をした記者について、羽鳥慎一さんは今朝の自分の番組の中で、
「この会見の場で、なんか(記者としての)爪痕を残したかったんじゃないですか?」
と皮肉を込めてコメントしていましたが、実際、メンバーの櫻井さんもかなりムッとした表情を浮かべながら回答していらっしゃいました。
「責任を感じていればこそ、そして誠意を示すためにこそ、結論まで1年もかけ、さらにこの先も2年かけてやっていくっつってんのに、ファンでもない部外者がお気楽に『無責任』とか言ってんじゃねーよっ!」
と、さぞや反論したかったことでしょう。

会見を聞く限り、各メンバーも所属事務所も、会話を重ねながら丁寧に進めてきているようで、私は少なからず好感を持ちました。

やっぱり、何かを始めたり辞めたりするにあたっては、多少時間がかかっても、丁寧にステップを踏んでいくのがいいようです。

ちょっと意外な形で、私の中で「嵐の再評価」が進んでおります。


いずれにせよ、来年末に予定通り円満に着地するよう、頑張っていただきたいものです。

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