銀行のネットバンキング機能をクラウド上で連携させてお金のやり取りを記録するクラウド型家計簿『マネーフォワード』というサービスがあります。今回は、“そこに連携登録している口座を解約する際の手順には注意が必要”というお話です。
そもそもの発端(異常事態に気づいたきっかけ)
つい先日、月末の家計簿チェックの下準備としてマネーフォワードの「資産推移」グラフを表示させたところ、8月30日付で資産総額がピョコンと跳ね上がっていることに気づきました。
拡大してみます。
この1日で預貯金がこれだけ増えたことに心当たりがないため、マネーフォワードの他メニュー、さらには各銀行口座のネットバンキングに個別にログインして調べたところ、以下のようなことが分かってきました。
(以降、話を分かりやすくするため、「不自然に増えた額は100万円」として説明します)
経緯
その1:A銀行の解約
- 残高100万円の「A銀行の口座」を保有しているが、ここ1年近くお金の出し入れをしていない。
- 残高的に「上顧客」でもないため、「他行への振込手数料無料」などの特典が与えられておらず、使い勝手が良くない。
- そこで、断捨離の一環としてA銀行口座を解約することに決定。
- 調べてみると「ネット上で解約可能。かつ残高は『手数料無料』で自分名義の他行口座へ振り込んでもらえる」ことが判明。(ふだんから手数料無料にしてくれればいいのに…)
- 店頭に行くのが面倒だったので、さっそくA銀行のネットバンキングメニューから「口座解約&残高はB銀行口座へ振り込み」の手続きを行なう。
その2:マネーフォワード上の預貯金額に異常発生
- 先月30日になって、マネーフォワードの「預貯金総額」グラフが不自然に跳ね上がる。跳ね上がった金額は100万円。(冒頭で紹介した現象です)
- マネーフォワード上で全口座を個別に確認した結果、以下のことが判明。
- B銀行の残高が100万円増加。(A銀行から振り込まれた結果なので、これは想定通り)
- 一方、解約したはずのA銀行の残高が100万円のままになっている。(本来は0円になっているべき)
- そのため、預貯金総額において100万円のダブルカウントが発生し、グラフが跳ね上がった。
その3:ダブルカウントの原因究明
- 最新の残高情報を取得すべく、マネーフォワードから各口座に対して「更新」をかける。
- しかし、それでも「100万円のダブルカウント」は解消せず。
- そこでマネーフォワード上の「登録口座情報」画面を確認したところ、解約したA銀行が「設定エラー」になっていることに気づく。
- つまり…
- A銀行は先月30日をもって解約済み。
- 当然、ネットバンキングの利用も終了扱い。
- よってマネーフォワードからネットバンキングにアクセスできないため「設定エラー」となり、残高が0円に更新されず、マネーフォワード上では先月30日以前の残高(100万円)が継続している模様。
- これが「100万円のダブルカウント」の原因と断定。
その4:ダブルカウントの解消に向けて悪戦苦闘
- このままでは、いつまでも「架空の資産100万円」が上乗せされ続けるので、マネーフォワードから思い切って「解約済みのA銀行口座を削除」することに。
- 念のため「Q&A」をチェックしたところ、こんな回答が。
- 要約すると以下のような感じ。
- 登録口座を削除すると、そこに紐付くデータはすべて削除される。
- 過去の入出金履歴、残高などのデータも全部消える。
- そして、消えた過去データの復旧はできない。
- つまり、解約したA銀行をマネーフォワードから削除すると…
- 「100万円のダブルカウント」は解消する。
- そのかわり、100万円分の残高が、解約以前のデータからもすべて消えてしまう。
-
- すると、資産額の推移グラフがこれまで見てきたものより100万円少なくなり、解約日(先月30日)に突然100万円増えて実際の最新残高と一致する形になる。
- となると、この先やれることとしては「実際の残高に一致させるためにA銀行の口座を削除し、過去の推移グラフの目減りには目をつぶる」ことぐらいしかなさそう。 トホホ。
まとめ(こうならずに済ませることはできたのか)
結論としては、
- A銀行を解約する前に、通常の振込手続きでB銀行へ100万円全額を移動させる。
- 振込手数料を節約するのであれば、ATMで全額をいったん現金で引き出し、それをB銀行のATMに入金する。
- A銀行の残高が0円になったところで、マネーフォワードで「口座情報の更新」をかける。
- マネーフォワード上で「100万円の移動」を確認した後で、A銀行の解約手続きをする。
というステップを踏めば、こういう事態にならずに済んだのではないかと思われます。
というか、本来は「マネーフォワードで口座を削除しても、そこに紐づく過去の入出金データは残る」という仕様になってさえいれば、こんな苦労はせずに済んだのかもしれません。
そうなっていない以上、前述した「解約済みのクレジットカード」も削除できないわけですから。(現状で削除してしまうと、そのカードを使った過去の買物記録が全て消えてしまいますので。これではクラウド家計簿の意味がなくなります)
そんなわけで、「自分の手順の不手際も手伝って『実際の残高と一致させたいがために、過去の残高推移グラフが100万円目減りする』という苦渋の選択をしてしまった」というお話でした。
今後の資産推移は(これまで以上に)表計算ソフトに頼るしかなさそうです。
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