「サラリーマン時代に蓄えたなけなしのお金を、この先どう使っていくか」をあれこれ考えて実践してきた行動記録の9回目です。
(我ながら、いつまで続くんでしょうか。w)
前回は、とあるIFA(金融商品仲介業者)さんに出向き、資産運用に関する「個別相談」をしてきたところまでお伝えしました。
その個別相談から約10日後、「具体的な金融商品の提案」をいただくべく、再度IFAさんを訪問しました。
今回は、そのお話です。
【注】1年以上前の出来事ですし、当時の資料は一部しか保存できていませんので、以下は記憶に頼った記述となっています。よって、少なからず事実誤認が含まれている可能性がありますので、念のため。
提案に先立ち、前置きの説明からスタート
対応してくれたのは、個別相談時と同じ営業担当さんでした。
「スタッフ全員で、お客様の保有資産状況や将来のご希望をふまえながら検討した結果、いい提案がまとまったと思います」
という言葉とともに目の前に差し出されたのは、表紙に私の名前が「様」付きで記載された提案書でした。
1ページには「提案の前提」として、
「安定した老後資金を形成するために、市場動向に左右されることなく、『大儲けはできないが、株価低迷に負けない(つまりは株価が下がっても資産を減らさず、むしろ少しでも増やす)』資産形成を目指すプランです」
というようなことが書かれていました。
「こんな、先行き不透明な現在の経済環境下で、『ハイリスク・ハイリターンを目指したい!』などと威勢のいいことを考える早期退職者なんていないだろうに。それに、『株価が低迷しても資産が減らず、ちょっとだけでも増やせる金融商品』なんてものがホントに存在するのだろうか? ホントだとしたら、世界中の人が我先に買うんじゃないの?」
という疑問が頭をかすめましたが、先ほどの前提条件を実現できるのであれば、こちら側には異論などありませんので、「ここまで、よろしいですか?」との問いかけに「はい、大丈夫です」と答え、いよいよ商品の提案へと進みました。
提案されたのは、これまでに聞いたこともないファンドばかり
提案書には、複数の投資信託(ファンド)の名前と、それぞれに対する投資配分額が記されていました。
営業担当さんからは、
「簡単に言うと、『株価が上がると資産も増えるタイプのファンド』と、『株価が下がると資産が増えるタイプのファンド』を組み合わせた提案になっています。これによって『株価低迷に負けない資産形成』を目指します」
と説明されたものの、この段階でも私はまだ半信半疑でした。
で、購入を提案されたのは、以下のような4商品です。
【1】厳選した国内企業の株式を中心に設定されたファンド
↑当然ながら、これは「株価が上がると資産が増える」タイプです。
営業担当さんは目論見書を使いながら、投資先としてどんな企業が含まれているのかとか、ファンド設定時から現在に至るまでの運用成績推移などを説明してくれました。
【2】ブランド力・保有する有力特許・強い販売網など、強い無形資産を有する各国企業の株式に投資するファンド
↑これも、同じく「株価が上がると資産が増える」タイプです。
説明スタイルは【1】と同様ですが、比較的なじみのある企業が投資先に含まれていたので、それなりの安心感がありました。
【3】国内株式と株価指数先物取引を組み合わせ、絶対収益の獲得を目指すファンド
↑問題はここからで、自分で書いておきながら、一体何のことなのか、いまだによく分かっていません。(^_^;)
ただ、「株価指数先物取引」を組み合わせているので「株価が下がると資産が増える」という性格を持っているのだそうです。
担当者さんは、目論見書だけでなく、会議室のホワイトボードにグラフを描きながらいろいろと説明をしてくれたのですが、多分、私はこの原理の4割も理解できていなかったと思います。
【4】世界の株式・債券に加えて、ヘッジファンドを組み入れたオルタナティブファンド
↑ここまで来ると、ホワイトボードを使おうが、パワーポイントを使おうが、私に理解ができるはずもなく、説明の途中から、相槌を打ちながら聞いているふりをすることすら苦痛になっていました。
しかも、私の記憶が確かならば「AIを使って運用している」という説明もあったと思います。
もう、日本語による説明なのに、まるで外国語を聞いているような気分でした
提案された「ポートフォリオ(投資割合)」は?
