「50歳になるので早期退職したい」のは、まぁ分かった。
で、辞めたあと、何をするわけ? 何をしたいわけ? したいことあるの?
こんなことをぶしつけに訊ねてくる人がいたとしたら、それはあなたとよっぽど気心が知れている人か、よっぽど図々しい人のどちらかだと思われます。
ただ、前回のような「方便として」というか「表面的」というか、そういう浅い次元だけでなく、もう少し抽象度を高めた形で「辞めてから何をするか」を自問自答しておくことは、早期退職後に「あれ? こんなことでいいんだっけ?」と指針がグラつかないようにするために有効だと思います。
では私の場合、どんなことを考えたのかを簡単にご紹介してみます。
その1:「『本当にやりたいこと』などない」自分を素直に認める
いきなりこれを書くと身もふたもないのですが、ここを認めてあげると気持ちがラクになると思います。
全面的に私がこれに当てはまったということでもないのですが、「早期退職って結構なエネルギーがかかるけど、そこまでしてやりたいこととは?」とか「前職の延長線上で、こんなことならやれそう。けっしてやりたいことじゃないけど」などとあれこれ思い悩むぐらいなら、「やりたいことなどない! この歳で自分探しなんかしない!」と割り切った上で「じゃぁ、どんなことだったら、やれそうか」を具体的に検討していったほうが生産的だと思います。(自分も、ともするとグジグジと考え込むタイプですから、ここは気をつけてきたつもりです)
あ、これは「どうせ見つからない『やりたいこと』を捏造チックにひねり出すことが無意味だ」ということであって、「考える行為そのものがムダ」ということではありませんので、念のため。
その2:「やりたいことをやる」ではなく「やりたくないことをやらない」と決める
自分の人生が、事前に立てた進路やライフプランに沿って順風満帆に進んでいる人には、当然「やりたいこと」が明確に見えているハズですが、そんな人だからこそ「やりたくないこと」も明確に自覚しているハズです。
そうなのです。
「やりたいこと」がある人もない人も、「やりたくないこと」は、わりとみんなが明確に意識できるのです。
「こんなことがやりたいから、あんなことはやらない。そんなことをやっている時間がもったいない」という意識高い系な人も、「やりたいことなんて何もないけど、やりたくないことなら、たくさんある。(^_^;)」という残念な人も、どちらも共通して持っているのは「やりたくないこと」だと思うのです。
やりたいことが明確化されていないなら、消去法でやれることを探っていくのも、ありではないでしょうか。
(不動産の物件探しで徐々に条件をキツくしていって絞り込む作業も、これに似ているかもしれませんね)
その3:「やりたくないこと」を徹底的に考える
その代わり、「やりたくないこと」はなるべく具体的に突き詰めて考えたほうがいいと思います。
例えば、
「やりたくないのは仕事です」
で止まってしまうと、「本人が単に好きでやっていた趣味が、実はメシのタネになるかも」という可能性まで見失ってしまうからです。
「あ、そういうのも仕事って言うんだ。だったらやれるかも」という余地を探すためにも、なるべく具体的に自問自答しましょう。
とはいっても、このテの自問自答は、正直言って向き不向きがありますから、理想としては、誰かと会話形式でやれるといいかと思います。
「やりたくないのは、仕事です」
「そうだよね〜、仕事は大変だもんね〜。ところで、あなたにとっての仕事ってどんなもののことを差すの?」
「えーと、したくもないことに時間を割いて、お金をもらうことかな」
「ってことはさ、好きなことをやってるだけでお金もらえたら、仕事っぽくなくなるのかもね。あとは、もらえるお金は少しだけど拘束時間がすごく短いのなら、それもありじゃない? それから、すんごいラクな作業なのでお金はもらえないけど、寝る所とか食事がもらえたら、それでも良くない?」
こんな感じの雑談の中から、意外な活路が開けるかもしれません。相手のいない方は、私にお声がけを。w
その4:「やりたくないこと」が決まったら「やらないこと・しないこと」を挙げる
「やりたくないこと」と「やらないこと」。
文字ヅラは似ていますが、ニュアンスは(私の中では)かなり異なっております。
要するに「概念的・抽象的な思索だけでなく、具体的な行動レベルにまで落とし込んだ方がいいよ」、ということです。
例えば私の場合は、
(概念レベルとして)やりたくないこと:
- 早期退職したことを、後悔しない
(行動レベルとして)やらないこと・しないこと:
- 前職の業界情報に接触しない
- 前職関係者に会っても仕事の話をしない
- 世の中の求人情報を見ない
- ムダ使いでお金を減らさない
というような感じです。(守れていないこともありますが…)
と同時に、「こういうことはやりたくないので、そのための『やることリスト』」も必要になってきますが、それはまた機会を改めます。
その5:「やっていないこと」をやってみる
人によって、「やりたくないこと」リストの分量は異なりますので、結果として「それならやれる。やってもいい。やっても苦じゃない」リストの分量にも幅が生まれます。
ここでお伝えするのは「それならやれる」リストが膨大になってしまった人に特に有効なことかもしれませんが、どうせ「やれること」の中から何かを選ぶのであれば、「今までにやっていないこと」をあえて選択してみるという方法です。
これまで体験していないのですから失敗するかもしれませんし、やってみたらビックリするほどクソ面白くないことかもしれません。
もしそうなったら、それらを「やりたくないこと」に分類し直してしまい、改めて「まだやっていないこと」の中から再選択してやってみる、以下繰り返し、 というのがいいんじゃないかと思います。
「未体験の案件」のほうが「単純に新鮮な気分」を味わえますから。
ここで問題になるのが、やってもいいこと・やれることの中で「今までやっていないことが枯渇」したときです。
おそらく「することがなくなる」地獄、もしくは「やってもマンネリ」地獄の到来が予想されますが、私もまだリタイア2年目ですので、今のところ、これらの地獄を見ずに済んでいます。
この先、どうなりますことやら。(^_^;)
次回あたりで、そろそろ「お金」がらみのことにも触れてみたいと思います。
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