で、驚いたのが、メイン投資となるこれら4商品に対して、一体どのくらい投資するのかという「ポートフォリオ(投資割合)」を聞いたときです。
それはなんと、
「もらいたての退職金も含み、その時に保有していた全資産の『6割強』を『一括投資』しましょう」
というものでした。
さらに、サブ的な投資として、
「残る3割強の資産で米国債を一括購入する。それでも残る数%の資産は、日本円の普通預金として確保し、当面の生活資金にあてるべき」
というお話もいただきました。
そしてそして、
「さらに余裕があれば、日本円の普通預金の中から毎月5万円程度を海外株式ファンドで積み立てましょう」
というオマケ提案も付いたのです。
「目が点になるという慣用句は、こういう時に使うのか」と納得しつつ、なんとか平静を取り戻して「ご提案いただきありがとうございます」と申し上げてはみたものの、提案を受け入れるかどうかについては、到底この場で即答などできるわけがありません。
しばしの沈黙の後、「株価が下がるとファンドの資産が増える仕組み」のおさらいを頼んだり、インデックスファンドと比べて信託報酬が割高な理由などを訊ねたりもしましたが、とにかく、今思い出すだけでも嫌な汗が出てくるような商談ではありました。
合成グラフによるトドメの説明
最後に営業担当さんは、2つの折れ線グラフを見せてくれました。
1つは、私がこれまでに「試し買い」していた複数のインデックスファンドが、過去10年来でどのような値動きをしてきたのかを、1本の折れ線グラフに合成し、日経平均株価の推移の折れ線とともに並べたものです。
そしてもう1つは、今回提案されたメインの4ファンドの合成グラフで、こちらも日経平均株価が比較対象として描かれていました。
「お客様がお持ちのインデックスファンドは、ほら、ご覧の通り株価が上がれば上がっていますが、株価が低迷すれば同じように下がってしまっていますよね。これでは老後資金の安定形成にはなりません。
それに比べて、弊社の提案した4つのファンドだと、株価の上昇・下降に影響されず、順調に資産が増えてきていることがお分かりいただけますよね」
と担当営業さんは自信たっぷりに説明してくれたのですが、どうも釈然としないので、こちらからもいくつか追加の質問をしてみました。
私:「確かに株価低迷の時期にも『負けていない』ようですが、これって過去の実績ですよね? 過去がそうだからといって『だから、この先の株価の乱高下にも負けない』ということが言えるんですか?」
営:「この10年、いろんな要因で株価が動いて来たわけで、中にはかなり下げた場面もありました。それでも、この4ファンドに投資していたとしたら、資産は大きく減ることなく、横ばいでとどまったり、株価よりも素早く回復してすぐプラスに転じたりしてるんです。ほら、こことかそうですよね? この先も安定的に推移することは固いと思いますよ」
私:「うーん、なるほど…。でも、だからといって、今持っている資産のほぼ全てを、一気に投資信託に突っ込むというのは、ちょっとそこまでの勇気が持てないかもしれないですねぇ…」
営:「でも老後資金の安定形成のためには、『時間を分散しながら積み立てで少しずつ』という投資スタイルでは、なかなか満足いくものにはならないですよ。資金がそれなりにあるんだったら、より多くの額を回すべきだと思いますよ」
私:「うーん…」
営:「では、資産の何割ぐらいまでが、投資できる許容範囲なんでしょうか?」
私:「うーん、ちょっと即答できないので、今日はいったん持ち帰ります」
営:「分かりました。ではお返事をうかがうための次のお打ち合わせの日時だけ決めさせてください」
というような感じで、この日の商談は、終始押されっぱなしのまま終了してしまいました。
帰路、電車に揺られながら脳内で一人反省会をしたのですが、その時真っ先に思ったのは、
「ワンルームマンション投資の会社に行けば『ローンを組んででも、あるいは資産の許す範囲でなるべく多くの部屋を所有するのがいい』と言われる。
IFAに来れば『お金のほぼ全てをファンドに回せ』と言われる。
なんか、資産運用ってめんどくせー」
ということでした。
おそらく、この頃の私は、実物資産・金融資産の双方に存在するメリット・デメリットをふまえた上で、
「お前なら、このぐらいの配分が適正で、さらにその商品内訳は、こうしとけ」
というような、納得感ある説明を誰かにして欲しかったのです。
まぁ、実際にそれが解決するのは、まだ先の話ですが…。
次回は、IFAさんとの最終やりとりがどうなったのか、について書いてみようと思います。
【注】IFAさんから提案いただいた具体的なファンド名などは、敢えて伏せさせていただきました。
コメント